カテゴリー「楽器屋巡りとフルート試奏」の記事

アゲハ購入後も、楽器屋さんに行きます。フルートの試奏もします。そんな話をまとめてみました。

2009年11月 9日 (月)

楽器フェア2009に行ってきました

 楽器フェア2009に行ってきましたよ。楽器フェアってのは、そうね…車のモーターショーの楽器版って感じの展示会だね。横浜のパシフィコ横浜にある、嫌になるくらい、でっかい展示ホールを借り切って行う、すごく規模の大きな展示会でした。パンフには「国内最大の楽器イベント」って書いてあるけれど、それもまんざら誇張ではないような気がしました。

 とにかく、すっごくおもしろかったです。(大小問わず)国内外の楽器メーカーが集まって、自社製品を思い思いにPRしてました。イベントも豊富にあったし、常にどこかのブースではライブショーをやっていたし、セミナーやマスタークラスもやたらとあったし、有名なミュージシャンたちも無防備でそこらへんを歩いているし、外人がたくさんいるし、試奏はやりまくりだし、楽器職人さんたちが現地で楽器を製作しているのを見学したり、アッチコッチで名刺交換はしているし…。もう、舞い上がりっぱなしでした。ああ、疲れた。

 なので、まとまらない事は百も承知で、断片的にダラダラと感想を書いておきます。ああ、老後に読み返すのが楽しみ!

 あ,そうそう。私はグローバルさんから招待状をいただきましたので、それを利用させていただきました。グローバル様、ありがとうございました。ちなみに、通常の一般客は入場するのに1000円かかります。でも、1000円支払う価値のあるフェアだったと思います。

 さてさて、ダラダラした感想をアップします(笑)。

 入場して真っ先に行ったのは、ケーナのブース。たまたま入り口近くにあっただけなんだけれどサ。でもでも、ケーナはおもしろいよ。楽に吹けるし、音色もいい。サイズも手のサイズにジャストで扱いやすい。私の隣で吹いていたお兄さんはまったく音が出せなくてあせっていたけれど…、ま、そういう人もいるんだね。

 私はさっそく店の人に「コンドルは飛んで行く」を教えてもらって、ピャラピャラ吹いちゃいました。「これ、8000円です」と言われたので、もう少しでうっかり財布を開いて買っちゃうところでした(危ない危ない)。考えてみれば、私がケーナを買っても、演奏する仲間もいないし、だいだい練習もできないじゃん。つまり、何もできない。買ったところで、笛コレクションの一部にはなるけれど、それでお終い。それじゃあケーナもかわいそうなので、今回の購入は見送りました。また、縁が有ったらね。でも、ケーナはおもしろかったので、他のお店でケーナを見かけると、教えてもらった「コンドルは飛んで行く」をピーヒャラピーヒャラ吹いて遊びました(笑)。

 お約束的にアルタス(と言うか、親会社のグローバル)のブースに行って、フルートを一通り吹いてきました。いつも高級モデルしか吹かないけれど、こういう時は廉価なモデルも試せるのでよかったです。音は(騒音の中なので)よく分からないけれど、廉価モデルも吹き心地はいいね。

 そうそう、どのアルタスフルートたちも、見違えるくらいにピカピカでした。と言うことは…すでにアゲハはかなり曇っていると言えるんでしょうね。毎日磨いているのに…。でも、黒く曇っているかな? 白く曇っているのかな? 私の目には白く曇っているように見えますが、はてさていかに?

 バスフルートはやっぱりアルタスがいいね。三オクターブまでラクラク出ちゃうよ。今回はカーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」とビートルズの「イエスタデイ」の二曲を吹きました。あんまりいい音がするんで、自分で酔いしれちゃうくらいです。そのまま、向かいにあるジュピターのブースに行って、横型バスフルートも縦型バスフルートも吹いてきたけれど、もちろん一応は吹けるけれど、あんまり良い音がしません。私は、やっぱりアルタスっ子なんでしょうね。

 なので、今度はヤマハのバスフルートを確かめようと、ヤマハのブースに行きました。

 ヤマハのブースは、すっごく大きかったです。フルートのブースに直行です。なにしろ人だかりがありますから、すぐに分かる(笑)。大勢の方々がフルートの試奏をしてましたが、総銀が人気ですね。総銀モデルが演奏したくて人だかりが出来てましたが、木管とかゴールドは逆に不人気でした。意外です。バスフルートは…ない(涙)。バスどころかアルトもありませんでした。ヤマハは製品数が多いので、メジャーな製品しか持ってきていないようです。

 ま、心を入れ換えて、ヤマハのフルートを一通り試奏してきました。やっぱり私的には、ゴールドのメルヴェイユがナンバーワンでした。メーカーの人に尋ねたら、シルバーのビジューが一番人気なんだそうです。ふーむです。

 せっかくヤマハに行ったので、憧れの弦楽器コーナーに行きました。

 ヴァイオリン、もちろん試奏しましたよ、サイレント・ヴァイオリンですけれど(笑)。サイレント・ヴァイオリンはヘッドフォンを使って自分の世界に浸れちゃうので、延々と弾いてしまいました。だってだって楽しかったんだもん。ここでも演奏したのはカーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」。はは、試奏って言うと必ずこの曲なのね、私は。ヤマハの人に「とても楽しまれていましたね」って言われちゃったよ。きっとうれしくって、ニコニコしながらヴァイオリンを弾いていたんだと思う。

 もちろん、チェロも弾いたよ。サイレント・チェロでね。いいねえ、チェロ。でも、サイレントシリーズ的にはヴァイオリンの方が好きだな。生楽器なら、絶対にチェロの方に軍配を上げるけれど、サイレントに関してはヴァイオリンの方がよく研究されているのかな? なかなかいい音がしてました。ま、所詮、サイレントシリーズは自宅練習用なんだから、あんまり音色音色と言ってはかわいそうですがね。ヴァイオリンとチェロで遊びすぎたので、ビオラとコントラバスは遠慮しておきました(奥ゆかしいでしょ)。

 ピアノは、シーボルトが持ってきたという日本最古のピアノのデモ演奏を聞きました。スクエアピアノという種類のピアノでした。なんか、典雅な音のピアノでした。元々は、ベートーヴェンの時代の楽器だそうで、こういうのをリアルで聞いちゃうと、古典派のピアノ曲を現代のピアノで弾くのはいかがなものかと思いますね。だって、明らかに楽器が違うもの。

 憧れの本物のローズピアノを弾きました。これまた本物のハモンドオルガンも弾きました。もう、脳味噌がトロケるくらいに感激しました。その側で、ハモニカのデモ演奏をしていました。ハモニカっていいね。ソロ演奏でも十分に人の心を溶かすよね。機能面から見ればフルートの足元にも及ばない楽器だけれど、音に関して言えば、フルートよりも素晴らしい楽器なのかもしれない。ハモニカは…挫折したんだよなあ、私。立派なハモニカ持っているけれど、全然吹いていないよ。ハモニカに申し訳がたたない気持ちでいっぱいです。

 さて、会場は大雑把に4つに仕切られていました。それぞれは、アコースティックギターがメインの会場、エレキギターがメインの会場、ピアノがメインの会場、サックスがメインの会場と分かれていました。つまり日本の楽器って、この四つが大きな柱ってわけなんですね。意外や意外、サックスで私が思う以上にメジャーな楽器だったんですね。ちなみにフルートはサックスの区分の中でやってました。

 会場をプラプラと歩いていると、色々な人に挨拶されちゃいました。どうやら、かつての教え子たちのようで、へー、楽器業界にもたくさん教え子がいるみたいです、私。驚き。おかげさまで、興味もない会社のカタログを山のように手にしちゃいました。だって、「センセ、カタログを持っていってください」ってニコって言われたら「ありがとう」と言って持って帰るしかないよね~、おつきあいって奴だよね~。おかげでカバンがパンパンになっちゃいました。

 フルートメーカーさんたちも頑張ってましたよ。特にアルタスとサンキョウは結構気合を入れてました。アルタスは(ジャズカルテットの一人として)ジャズフルーティストさんの演奏をやってましたし、サンキョウは現代音楽の演奏家(もちろんフルートね)を呼んでステージしてました。ミヤザワとイワオとジュピターは、ステージこそはやってなかったけれど、一通りのモデルを展示して、試奏させてくれました。疑問なのはムラマツ。力入ってませんねえ…。親会社のモリダイラの中に鍵をかけたショーケースを用意して、そこに18Kのフルートを1本だけ展示していただけで、明らかに力が入ってません。さらに言うと、パールはちょっといただけません。だって、会場に影も形もないんだもん。ありゃあマズいでしょう。私、一生懸命、探したんだよ~、でも見つからない。…かなりガッカリ。楽器業界のおつきあいってのだって、あるだろうに…。ブースを出さないとは…。よっぽど経営が苦しいのかしら。フルートはともかく、本業のドラムのブースは出すべきだと思うけれどなあ。ほんと、ガッカリだし、残念でした。

 ああ、パールのドラム、叩きたかったなあ。ってか、私が最初にマジメに叩いたドラムって、パールだったんだよね。

 意外な人気がアカイでした。ウィンドシンセってすごい人気ですね。私も試奏したかったのだけれど、とてもできる状況ではありませんでした。ああ、あのウィンドシンセ、本当のホントに試奏したかったなあ。プロによるライブショーも見たけれど、あれって、なかなかの可能性を持った楽器ですよ。あれはすごいと思いました。

 あと、人気といえば、リコーダーのアウロスもなかなかの人気でした。私もひととおりのモデルを演奏してみましたよ。テナーリコーダーって、指の間隔が思ったよりも広くって、意外と演奏しづらいんですね。ま、慣れればどってことはないと思いますがね。かえってバスリコーダーの方が演奏しやすいかもしれません。

 トラヴェルソもあって、おもしろかったよ。トラヴェルソの演奏はフルート感覚でできて、楽しいのだけれど、会場の温度のせいもあるけれど、ピッチがかなり不安定だったのが気になりました。でも、ちょっと欲しいかな? D管というのが残念だけどね。ちなみに、リコーダーのついでにトラヴェルソに挑戦する人はたくさんいるんだけれど、やっぱり音を出すのは至難の技のようでした。何も考えないで、トラヴェルソが吹ける私って、やっぱり恵まれているのかな?

 ケロミンって楽器知ってる? カエルのパペット型の楽器なんだけれど、底抜けに面白いと思ったね。老人ホームの慰問とかに持っていくと、チョーウケルと思ったよ。「~ミン」つながりでいくと、テルミンもあったので、演奏してみましたが、ありゃあ、難しい楽器だね。私が弾くと、ノイズジェネレーターにしかなりませんでした(涙)。私には、テルミン系の才能は皆無のようです。

 このブログに来る人はギターにはあまり興味ないだろうけれど、ギターもたくさん試奏してきましたよ。エレキギターの時の試奏曲は、ビートルズの「デイ・トリッパー」な私ですが、いやあ、何度デイ・トリッパーを弾いたことか! ギターは音色や演奏のしやすさも大切だけれど、やっぱり造形だよねえ。カッコいいギターからは、何となく、カッコいい音が出るような気がするから不思議だよね。

 スティール・ギターというのを始めて弾きました。オープンシステムなチューニングで演奏するんだけれど、なんかカッコいいよね。

 いわゆるアコースティックギターもたくさん弾いたけれど、私の愛器(TOKAIのCat'Eyesだよ。まだ国内生産だった時代のギターだよ。今となっては貴重な楽器だね)の方がいい音してると思ったね(えへん)。

 ベースは…それなりに弾いたけれど、善し悪しはよく分かんないや。所詮、ギタリストが持ち替えでベースをやっている程度じゃ、楽器の善し悪しまで分かるところまでは行かないんだな(嘆)。

 そうそう、リッケンバッカーとかハフナーの日本代理店って、今は、レコード屋さんの新星堂なんだね。知らなかったよ。私は黒のリッケンのコピーモデルをは持っているけれど、なんかオリジナルが欲しくなってしまいました。演奏する機会なんてないのにね。

 アウトレットコーナーも充実していて、自分のお土産にCDを6枚買いました。もちろん、フルート関係のCDで、ウィリアム・ベネットとアラン・マリオンを中心に買いました。だって、レコード屋さんで見かけた時は3000円だったのに、ここでは一枚300円なんだも、そりゃあ買うしかないよね。

 あと、コタケのフルートが『純国産!』ってデカデカと書いてあって、新品で6万円(C管)で売ってました。サブフルートとして買うべきだったな?と、帰宅した後、後悔しました。ま、だいたい、買って後悔することもあるけれど、買わずに後悔することの方が多いんだよね、私って。

 ああ、まとまらない文章だ。でもでも、本当に楽しかったよ。疲労困憊になったけれどネ。次は再来年開催だってね。ああ、また行きたい。グローバルさん、また招待状、よろしくお願いしまっす!

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2009年10月21日 (水)

アルタスフルートフェア2009秋 に行ってきました その2~コントラバスフルートは小学生よりもデカイ!

 アゲハのスーパーな調整が終わったので、いつもの恒例行事、フルートの試奏です。

 今回は、まず、ジュピター(発売元は、アルタスと同じグローバル)の新製品であるコントラバスフルート(C管)から吹いてみました。

 すごいよ、コントラバスフルートって。なにしろ、大きい(笑)。どれくらい大きいかと言うと、ウチの息子君よりデカイ。妻は楽器をかなり斜めにしないと、歌口にクチが届きません。それくらいデカイ! マンモス並に大きな楽器でした。ってか、知らない人が見たら、これって、絶対に楽器に見えません。たぶん、何かの工事部材にしか見えないだろうなあ…。

 もちろん、すぐに吹いてみましたよ。歌口のえぐれ具合が指よりも太かったのが印象的でした。吹いた感じは、難しいと言えば難しいけれど、たぶん、私はこの楽器にすぐに慣れて、割と自由に演奏できるようになれると思う。その程度の難しさ。

 ただ、深みのあるキレイな音を出すのは、ちょっと難しいかな。私でもかなり口を縦に開かないとキレイに音が出ません。どうやら、このフルートを十分に鳴らすには、私以上の口腔内体積が必要と言うわけで、つまり私以上の巨体が必要というわけです。そういう意味じゃあ、奏者を選ぶ楽器だなあ。私にも大きすぎるような気がします。

 この楽器の真価を引き出すには、私じゃ力不足だけれど、アンサンブル演奏をするのに十分な程度には、よく鳴りました。たぶん、相性的にはかなりいいんだと思います。

 ちなみに真鍮製の楽器ですが、きれいに銀メッキしてあります。お値段は115万円だそうです。おそらく世界標準と思われる、古田土のコントラバスフルート(C管:真鍮製)が約170万円ですから、かなり手に入れやすいお値段という事になります。台湾製ですが、作りはしっかりしてますし、良い楽器だと思いました。地を這うような低音は、地味ですが、味がありますね。

 これだけデカイと、さすがの私でもコントラバスフルートには食指が動きませんでした。でも、その隣にあるバスフルートには興味津々。さっそく試奏を始めました。縦型と横型の二つがありましたので、まず最初は横型の、アルタス製のバスフルート(リップ銀:約70万円)を吹いてみました。

 一息入れて……惚れました(はぁと)。いやあ、一息入れて惚れたフルートは、アゲハと、パウエルメカ金の木管フルートの2台以来です。いきなり魂、持って行かれました。

 最近、何となく、バスフルートに興味のあった私は、ヤマハの金色のバスフルートとか、ジュピターの縦型バスフルートとか、折に触れ、試奏してきましたが、いずれも、さほど印象に残るようなものではありませんでしたが、今回は違います。これは、かなり良いです。

 何が良いって、一息入れたら、すごく立派な音が帰って来ましたよ。あんまり立派な音が帰って来たので、吹いているコッチがビックリしたくらいです。

 始めて持ったにも関わらず、グランドフルートと同じような感覚で、いきなり曲が吹けました。それくらい扱いもラクラクでした。これ、すごくいいフルートです。すごく深みと色気のある音が出ます。まさに、チェロの笛版のような感じです。横型で大きくて長いですし、重量的には、普通のフルートよりも重いのでしょうが、短時間だったせいもあるのでしょうが、私的にはあまり気になりませんでした。これならイケそうですね。

 バスフルートと言うと、アンサンブルの一番下を支える、縁の下の力持ち的な楽器のはずですが、これは、そんな風に使ったら、もったいない楽器です。この楽器でメロディーの演奏、十分に行けます。

 いいなあ、これ。もちろん、クラシックでは全く出番がないバスフルートですが、これ、ジャズのセッションに持っていったら、すごくおもしろいと思う。ベースを吹いてもいいし、メロディーを吹いても可。シブく対旋律を吹いてもオシャレだし、いいよ、これ。私的には、グランドフルートよりも、こっちの方がしっくり来る感じです。

 それに、だいたい、こんな楽器、他に吹いている人いないし(笑)、これを持っていたら、あっと言う間に、湘南ジャズ・バスフルート界でテッペンとれるかも(大笑)。

 もっとも、そんな戯言を言えるのも、おそらくは、私とアルタスのバスフルートの相性が良いからだと思います。私って、やっぱり、アルタスっ子なのかな?

 ともかく、このバスフルートと私、すごぶる相性が良いみたいです。その証拠に、春にも吹いた、ジュピターの縦型バスフルートを今回も吹きましたが、こちらは、やはり春の時と同じ印象で、音は大きくきれいに鳴りますが、それだけの話です。あの時は、とてもいい楽器に思えたのだけれどなあ…。とにかく、私が吹くと、音に色気がないので、アンサンブルの下支えがせいぜいで、メロディを吹く気にはなれませんでした。この楽器とは、さほど相性の悪さは感じませんが、アルタスのバスフルートとの相性ピッタリ状態と比べると、やはりもの足りません。そばにいたアルタスの営業さんからも「さっきのフルート(アルタス)と比べると、こっちのフルート(縦型フルート)とお客様は、相性があまり良くないみたいですね」と言われちゃいましたもの。両方とも自社製品なんだから、これは正直な感想ですね。

 ちなみに、ヤマハのバスフルートは、私とは相性が良くないです。個体によっては音すら出せません。バスフルートはグランドフルート以上に相性問題がありそうですね。ううむ、古田土のバスフルートを吹いてみたいぞぉ~。

 あ、補足しておくと、ヤマハのバスフルートがダメという意味じゃないので、誤解しないでくださいね。これはあくまでも、私とそれぞれのフルートの“相性”の問題ですから。人によっては、評価が間逆になることだって、十分あります。

 ちなみにジュピターの縦型バスフルート(総洋銀:台湾製)のお値段は、約60万円です。ヤマハのバスフルートが総洋銀で約80万円でした。特殊管で有名な古田土だと、リップ銀のバスフルートが約90万円、管体銀のバスフルートだと約110万円になります。ならば、アルタスのリップ銀で70万円というのは、かなり頑張った価格設定なんだろうと思います。

 それにしても、70万円でこれが買えるなら、マジで真剣に小遣い、貯めちゃおうかな? ローン組んじゃおうかな? 宝くじがあたったら、ゴールドフルートよりも先に、このバスフルートを買っちゃった方がいいんじゃないかって気がしてきました。

 ああ、アルタスのバスフルート、欲しいぞぉ~。

 素敵なフルート(アルタス・バスフルート)とめぐり合ってしまったために、なんかもう、お腹いっぱいになってしまいました。会場には、たくさんフルートが並んでいるけれど、もう試奏なんて、どうでもいいやって気分です。

 もう帰ろうと思った時に、フルートワールドでアルタスのゴールド系のフルートを吹けなかった事を思いだしたので、最後にゴールドフルートを吹かせてもらうことにしました。もちろん、比較のために、展示してあった1307と18K(ただしメカ銀)を交互に吹いて、比べてみました。ちなみにお値段は、アルタスのゴールドフルート(管体18K・メカ銀)はドゥローンで約230万円、ソルダードで約280万円でした。宝くじが当たれば、買えない金額ではありませんね。

 印象ですか? 私たちが通常感じる、ゴールドフルートとはかなり音色が違うことにビックリしました。この音色では、かなり好き嫌いが分かれるんじゃないかと思われます。と言うのも、このフルートは、管体に18Kを使っているにも関わらず、音色がほどほどに明るくて派手めなんです。粘性がやや低めというか、渋いというよりもパステル色っぽい印象なんですね。

 非難を覚悟の上で書いちゃうと…私、このフルートを吹いた時に「これって、ベネットじゃなくて、ランパルなんじゃないの?」って思いました。

 そう、今までのアルタスフルートって、ウィリアム・ベネットっぽい音だったじゃないですか? でも、このゴールドフルートは素材が違うせいもあり、ベネットとはちょっと方向性が違います。で、私の脳裏にピンときたのが、ランパルなんです。

 もちろん、私はランパルはCDでしか聞いたことないし、特にファンと言うわけでもないし(その割には結構たくさんランパルのCD持ってます:笑)、だいたい、私の乏しいフルート知識から言えば、ゴールドフルートってのは、ゴールウェイ以降、一般化した素材でしょ。ランパルはゴールウェイ以前の方ですから、当然総銀の方でしょ。だから、的外れな意見だと言うことは百も承知の上で書いちゃいますが、私はアルタスのゴールドフルートを吹いて、ランパルを連想しました。以上です。

 それに、アルタスって、ルイ・ロットを目指しているメーカーですよね。ランパルはヘインズだから、やっぱり理屈で考えると…違うよね。でも、そう感じたんですよ、私は。

 ま、とにかく言える事は、アルタスのゴールドフルートは、今までの総銀フルートとは、作り方は同じなのかもしれないけれど、素材の違いで、かなり性格が違うフルートになっています。

 それにしても、ランパル系の音(って勝手に決めてますが…:笑)って、今は流行らないよねえ…。今は何と言っても、クラシック系のフルートの理想の音はゴールウェイ系の音でしょ。つまりは、ムラマツ風味なダークでリッチでしっとりした音。これが現代の流行の音色なわけで、アルタスはゴールドフルートでも、ムラマツとは違う方向のフルートを作っちゃったというわけですね。

 ゴールドフルートだから、お値段的にも愛好家の購入はなかなか難しいよね…。となると、このフルート、プロの方々には、一体どれほど受け入れられるのが勝負ってところでしょうね。 総銀フルートほどに受け入れてもらえるのでしょうか? このゴールドフルートは最近の作品だそうですから、ここでアルタスのメーカーとしての器が試されているのだと思います。ゴールドも作る(つまり、プロ使用にも耐える)フルートメーカーとして飛躍するのか、総銀にこだわる(つまり愛好者たちにマニアックに愛される)フルートメーカーのまま留まるのか。

 …ああ、応援したい。でも、さすがにゴールド系は簡単に買えないよ。でも、これだけ、世の中の主流とは違う音色だと、生半可なプロ奏者だと怖くて使えないよね。まずは、トップレベルのフルーティストさんたちを攻略していかないと、将来はないよね…。

 頑張れ、アルタス。私はアゲハを吹きながら、応援します。まだ若いブリヤコフあたりがPSから乗り換えたら、おもしろいのに…と思うけれども、はてさて。

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2009年10月20日 (火)

アルタスフルートフェア2009秋 に行ってきました その1~あなたは自分の楽器の製作者の顔と名前を知っていますか?

 「アルタスフルートフェア2009秋」に行ってきました。目的は「無料調整会」と「アルタスフルートの試奏」です。

 さっそく行ったところ、私の姿を見かけるなり、アルタスの営業さんの方から挨拶されちゃいました。すっかり顔なじみになってしまったようです(照)。

 さてさて、アゲハの調整です。営業さんから今回の職人さんのご紹介がありました。アルタスの製造部門のエラい人のようです。

 さて、調整の前に、みんなでアゲハの検分です(笑)。営業さんがおっしゃるには「だいぶいい色になってきましたねえ」との事。“いい色になる”とは硫化の進み具合の事です。アゲハは管体の表面はまだまだキレイですが、中は少しずつ黒ずんできています。この黒ずみがフルートの音色に良い影響を与えるのだそうです。1307は硫化を楽しむタイプのフルートなので、黒くなればなるほど、本領発揮する(はずの)フルートですから、この一年で、だいぶアゲハも成長してくれたということなんです。

 目立った故障もないと言うことで、さっそく調整開始です。

 例によって、アルタスのフルート職人さんと、対面で色々な濃ゆいオタク話などをしながらの調整となりました。私が感じている不都合とか、どんな音が欲しいのかとか、そんな話を世間話を交えながらしていきます。それを聞きながら、職人さんが調整をしてくれるわけです。

 いやいやいや~、今回、驚きの事実が分かりました。と言うのも、アゲハの調整してくださったSさんは、実はアゲハの製作者の方でした(驚愕!)。この人がアゲハを作ってくれたのです。今、アゲハは、製作した職人さん自らの手で調整されていると思うと、なんとも感無量でした。

 なぜ、このSさんがアゲハの製作者かと分かったと言うと、Sさんから工場でのフルートの作り方のオタク話を聞いていた時のこと。フルートはみんなで分担して作っていくモデルと、一人の職人で作っていくモデルの二種類がありますって話で、この1307は一人の職人が作っていくモデルなんですよという話が出ました。そこで私が「ならば、シリアル番号から調べれば、どの職人さんがどのフルートを作ったかは、すぐに分かりますね」と尋ねたら「そんなことをしなくても分かりますよ。これは私が作ったフルートです」と即答。「え? なぜ分かるんですか」と尋ねると「職人それぞれに、やはり癖がありますから…。このフルートの作り方は、私の癖がはっきり出てますから、これは私が作ったフルートに間違いないです」と言いました。私らユーザーから見れば、同じアルタス1307であっても、職人さんから見れば「これは○○さんが作った1307、こっちは◎◎さんが作った1307」と即座に分かるのだそうです。

 へー…って感じの話です。この人がアゲハを作ったんだ。つまり、アゲハは今、実家のお父さんに来てもらって、調整してもらっているわけなんだ。まるで、天馬博士にメンテされているアトムのようなものだな。

 さらに驚きの事実がありました。このSさん、実はウチの近所の人でした(驚)。もちろん、今はアルタスの工場のある安曇野に住んでらっしゃいますが、それ以前はずっとウチの町内の人で、私が一丁目なら、彼は三丁目の人でした。その事実が分かるや否や、今度は濃ゆい地元話になりました(笑)。

 アゲハは、ウチの近所の人がフルート職人になって作ってくれたフルートなんだと思うと、何か不思議な縁を感じます。ならば、私がアゲハを手にしたのも、必然の出来事だったのだと思えます。

 それはともかく、調整の話。

 今回のアゲハさんの調整のポイントは、低音のキレを良くしてもらうことです。全般的な調子はすごぶる良いアゲハなのですが、やはり低音の方のキレがあまり良くありません。シシリエンヌでの低音Cには苦労しています。もちろん、私のテクニック不足(ポイントを外し気味)もありますが、それはそれとして、せめて楽器の方だけでも、ピシッとして欲しいと思いましたので、そういう注文で調整をお願いしました。

 無料調整会でしたけれど、Sさん、さっそくアゲハを分解。まずは全部のパーツをばらして、磨き始めました。そして、バネの一つずつ、パッドの一つ一つをチェックして、中の薄紙を切ったり貼ったりして微調整を始めました。実に丁寧な仕事です。

 フルートのパッドは、生体(フィッシュスキンですね)を使っている以上、必ず経年変化をするのだそうです。アルタスでは、二枚のフィッシュスキンを両側からフェルトで挟み込んだものをパッドとして使っているそうでが、このフィッシュスキンがどうしても時間が経つにつれてゆがんでくるのだそうです。だからこまめに、この生体部品の変化に合わせて、薄紙で微調整して、パッドの表面を平らな状態にしておかないといけないのだそうです。

 さらに言うと、この微調整も、どこまでやるかが難しいのだそうです。シビアに追いこんだ調整をすればするほど、フルートのパッドに遊びが少なくなり、すぐに次の調整が必要になるのだけれど、ある程度遊びを確保して調整すると、次の調整まで時間が稼げるのだそうです。その代わり、遊びの分だけ、調整も甘くなってしまうのだそうです。だから、どの程度までの調整をするかが、難しいところなのだそうです。調整というのは、いたづらにシビアにやればいいと言うものではないようです。

 そんな話をしながら、Sさんが一通りの調整をしてくれました。まずはSさんが試し吹きをしました。…涙が出るくらい、美しい音でアゲハが鳴っています。こんなにキレイな音でアゲハが鳴るのは、私がアゲハを購入して以来、始めてかもしれない…。こんなに素敵な音色で鳴るフルートを聞いたのも、もしかすると始めてかもしれない…と思いました、冗談抜きで!

 「どうでしょうか?」と言うわけで、私が吹いて確認してみました。アゲハのグレードが一つも二つもアップしたような音で鳴っています。調整の威力って、すごいです。一通り試したあとで「だいぶ、調子が良くなっていて、いいですね。低音も、以前よりもキレが良くなってます。ただ、私のテクニック不足なのか、やっぱり低音は難しいですねえ…」とつい(!)言ってしまったものだから、Sさん、職人魂に火がついてしまったようで「…もう一度貸してください」と言って、またまたアゲハを分解しちゃいました。

 軽い感想が、Sさんにはダメ出しに聞こえてしまったみたいです。も、申し訳ありません(謝)。

 もう一度、アゲハを分解して、今度は部品の一つ一つを微妙に曲げ始めました。「このフルートは銀でできているので、柔らかいんですよ。人の力で、微妙に曲がってしまうんですね…」と言いながら、アゲハの部品のゆがみを一つ一つ取り始めました。…無料調整会なのに、ここまでお世話になっていいんですか?

 「さあ、今度はどうでしょう…」と言いながらSさんが試奏します。

 試奏の段階ではっきり分かりました。アゲハの管体が音によく共振しています。ちょっと、これ、すごいですよ…。

 私に手渡されて、吹いてみました。…低音のキレが良いどころの騒ぎではありません。なんですか、このフルートは! 低音Cですら、軽く息を入れただけで、キレイに響き渡るような音を出しちゃうじゃないですか。もちろん、他の音は言うまでもありません。第三オクターブなどは、楽に吹いても、耳が痛くなるほど響きます…ってより、響き過ぎです。キーンキーン来ます。…耳痛いです(涙)。

 あと、少なめの息でもたっぷり鳴るようになり、小音量での音のカスレもかなり改善されています。反応がすごく良くなったので、今まで滑っていた十六分音符もクリアに吹けて、驚きました。今まで、十六分音符がうまく吹けなかったのは、フルートのせいだったんだ…。もちろん、高音EとかFisとかも、何の意識もしないで通りすぎるくらいに楽に吹けちゃいました。ううむ、調整って大切なんだな。

 なんか、とんでもない精度の調整をしていただけたようです。…無料調整会なのに、すごぶるバッチリです。調整だけで、軽く1時間オーバーでした。これ絶対、無料調整会での調整の範囲越えてるよなあ…。

 Sさんから、お手間をかけて申しわけないと言われました。この1307は、マメに調整をしないといけないタイプのフルートなんだそうです。そういう意味ではデリケートなフルートなんでしょう。良いフルートなんですが、気難し屋で繊細な部分があるんです。マメに調整して、いつも良い状態で吹いてくださいと言われました。なんか「ふつつかな娘で面倒ばかりおかけしますが、今後ともよろしくお願いします」って言われたような気がしました。いえいえ、私の方こそ、これだけのフルートを作っていただいて感謝です。

 とにかくアゲハがシャレにならないくらい、反応が早くて、よく響く、無敵なフルートになっちゃいました。もう、演奏のミスは、フルートのせいにはできないです(笑)。

 しかし、総銀フルートでも、調整さえしっかりすれば、こんなにすごい事になるんですね。音量を稼ぐとか、音のキレが欲しいとか、そういう目的でゴールドフルートを所望しているならば、ゴールドは要らないです。ちゃんと調整すれば、総銀でもかなりのレスポンスが得られます。少なくとも今の私にとって、アゲハは明らかにオーバースペックなスーパーフルートになっちゃいました。すごいよ、このフルート、マジで。

 とは言え、ゴールドにはゴールドの音色はあるし、やっぱり物欲的にはゴールドは、ぜひ欲しいフルートです(笑)。

 さて、調整を終えた私とアゲハ。当然のように、私はフルートの吹き比べをしに行ったのです。その話は…長くなったので、また明日。

 おまけ。今回分かった、もう一つの事。フルートの音って…これは私だけの感覚かもしれないけれど…指から手や腕に伝わって胸に響いて、それが息に乗って、もう一回フルートに入るような気がします。

 と言うのも、調整されたアゲハを吹いていると、指や手や腕がすごく良く共振しているのが分かるし、胸はかゆくなるくらいにビリビリ来ている。こんな体験始めて…。

 あ、でも、フルートが当たっているアゴの骨から首~背骨を経由して肋骨に振動しても、胸がかゆくなるか。アゴがビリビリするのは以前からだから、あまり気にしてなかったけれど、こっちの線も濃厚だな。どちらにしても、胸がかゆくなるのよね、ビリビリして。これが妙にいい感じなんだよね。

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2009年8月20日 (木)

ブランネンとかアキヤマとかナガハラとか、やっぱりアルタスとか…

 銀座山野のフルートフェアに行った話は、すでにたかさんがブログで書いているので、御承知でしょう。今回は、私目線のフルートフェアの話を(今更ですが)します。いやあ、お盆進行だったもので、今頃のアップで申し訳ありませんねえ…。

 さてさて、今回のフルートフェアはイベント参加をメインとしたので、あまりフルートの試奏はしませんでした。それでも、一応、数本の試奏をしてきましたので、その感想を書きます。

 まず会場入りをして、真っ先に目についたのが、変な頭部管のフルート。尋ねたところ、アイハラフルート[※1]だそうで、リッププレートが貝やサンゴやグラナディラでできているそうです。ちなみに、タイやヒラメのリッププレートはありませんでした(笑)。

 とにかく、こういうゲテモノ(失礼)は大好きなので、さっそく吹いてみましたが…音色に関しては、うまく形容できる言葉が思いつきませんでした。とにかく、それぞれがかなり違います。「ああ、一般的なフルートの音じゃあないな…、では、この音はなんだろ?」 これが正直な感想です。色で例えると、中間色のような、何とも形容し難い音でした。

 とにかく、音がいわゆるフルートの音ではありませんでした。見かけ同様、かなり変わった音です。フルートを何本も持っている人が、コレクションにして、他人に自慢するのに良い笛だと思いました。

 おまけに、ちょいと吹くのが難しいな、とも感じました。これは、それなりに吹き手を選ぶフルートだなあと思いました。まあ、どのみち、 アイハラフルート[※1]って、初心者など相手にしていなフルートですから、これらのフルートも当然、初心者向けのモノではありません。初心者でなければ、フルートを何本も所有する人もいるでしょうし、曲によってフルートを使い分けたりするでしょう。そういうレベルの人が所有すべきフルートだと思いました。

 だから、私レベルの人間がどうこう言えるような、そんな楽器ではないと言うことです。ま、話のネタとしては、十分おもしろかったです。そして、これだけ趣味性の強い、笛オタク向けの楽器は、フルートワールドのような、展示即売会でこそ映える楽器ですね。私だって、そこに並べてあったらから試せたわけで、普段のようにショーウィンドウの中に並べただけなら「変なフルート?」でお終いだものね。これ、確かに“変”だけれど、十分、実用品です。人と違ったフルートを吹きたいという人向けです。

 「これはいかがですか?」といつもの店員さんに声をかけられて、薦められたのは、ブランネンの総銀ハンドメイドって奴です。総銀なのに230万円もするフルートでした。

 これねー、いいのよ。とっても。海外フルートは、今までパウエルしか吹いたことがなかった私ですが、ブランネンもいいね。この私が吹いても、CDでよく聞く上手なフルート奏者の音がします。ううむ、このフルートを持つだけで、数段、私の腕前が向上したような気分になれます。それに、あんなにうるさい会場でも、ピーンとした音が出て、壁に跳ね返ってくる反射音がちゃんと聞こえます。これ、すばらしく遠鳴りのするフルートなんだと思います。

 こいつに感心していると「こちらもいかがですか?」と、同じブランネンの総金のフルートを渡されました。ALL18Kのブランネン。値段はもう見ませんでした(どうせ、1000万円近くするんだろうなあ…)。

 …絶品でした。総銀のブランネンもよかったけれど、総金のブランネンはさらにいいです。何より、音がとても優しくなって、私好みです。あれ~、私はゴールドの音がキライだったはずなのに、なぜかブランネンのゴールドの音には惹かれているよお~。

 なんか、全身を耳にして、ゴールドブランネンを堪能しました。至福至福。あれだけうるさい会場なのに、もう、私の耳には、ゴールドブランネンの音しか聞こえません。ああ、贅沢。それにしても、吹き心地が良いです。壁に反射した音がきちんと聞こえます。これ、すごく良いです。

 ゴールドフルートなら…ブランネンとパウエル(とムラマツ)かな。静かな環境で、じっくり、この二つの会社のフルートを吹き比べてみたいものです。

 ナガハラの総銀も吹いてみました。フルコンサートって奴です。値段ですか? 180万円でした。ああ、金銭感覚がマヒしそう。ナガハラもいい感じでした。甘い音がします。吹いた感じもいいです。さすがは、ゴールウェイが選んだメーカーです。もっとも、彼のフルートはゴールドフルートですが…。

 この総銀のフルコンサートは、私との相性はさほど良くないのか、壁からの反射音はあまりよく聞こえませんでした。そこで、たかさんを呼んで、私の代わりに吹いてもらいました。もちろん私は、その音を離れて聞きました。

 たかさんが吹いているのを、そばで聞いた感じは、自分で吹いたのと同じ甘い音色ですが、ちょっと離れて聞くと、あれあれって思いました。そばでは甘く聞こえるナガハラですが、離れて聞くと、ちょっと辛口というかドライな音になりました。へー、聞く距離で音が変わるのもおもしろいなあと思いました。こういう経験は、以前、フルートマスターズの試奏の時に感じました。こういうフルートは、奏者の聞く音と、観客の聞く音が明らかに違うので、その辺の計算ができる奏者じゃないと、難しいですね。これでは、壁からの反射音を探そうと思っても、それと知れていないと難しいです。道理で、自分では分からなかったはずです。

 ちなみに、ナガハラは、音色は変わるものの、音そのものは、あの雑踏の中、スーっと響き渡りました。ただし、奏者はたかさんなので、当たり前と言っちゃう当たり前ですが。彼はフルートを相当鳴らしますよぉ~。

 たかさんにナガハラを渡したら、かなり気に入ったらしく、その後しばらく、ずっと(笑)吹いていました。やっぱり、ナガハラフルートって良いフルートのようですね。

 そう言えば、ナガハラのゴールドのフルコンサートは見当たりませんでした。きっと、私が来たので隠したのかな? あいつに下手に吹かせて、悪口かかれたら、たまらないぜ!ってところでしょうか(自意識過剰な私です:笑)。

 たかさんが、ナガハラにご熱心になってしまったので、私はノコノコとアルタスのブースに行きました。もちろんお目当ては、先日吹けなかったゴールドフルートです。

 すでに先客がいらっしゃたので、しばらくは、その方の試奏をそばで黙って聞かせていただきました。その方は、1307 -> 1207 -> 1007 -> 907 って感じで、ワンステップずつ、グレードを落としながら吹き比べていました。アマチュアの方のようで、この方が吹かれるのを聞いていると、私自身で吹き比べるよりも、それぞれのフルートの素性がよく分かっておもしろかったです。

 それぞれに良い音でした。アルタスフルートはなかなか良いフルートですね。まあ、楽器店やメーカー的には、お高いフルートをバシっと購入してもらいたいのだろうけれど、音の違いはあれ、それぞれのフルートは皆良い品で、あとは好みの問題だなあと思いました。値段が高いから、良い音が鳴るのではなく、その奏者の色々な特徴とフルートの特徴が合致した時に、一番良い音が出るのだと思います。で、どんな音が良い音なのかと言うと…簡単に言うと、吹いていて気持ちいい音のことでしょうね。だから、一番好きな音のするフルートを、お値段に関係なく選べばよいのだと思います。

 ま、であっても、1307はいいフルートだと思いますよ(笑)。

 その方の試奏(最終的に何を選ばれたは知りませんが、私が聞いた範囲では1307が一番お似合いでしたね)が一通り終わったので、一本だけあった、ゴールドフルートを試奏させていただきました。18Kの管体(メカは銀)に22Kのメッキをした、全身ギラギラのゴールドフルートでした。

 音は…あの環境だったので、全然分かりません。一体、どんな音がするんだろ? 吹き心地は、1307とほぼ同じでした。だから、いつもと同じように吹いてみると、同じような吹き心地なのだけれど、音が全く聞こえないと言うのは、なんか気持ち悪いです。

 それにしても、メッキはやっぱり私の好みではないなあ…。メッキフルートを否定するつもりは毛頭ないし、信用しないわけではないけれど、メッキしちゃえば、細部の仕上げを手を抜いても分からないもんなあ…。作っている最中の作り手の心の中に「こいつはメッキ仕上げだから…」という気持ちが全く無いとは言えないと思う。

 仕上げうんぬんを除いても、メッキって、本来の管体の響きをかなりマスクしてしまうでしょ。これは、プラチナメッキのフルートからは銀の響きがあんまりしない事からも分かります。メッキって、音に与える影響大きいし。

 あと、私はこれでも関東の人間なので、あのピカピカは…ネ。あのピカピカは西の人間のノリだと思う。太閤秀吉なら、大喜びでしょう。

 ただ「管体は金色なのに、メカが銀色でかっこ悪いよぉ。だけど、メカもゴールドにするほど予算はありませ~ん」って人には、バッチグーだと思う。でも、管体が金色で、メカが銀色ってのも、キカイダーや仮面ライダー・ダブリューみたいで、かっこいいと思うけれど。

 そう言えば、アルタスは、1107の管体銀のフルートにも、18K金メッキを施したものをラインナップしているよね。もしかすると、アルタスでは、今、金メッキが流行中? ま、それでアルタスの売り上げが伸びて、良いフルートをバンバン作ってくれるようになったら、それはそれで良しなので、ぜひ頑張ってほしいと思います。

 とにかく、どこかで、アルタスの無垢の総金フルートを吹いてみたいものですが、なかなかチャンスがありません。ま、次のフルートを急いで買う必要もないので、ゆっくり探していきたいと思ってます。

 さて、今回の銀座山野のフルートワールドは、イベント参加が目当てでした。実際、イベントはなかなかおもしろかったよ。

 感想は…

 ジャズは生ピアノが入ると引き立つよね。…と言うか、カラオケをバック演奏に使っちゃうと、それはジャズではなく、ジャズ風に感じちゃうんだな、私。

 アルタスは、プレゼンもおもしろかったけれど、プロ奏者による、ALとPSの吹き比べなんて、聞きたかったな。

 一流のプロが吹くと、頭部管銀も強化銀も同じ響きがするものだな。素材の違いは腕前だけじゃ乗り越えられないって言うけれど、だったら、洋銀と強化銀って、素材の特性が似ているのかしら?

 それと、山野楽器のそばには、オジサンたちが、しけこむのに恰好なお店がウヨウヨありました。ああ、オムライス喰いたい、天ぷら喰いたい、あんぱんも喰いたい。

 来年もまた、フルートワールドに行きたいなあ。人手が寂しかったけれど、来年…開催するかな?

 蛇足。宝くじ(サマージャンボ)当たりました。300円でしたが…。これではフルートは買えません。次の宝くじは…オータムジャンボですか。来月発売かな? あああ、仕方がありません、ゴールドフルートの購入は今年の秋に延期です(マジですよ)。

 追記[2009年9月26日]  [※1]について。当初はこの部分を「アキヤマフルート」と書きましたが、どうも私の勘違いだったようで「アイハラフルート」が正しいようですので、訂正を致しました。ご指摘くださったセンニンさん、ありがとうございます。間違えてしまったアキヤマフルートさんとアイハラフルートさんには、深くお詫び申し上げます。

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2009年8月18日 (火)

金と銀のフルートの吹き比べをしてきました

 まもなく、アゲハがウチに来てから1年になります。無料調整期間もそろそろ終わりなので、(無料サービス期間内の)最期の調整に出しました。で、例によって、調整中にフルートの試奏をして、アゲハが出来上がるのを待ってました。

 今回の試奏のテーマは「フルートをアップグレードするなら、次は銀にするべきか、金にするべきか。お薦めしてくださいな」です。

 いつも親切な店員さんが、私のオーダーで持ってきたのが、アルタスPSモデル(総銀)。あれ、ALモデルじゃないの?って尋ねたら、1307ユーザーのアップグレードだったら、PSでしょうとの事。まあ、銀の含有率は増えるし、より遠鳴りするし、確かに妥当で現実的なアップグレードですよね。ちょっと音色の傾向は変わるけれどね。と言うか、1307からALでは、あまりに音が変わらなさすぎて、アップグレードの意味が薄いかも…。

 アルタスPSモデルは、相変わらずに、善くも悪しくもPSモデルの音がしました。でも、PSモデルを買うなら、すとんスペシャル(こちらの記事に書きました)をオーダーした方がいいだろうな。

 「アルタスにも金のラインナップはございますが、ただ今当店には在庫がないもので…」と申し訳なさそうに持ってきたゴールドフルートは、ムラマツの14Kでした。ま、ゴールドフルートと言っても、管体金(メカ銀)です。たしかに1307ユーザーが、次のフルートをゴールドフルートにしたいと思ったら、これをチョイスする可能性はたしかに高いですね。

 吹いてみました。あれー?と思いました。と言うのも、このフルート、そんなに悪くないです。と言うか、案外良いです。私はムラマツフルートとは相性が悪いし、ムラマツの音はキライと思ってましたが、このフルートとは、そんなに相性が悪いとは思いませんでしたし、音も、これはアリだなって思いました。このフルートがたまたま、ムラマツの中では私と親和性が高い個体なのか、私自身が成長をして、やっとムラマツが吹けるようになってきたのか、その辺は定かではありませんでしたが、ムラマツのゴールドもなかなか良いし、好きになれそうなフルートだなあと思いました。

 ただ、PSとの音の違いが、素材の差なのか、メーカーの差なのか、これでははっきりしません…とボソっと言ったところ、店員さんが次に持ってきてくれたのが、パールの金銀でした。総銀の方がオペラ、ゴールドの方は、マエスタゴールド(14K管体金)でした。頭部管は両方ともPHN-1でした。たしかにこれなら、素材の差が分かりやすいです。

 吹いてみました。シルバーとゴールドの素材の差が、誰にでも分かるくらい、音色の差につながりますね。ゴールドは管体金ですか、メカまで金の総金モデルだったら、もっと顕著に音色の違いとなって現れるでしょうね。

 シルバーの音は、例えて言うと上等な鈴の音。キラキラしていて派手でしっとりしてます。ただ、私が下手なせいか、高音域になると、ちょっとばかり耳障りのつんざく感じになってしまうのが残念です。

 対して、ゴールドの音は、鈴というよりも鐘。小振りな鐘の音です。みっちりとして地味で落ち着いた感じです。高音域になっても、それほど音色的に暴れません。

 シルバーもゴールドも、どちらも楽器の音色としては、かなり美しいですし、たしかに違う音色だけれど、優劣の差はつけづらいなあと思いました。ただ、好みという面で見れば、はっきり意見が分かれるだろうとは思いますし、CDで聞けるフルートの音は、やっぱりゴールドフルートの音が多いと思いました。

 これだけ音色がはっきり違ったら、総銀フルートは総銀として使い、買い足しでゴールドという選択もアリですね(お財布さえOKなら)。ただ、やっぱり私は銀の笛の音の方が好きでした。

 マエスタゴールドとムラマツ14Kを交互に吹いて比較してみたら、私の好みはどっちか言うと、ムラマツかな?って気がしてきました。総銀だったら、絶対にパールをチョイスする私ですが、ゴールドだとムラマツの方を好ましく思うなんて、私もだいぶ変わりましたね。マエスタゴールドは私が吹くと、時折音が割れるんですね。おそらく息のポイントがアルタスとはかなり違うのでしょうね。店員さんに相談したら、パールは息を上から下へ吹き込むと良く鳴る傾向があるそうです。アルタスは内吹きでやや下向きに息を吹き込むのだから、息の吹き込み方が、たしかにかなり違うようです。

 その点ムラマツはかなりのムチャ吹きにも答えてくれました。アゲハと併用を考えたなら、ムラマツをチョイスする方が正解かもしれません。それにしても、ムラマツは息のポイントが広いなあ…。

 そうこうしている内に、店員さんがパウエルの金銀を持ってきてくれました。アルタスからのアップグレードなら、パウエルもありでしょう…って事です。

 金は管体金の14Kモデルです。総銀の方はコンセルヴァトリーでした。頭部管は、両方ともヴェンティでした。ああ、ヴェンティで良かった。私はヴェンティだと、あまり心が惹かれないのですよ。これがフィルハーモニーやソロイストだったら、確実にメロメロになっていたと思います。

 パウエル、いいね。やっぱりいいね。特に14Kはいいね。それにいい感じに息を呑んでくれます。どんなにムチャ吹きしても、きちんと答えてくれます。吹いていて気持ちいいです。ゴールド買うなら、ムラマツかパウエルか…って感じだなあ。

 何だかんだと言って、一時間ほどフルートを吹きっぱなしだったので、疲れました。そこで、私は休んで、妻にゴールドムラマツを吹かせて様子を見ることにしました。妻はこれでも、フルートを鳴らせるんですよ。音階程度なら吹けるし(笑)。

 ところが、ムラマツはなんかダメなんですよ。たしかに音は出ているのだけれど、音量が極端に小さい。ポイントをハズしているかと思い、確認させましたが、ポイントをハズしいるわけではありません。どうやら、いくら鳴らしやすいムラマツフルートと言えども、素人女性にはゴールドフルートは荷が重かったという事だったのです。面白いくらい、息が音にならないのですよ。あれだけ、シルバームラマツを高らかに吹き鳴らした妻ですが、ゴールドはやはり手ごわいって事ですね。

 考えてみれば、去年の今頃なら、私も今の妻と同じだったかもしれない。あの頃の私では14Kのフルートはたぶん鳴らせない。音が満足に出なかったと思う。あの頃は、普通の総銀でもヒーヒー言ってたもんなあ…。アゲハだってロクに鳴らせなかったけれど、音の美しさだけでチョイスしたんだっけ。

 あれから一年。いやあ、実に私は成長しました。このアゲハ先生の元で、フルートの何たるかをきっちり教えてもらったおかげで、今では苦もなく14Kフルートが試奏できるまでになりました。いやあ、アゲハ先生、ありがとう。

 思わず、自分の成長の成果を確認できました。

 そうこうしているうちに、アゲハの調整が終わって戻ってきました。

 さっそくアゲハを吹いてみました。…いやあ、実に、美しいし、よく響く。何という事か、今日のナンバーワン・フルートはアゲハちゃんでした(汗)。100万円クラスの総銀フルートよりも、14K管体金のフルートよりも、アゲハちゃんの方が良い音でよく響くフルートであることが証明されました。

 もちろん、これにはカラクリがあります。私は毎日アゲハを吹いているので、この娘のことはよく分かっているつもりだし、アゲハも毎日息を吹き込まれているわけで、よく鳴るような状態になっています。それに比べ、他のフルートは試奏のご指名がなければ、常にケースで寝ている子だし、私はこの娘たちの鳴らし方をよく知らないし…そういう意味では、条件は全く違うわけだから、これだけで結論付けるのは、フェアじゃありません。

 それにサ、やっぱり、なんだかんだ言っても「ウチの娘、ナンバーワン」なんだよね。どうしても、情で見ちゃうしね。

 アルタス1307…確かに、最高級品の楽器ってわけじゃないし、メーカーの広告塔であるトッププロの愛用フルートには絶対あがらないフルートです。だけど、英語でフルートサイトを漁ってみると、案外多くのプロ奏者たちが、1307を愛用している事を公言しているし、おそらく公言せずに地味に普段使いのフルートにしているプロの人は、大勢いると思われます(この部分は推測です)。ましてや、アマチュアならば…ね。

 冷静に考えると、1307って、ハンドメイド総銀フルートとしては、平均よりも、ちょっとランクが上の「ちょっと背伸びをしてみました」系のフルートなんだよね。その割には、総銀フルートとしてはお手頃価格だし、コストパフォーマンス、高いよ(笑)。趣味のオジサンの持つフルートとしては、ちょいと贅沢? 普通の大人の趣味なら、頭部管銀のフルートで十分だもんね。それを考えると、もう少し、1307のアゲハで頑張るのも悪くないかなあ…って気がしました。

 それにしても、アルタスのゴールドフルートを吹けなかったのは、返す返すも残念。次の試奏のチャンスの時に、アルタスのゴールドがあれば、ぜひ試奏をしたいものです。

 実は内緒の話(って、ブログに書いたら、全然内緒じゃないけれどネ)ですが、パウエルのゴールドヴェンティを、試しにアゲハに差してみました。これがねー、サイズがぴったりだったのよ! それで吹いてみたら、あれあれ、すごくいいのよぉ~。パウエルとアルタスの良いとこ取りみたいな音がします。パウタスって、すごくいいじゃん。

 あんまり、パウタスがよかったので、しばらく吹き続けちゃいました。ううむ、まるまるフルートを買い換えるのではなく、頭部管だけ取り替えちゃうというのも、十分アリだなあと思いました。

 最後に店員さんに「いかがでしたか?」と尋ねられたので、正直に「自分のフルートが一番だと思いました」と伝えたところ「それはそうでしょうね。でも、こちらのフルートも吹き込むほどに音は変わってゆきますよ」と言ってました。たぶん、そうなんだろうと思います。グレードの高いフルートを自分の娘にして、たっぷり息を吹き込んであげれば、きっと、素晴らしい音のするフルートになるでしょうね。

 それにしても、アゲハって、アルタス1307って、良いフルートだということを、改めて確認。高級フルートを試奏するたびに、その事を自覚してきます。まるでアゲハが「…でも、アタシが一番でしょ?」って言ってるみたいです。

 でも、やっぱり総銀のせいか、高音域がちょいと耳につくんだよね。そのあたりはゴールドの方が音が優しいのですよ。低音域&中音域は銀の、高音域は金の音がするフルートって、どこかにないかしらねえ…。

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2009年6月18日 (木)

横浜でフルート試奏会に参加しました “メーカーによる違い”編

 舞台にズラっと並べられたフルート、その数、57本。いやあ、たくさんありました。もちろん、ヤマハだけではなく、各種メーカーのフルートが並んでいます。その内訳は、(なぜか)ムラマツ以外の日本の主要フルートメーカー+イワオフルート&フルートマスターズの代表機種でした。ま、ムラマツはこの前の「フルート・クライス」で散々吹いたので、私的は無問題ですが、でもなぜ無かったのでしょ? きっと大人の事情があったのでしょうね。

 さて、散々、ヤマハのフルートで、材質とかグレードの違いとかで、どれだけフルートの音色が変わるかを聞き比べました。おもしろかったですねえ。今度は、それぞれのメーカーを代表する、総銀フルートを吹き比べて、メーカーごとの音色の違いを堪能しましょうという企画です。

 さて、トップバッターは、我らがアルタスのA1407でした。Ag925の総銀ソルダードってタイプのフルートです。アルタスだったら、A1507のAg958モデル(トレバー・ワイの常用フルートって、アルタス1507なんだって、知ってた?)にするか、いっそ高級機種って事で、ALモデルあたりを吹いてほしかったなあ…とアルタスユーザーとしては思いました。やっぱ、アルタスって銀純度が高いメーカーってイメージあるじゃない。

 音色はいつもの“アルタスサウンド”という、太くて華やかでふっくらした音です。もちろん、私が大好きな音です。飯島さんは「このフルートはドイツ的な音がしますね」と言ってました。え? ドイツなの? アルタスって? わたしゃ、てっきりフランス系の音だと思ってましたが…どうも私の音に対する感性は、プロのフルーティストとは全く違うようですな、ははは。

 次に登場したのが、イワオフルートのIF-SSというモデルです。イワオフルートの音って始めて聞きましたが…負けました。これ、すごく甘くてきれいな音のフルートでした。大手メーカーにはない、独特な音色で、これは癖になりそうな、まさに甘美な音色でした。はまったらヤバそうな気がします。ちょっと欲しくなりました。

 次はサンキョウのピュアシルバーというモデルでした。このフルートはとても分かりやすいフルートでした。とにかく、他人を押し退けてでも、常に一歩前に出ていたい人に、ピッタリの音色を持ったフルートです。とにかく、このフルートの音は耳に付きます。そして、やたらと音量が大きいです。音色的には尖ってます。でも、すごく立体的で奥深い音色なんですよ。アグレッシブなソリストには重宝がられるでしょうね。あと、金管楽器と日々戦っているブラバンのフルートちゃんにも良いかもしれません。これはこれでアリというか、すごく需要がある音色だなあと思いました。戦うフルーティストさんたち向けのフルートだと思いました。

 次はパール。F9701こと、プリスティーンシルバーのマエスタでした。サンキョウとは全くベクトルの違うフルートで、私はこっちの方向のフルートの方が好きなので、安心して聞けました。太くてまろやかで、心が落ち着く音色です。アルタスよりも地味ですが、柔らかくて中身の詰まった感じの音です。この音色も私は好きなんです。飯島がおっしゃるには「このフルートもドイツ系の音がしますね」なんだそうです。もう、何がドイツで、何がフランスなのか、私には分からなくなりました。

 次はフルートマスターズのM970というフルートを吹いてくれました。これも独特な音色で、やはり大手メーカーにはない音でした。柔らかい音色で芯があって、なおかつ広がりもある音と言ったら伝わるかな? どちらにせよ、かなり癖の強い音です。この癖の強さがお好きな人には堪らないのだと思います。フルートマスターズ、ラブっ!という人の気持ちがちょっぴり分かるような気がします。この癖の強さ、ある意味、魔性です(笑)。

 フルートマスターズに関しては、メーカーの人が会場に来ていて、直々にゴールドフルート(M10KA)を持参してきたので、これも特別に吹いてくれました。音は総銀のM970と通じる、フルートマスターズの癖の強い音がしていました。このフルートはゴールドフルートでしたが、10Kということもあり、なかなか美しい音でした。飯島さんは「ゴールドフルートの中でも、かなり吹きやすいフルートですね」と言ってました。

 最後は、ミヤザワのAZ-SBRでした。サンキョウほど極端ではないけれど、やはりこれも“戦うフルート”ではないでしょうか? 立体的な音で自己主張の強いフルートです。お値段もサンキョウと比べるとお安いので、ブラバンのフルートちゃんにはベストチョイスじゃないでしょうか。いやあ、耳にダイレクトに届く攻撃的な音色でした。

 と、これで飯島さんによる、解説付きの試奏は終了。次は、舞台にあるたくさんのフルートをぜひご自分でお確かめくださいと、ヤマハの方がおっしゃっています。

 あれだけのお宝を前に、何を躊躇することがあろうか。私は脱兎のごとく…飛び出しませんでした(笑)。いやあ、だってさあ、会場にいる他のお客さんたちは、確実に私よりもお上手な方々ばかりなので、そういう方々の目の前で朗々とフルートを吹く度胸はさすがにありませんでした。キョロキョロと周りを見回すと「腕に覚えあり!」のフラグの立っていそうなオジサンたちが、舞台にあがって吹き出したので、「よしよし、あの中に混ざって、私も吹いてこよう」ってわけで、ちょっとだけ遅れて舞台に上がりました。

 最初のお目当ては、フルートマスターズ。気になるんだよねえー。まずはM970を吹いてみました。やや、驚くほど柔らかい音でびっくり。すごく柔らかくて、むしろフニャフニャな音です(失礼)。ええ? この柔らかい音のフルートが観客で聞くと、あの音に聞こえるわけ? 全然印象が違います。これって、飯島さんの言うところの「遠くで音楽を作る楽器」なんだろうねえ。つまりこれ、上級者向けのフルートなんでしょうね。これを吹きこなすのは、難しいよ。

 次にPurest997を吹いてみました。もう訳分かりません。こういうフルートは始めてです。ええと、どうやって表現をしたら良いのだろう? 柔らかいのに澄んだ音色を基本とし、その現代的な音色にやさしさを加味してみましたという感じでしょうね。これはじっくり試奏してみないと、このフルートの魅力を表現できそうもありません。

 しかし、フルートマスターズは人気なので、じっくり吹くのはまた次の機会にして、次の人に譲りました。

 フルートマスターズの隣は、ヤマハのコーナーに行きましたが、そこに、あの、バスフルート、そう、B441がいました。おおっ、これは「池袋の仇を横浜で…」というわけで、私にリベンジのチャンスを与えてくれようというわけだな。

 ちょこざいな、今度は私が返り討ちにしてくれる…。やる気満々でバスフルートの前にたちました。今回は分解されて展示されていましたので、自分で組み立ててみました。頭部管の位置も自分好みにしてみました。

 吹いてみました。あれ、今度は割と簡単に音が出たよ(笑)。音色的にもいい感じだし…さすがに低音のHとCには苦労しましたが、それ以外は取り立てて問題もなく、楽々と吹けました。ううむ、どうやら私と相性が悪いのは、B441全部ではなく、池袋のB441であって、横浜のB441とは、それほど相性が悪いわけではなさそうです。機械で作っているはずのフルートだけれど、やはり個体差はあるみたいです。でも、これでヤマハのバスフルートから見放されたわけではない事が判明。ちょっぴり、バスフルートも欲しくなりました。ってか、かなり欲しーい!

 次に向かったのは、イワオフルートのコーナー。しかし、このくらいになくと、ほぼ全員が舞台に上がって、ピーピー吹き始めました。結構うるさいです。

 イワオフルートを手にとって吹いてみましたが………あれ、すぐ横でフルートを吹いているフルートちゃんの音にかき消されて、私の音なんて全く聞こえません(涙)。れれ? 何本かのイワオフルートを手にとってみましたが、どれもこれも聞こえません。これはきっと、イワオフルートが特別に小音量な楽器のせいだと思い、すぐ隣にあったアルタスのコーナーから、いつもの1307を吹いてみたところ、やっぱり何も聞こえませんでした(汗)。

 え? 何、これ? 私の吹奏音って、隣のフルートちゃんたちの音にいとも簡単にかき消されちゃう程度の音だってこと? つまり、もしかすると、私って、極めて小さな音しか出せない笛吹きさんなの?。え? え? え?

 にわかには、この事実とは向き合えませんでしたが…やがて受け入れざるを得なくなりました。そうか…私って、そんなに小さな音量の笛吹きさんだったんだ(涙)。だってね、周りにたくさんいる、小柄なフルートちゃんたち。結構バリバリと笛を鳴らしてます。オッサンたちも負けずにピーヒャラやってます。うるさいというか、やかましいというか…。なのに、私と来たら、自分の音すら聞こえない程度の音量でしか吹けません(涙)。オー、マイ、ガーッ!

 実はこの後も、その他のメーカーのフルートを何本か手にしましたが、ほとんど音が聞こえませんでした(涙)。とても、試奏どころの騒ぎじゃありません。結局、試奏もほどほどにして、試奏会は途中だったけれど、会場を去りました。だってね、音が聞こえなければ、試奏しても意味ないでしょ。

 ううむ、今回は自分の立ち位置がよく見えた試奏会でした。そうか、世間のフルート吹きさんたちは、私の3~4倍の音量(ちょっとオーバー)が出せるんだな。すっごく、ショックでした。ああ、あれくらいの音量が出せないと、バンドや合奏やアンサンブルに行っても、役に立たないんだな。私のフルートは、所詮、オジサンの趣味レベルの、情けない笛なんだなと、思い知りました。

 ま、こうして、たまには他人と比較して、自分のありのままの、足りない姿を見るのも、良いのかもしれない。しかし、私はマゾではないので、結構、こたえてます。ううむ、自分のヘタレ具合が悲しいです。自宅でピーヒャラ吹いているだけだから、大きな音が出せなくなっているのかな? 元々の音量が小さいなら、大きな音が出しやすい、ムラマツとかサンキョウのフルートに買い換えた方がいいのかな? ちょっとだけ考えてしまいました。

 そうそう、今回の戦利品の報告をしておきましょう。実は今回、フルートマスターズとイワオフルートのカタログを入手しました。ふふふ、やったね。せめて、カタログくらい、貰って帰らないとね(カラ元気)。

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2009年6月17日 (水)

横浜でフルート試奏会に参加しました “材質による違い”編

 「フルート名曲31選」のコンサート終了後は、ヤマハ横浜店主催のフルート試奏会が、引き続き行なわれました。今回は、そのレポートです。

 コンサート後、ステージには、あっと言う間にたくさんのフルートが試奏のために並べられました。さあ、試奏会の始まりです。

 最初はプロ奏者であり、今回のコンサートの中心人物でもあった、飯島和久さんが解説を加えながら、いくつかのフルートを試奏して、その音色をみんなで確かめて、ご購入希望のフルートを決めましょうという企画です。これはおもしろかったですよ。

 まずは材質の違いによる音の違いを感じましょうということで、ヤマハのフルートの色々なグレードのフルートを順に吹いてくださいました。なにしろプロの方が、色々なフルートを同じように吹いてくださるので、それぞれのフルートの特徴がとってもよく分かるんですよ。下手に自分で吹くよりも分かるんじゃないかと思いました。

 まずはYFL-211。洋銀、Eメカ付きの、たぶん世界で一番数量的に売れているフルート、これを演奏してくれました。はっきり言って、良いフルートだと思いました。音楽を演奏する楽器としては、特に不足な点はないと思います。さすがは、(ポピュラー系の)プロのフルーティストに愛用する方がたくさんいる名器です。くすんだ感じの中間色的な音色は、哀愁を帯びていて、マイクのりが良さそうです。私はこのフルートの音、好きです。いいなあ、洋銀フルートって。

 ここを出発点として、次にYFL-514に持ち替えました。このフルートは、スタンダードモデルではなく、プロフェッショナルモデルというモデルで、211より一つグレードが上のシリーズのモデルの、頭部管銀のフルートになります。ムラマツで言うところのEX相当のフルートってわけですね。

 音色は211とは、全然違いました。だいたい値段だって、倍以上違うのだから、当然と言えば当然な違いです。

 基本的な音色はヤマハの音色なんですが、あきらかに音色に艶が加わりました。211がくすんだ感じだったのに対して、514は表面に光沢のある感じの音色です。こちらの方が一般受けする音色かな。さすがはEXのライバルフルート、とにかく美しい音です。フルートは最低、頭部管銀のものから始めましょうと多くの人が言う意味が分かるような気がします。

 頭部管銀の次は、当然、管体銀のYFL-614の登場です。514と比べると、やや音に深みが加わったような気がしました。フルートは頭部管を洋銀から銀に変えると、劇的に音が変わりましたが、管体を洋銀から銀に変えても、劇的?には音は変わりません。このあたりは微妙な違いだなあと、正直感じました。吹いていた飯島さんは「音がすごく変わったでしょ」と言ってましたが、私にはそうは感じられませんでした。音色に対する感受性が私は鈍いのかもしれません。

 次は当然、総銀フルートで、YFL-714の登場です。614とはメカの材質が違うだけですが、音は全然違いました。不思議ですね、メカなんて楽器の音色と関係なさそうですが、管体をチェンジした時とは比較にならないほど音色が激変しました。優しくてまろやかで、その上、よく響く音色となりました。高音成分(つまり倍音)が明らかに洋銀を使っているフルートとは違いました。

 ここまでは材質の違いによる音の差でしたが、ここからは、材質というよりも値段でフルートはどう違うかという比べ方になりました。

 というわけで、次は同じ総銀フルートであっても、モデルのグレードがもう一つ上の、ハンドメイド・シルバーのYFL-894の登場です。飯島さんがおっしゃるには『ヤマハではプロフェッショナルモデルのフルートを一日に5本作るとしたら、ハンドメイドのフルートは三日で1本作るのがやっとなんですよ』という主旨の発言をしていました。これは、ハンドメイドフルートにはそれくらいの手間と手数がかかっているという意味なのだろうと思います。

 手間と手数が余計にかかると、音はどれくらい変わるかと言うと、これまたガラっと変わりました。クリアでいかにも現代音楽に向きそうなスタイリッシュな音になりました。そして、これがホールの隅々まで、実によく響く音なんですよ。たぶん、これが現代フルートって奴なんだろうなあ…。でも、私的には、暖かい音が好きなので、894より714の音の方が好みかな? ごめんね、安い量産品の方が好きで(笑)。

 そして、次に登場したのが、YFL-894MVこと、シルバー・メルヴェイユです。これ、大好き、ラブです。んもー、身がよじれちゃうくらい、甘くてセクシーな音色です。ただし、音量的には明らかに無印894と比べるとワンランク落ちました。同じ894であっても、音色と音量のバランスをどう取るかで、これくらいの違いが出るわけですね。うむ、納得。無印894がオーケストラのフルート向きだとすると、シルバー・メルヴェイユはソロのフルーティスト向きなのかもしれません。どちらにしても、894系はプロフェッショナルの仕事道具としての楽器ですね。素人が持っていいようなレベルのフルートではないなあ…というのが正直な感想です。とは言え、素人って、道具にお金をかけるのが生きがいだったりするんだよねえ…。

 総銀の次は木管というわけで、YFL-894Wが登場しました。ヤマハの894を3モデル連続で吹いてくれたわけです。こっちの894はグラナディラの管体で、音量的にはさらに小さくなりました。音色的には、さらにまろやかで角のとれた丸い感じの音で、とても暖かみのある優しい音ですが、音自体にメリハリはなくなってしまいました。よく言うと素朴な感じです。

 そして、ヤマハフルートの最後は、YFL-994MVこと、ゴールド・メルヴェイユ(14K)でした。こうやって聞き比べてくると、ゴールド・メルヴェイユってすごくいいフルートなんだなあと分かります。音は華やかで太くてセクシーで、さらに音量的にもバッチリで、CDなどでよく聞くフルートの音がしました。この音はゴールドフルートだけれど、私、好きです。

 飯島さんがおっしゃるには「材質によって、フルートの音は変わってきます。自分の音が出てくるまでにかかる時間も変わります。洋銀のフルートは、とても吹きやすく、買ってすぐに自分の音が出せるでしょう。でも、シルバーのフルートは、自分の音が出るまでに半年ほどかかります。そしてゴールドのフルートは2年かかります。だから、ゴールドのフルートを買ったら、毎日毎日練習して、一日も早く自分の音が出せるように吹き込んでいく事が大切です」と言ってました。

 そうなんだ…。ゴールドフルートを買ったら2年か………って、ここにいる大半のお客はフルートちゃんだよ。フルートちゃんたちにゴールドフルートって…それはダメだと思う、なんとなく。

 そして、ゴールド・メルヴェイユの後に、もう一回YFL-211を吹いてくれました。これは、最初に“結構良い”と思った211だけれど、高級機種と比べたら、どれだけガッカリした音になるか確認しましょうという企画です。

 ゴールド・メルヴェイユの後に聞いた211は…明らかに別物。全く違った楽器のように聞こえました。もちろん、音色的に全然違うし、音の輝きも違いますし、何と言ってもホールでの響き方が全く違う。これは比べちゃいけないな、と思いました。なるほど、これなら確かに“がっかり”する人もいるでしょう。

 周りにいた人々も、みなさん、これほど音に違いが出るとは思わなかったのでしょうね、一様に驚いた顔をしていました。それくらい、違った音でした。

 確かに違うけれど、私は211のくすんだ音も好きだなと、率直に思いました。でもそれはたぶん、私が総銀フルートを持っているから感じることであって、もし私が洋銀フルートのユーザーだったら「ああ、高級モデルになると、こんなにきれいな音が出るんだ」と心が浮足立つのかもしれません。

 飯島さんが興味深いことを教えてくださいました。フルートを選ぶ時に大切なのは、どこで音楽を作るのかという点を考えると良いでしょうとのことです。高級モデルほど、演奏するのに腹圧が必要となるけれど、腹圧が必要なものほど、遠くで音楽を作る楽器なんだそうです。楽に吹けるフルートは奏者のすぐそばで音楽を作るのに向いていて(だから、マイクを使用するなら、マイクの周辺で音楽が作れる洋銀モデルがいいのでしょうね)、吹くのが大変な楽器ほど、奏者から離れたところで音楽が作れます。ホールでの演奏を前提としているなら、なるべく遠くで音楽が作れるフルートの方がよいでしょうとのことです。ホールでの音楽作り…つまりクラシック系の音楽を演奏するなら、ということなんだろうと思いました。

 この話、私は妙に納得しました。と言うのも、歌の世界とも合致する話だからです。

 マイクを口元に持ってくるポピュラー系の歌手と、ミュージカルマイクと言って、耳元(つまり口から多少の距離のある場所にマイクを設置する)のマイクを使うミュージカル系の歌手と、全くマイクを使わないオペラ歌手では、それぞれ発声方法が全く違うじゃないですか。もちろん、基本は同じなのですが、体の使い方とかテクニックとか違うのです。フルートでも、同じことが言えるのですね。

 そして、遠くで音楽を作る楽器ほど、息の支えが大変というのも合致します。うーむ、思わぬところで、歌と笛との共通点を発見しました。

 さて、ヤマハが一通り終わったので、次は、各メーカーの代表的なフルートを吹いて、メーカーによる音の違いを堪能しましたが…長くなってきたので、続きは、また明日!

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2009年5月28日 (木)

H管と横型のバスフルートを試してみました

 先週? 先々週? とにかくちょっと前の5月の中旬ぐらいの話になります。ここのブログは1日1記事なので、どうしても記事の重要性や即時性に応じて、後回しになってしまう記事もあるわけで、これは…やむなく後回しになっていた記事です。やっと、日の目を見ることができました(笑)。

 で、その一週間だが二週間だか前に、東京に出張に行ったので、そのついでにフルートの試奏をしようと思いました。どうせ行くなら、いつも行くところとは別のところにしようと、ネットでググってみたら、ちょうど池袋のヤマハでフルートフェアをやっているとの情報。池袋? 腐女子の街? 行ったことな~い。ってなわけで、出張先の仕事を終えた私は、乙女ロードはシカトして、さっそく、池袋のヤマハに行きました。

 フルートフェア、フルートフェア…。お店の奥の方でやってました。フルートは…ヤマハフルートはテーブルの上にありました。キレイに並べられています、一つ一つビニールで丁寧に包装されて…? 他社製フルートは…鍵のかかったガラスケースの中に飾られています。ん?「試奏をご希望の方は店員にお声をおかけください」ってか? ちょっと試奏するには、ハードルの高そうなディスプレイだなあ…(汗)。

 でも、めげない(笑)。フルートフェアを楽しむぞ!

 今回の一番の目的は『イワオフルートを吹くこと』。そう、滅多にお目にかかれないこのメーカーの出品があるってHPにあったので、ワクワクして行ったのですが……、私の来店時には、まだイワオフルートは入荷されていなかったので吹けませんでした。誰のせいでもないけれど、残念、かなり残念でした。

 でも、そこで落ち込まない。さっそく二番目の目的を達成することにしました。それは『アルタス1107GPを吹いてみて、金メッキの効能を体感しよう~』でしたが…、1107GPはありませんでした。ま、アルタスフルートの扱いなんて、そんなもんです。誰が悪いわけでもありません。ただ、予想していたこととは言え、ちょっとガッカリ。かなり残念。

 さあ、気を取り直して、三番目の目的を達成しようじゃないか。三番目の目的は『H管フルートをズラッと並べて、吹いて吹いて吹きまくる』です…が………、ん? もしかすると、ここにあるフルート、みんなC管?

 店員さんに声をかけてみました。「H管のフルートはないんですか?」

 「H足部管付きのフルートの事ですか(訂正されちゃいました:汗)? H足部管付きのフルートは注文をいただいた上で、お取り寄せになります」
 
 
 
 
 ……終了しました。本日の試奏タイム、終了。私、全敗でございました。
 
 
 
 仕方がないので、帰ろうと思った矢先、目に留まったのが、何やら奇妙な楽器。それは、大きな大きなバスフルートでした。それは普通に横型のバスフルート(ヤマハ YFL-B441)なんですが、リップ銀、管体真鍮、メカ洋銀(+銀メッキ)という構成の楽器です。つまり、ちょっと見だと、フルートには見えません。どっちかと言うと、何かの金管楽器。だって、ブラス色なんだもん。私は、最初、ソプラノサックスか何かだと思ってました(私の中では、サックスは金管楽器です)。でも、なんかおもしろそうです。

 せめて、これくらいは吹いて帰らないと、せっかく電車賃をかけて池袋まで来た甲斐というものがありません。

 あー、ちょっと、気持ちも盛り返してきました。先日のアルタスフルートフェアでは、ジュピター製の縦型バスフルートを気持ちよく吹いた私です。低音楽器との相性ばっちりな私ですから、こいつからどれだけの音を引き出してくれようぞ~~~!

 持ってみました。案外、持ちやすいです。大きくて、重いのだけれど、バランスはいいです。U字管でしたが、違和感はありません。左手にのせる補助器具がいい感じなんですよ。しっかり構えて、息を吹き込んでみました。

 息を吹き込んでみました…息を吹き込んでみました…息を吹き込んでみました…

 ……全く、鳴りません。いや、音、出ません。スーピースーピーでございました。アッレー、おかしいなあ…。今まで試奏で音が出なかったフルートなんて無かったぞ! すっごい焦りました。おかしい、何かが間違っている、そんなはずはない!

 結局、長い時間(と言っても、3分程度でしょうか)戦った挙句、やっとボーと音が出てきましたが、店員さんが「あら、残念」という顔をしました。そう、オクターブ高いんですよ。何としても、音を出してやる! と、そこからさらに3分ほど戦いました。やっと低音域の音が出ました。コツは…口の中を限界まで縦開きにすること。そうしないと、きちんと音が出ません(涙)。でも、なんとかコツが分かったので、いつもの「イエスタディ・ワンス・モア」を吹いてみたのですが、なんか、ヘロヘロのボロボロ…。全然、息が足りません。く、悔しいですっ(by ザブングル)。

 相性が悪いというよりも、手に負えない。私には、このヤマハのバスフルートは、たぶん、時間をかけても吹きこなせない、決定的に相性の悪い楽器…そんな気がしました。あれだけ、ジュピター製の縦型バスフルートは楽々吹けたのに(涙)。ヤマハはダメでした。

 敗北感? 目的は何一つ達成できず、たまたま見かけたバスフルートにはKOされるなんて…負けっぱなしじゃん。

 もう、帰ろう。負け犬は尾を丸めて退散さ…。そう思ったのだけれど、なんか心にひっかかるものがあったので、もう一度ガラスケースの中を端から端まで見ました。

 …なるほど、ほとんどのフルートが、カバードのC管ばかり。店員さんの言うとおり、H管はないよなあ………ん? だいたい、リング式すらないじゃん。世の中、そんなもんなのかなあ…。あれ、れれ、これ、もしかしたら?…

 値札に隠れていましたが、一つだけ、ちょっと足が長いフルートがありました。これって、もしかすると、H管?

 …そう、一つだけH管がありました。パールのプリスティーン・マエスタがH管でした。さっそく店員さんに確認しました。やっぱり、H管でした。H管をずらっと並べて…は、かないませんでしたが、たった一つでも吹かずに帰ることを考えれば、大収穫です。もちろん、すぐに試奏させてもらうことにしました。

 でもね、バスフルートはすぐに手渡してくれて、その場で吹かせてくれたのに、H管フルートはケースから出してくれない。あれ?って感じで、催促してみると、待ってくれと言います。今は試奏室が満員なので、部屋が空き次第、案内するから、そこで吹いてくれと言われました。

 ん? もしかすると、最初から、バスフルートは吹けないと見抜かれて、その場で渡されたけれど、フルートは吹いちゃうだろうから、渡してもらえないとか? だとすると、この店員さん、なかなか人を見抜く力があるぞ。なんか、すごい。たしかに、お店はそんなに広いわけでもないので、ここでフルートを吹かれたら、迷惑っちゃあ、迷惑だろうねえ。

 しばらく待っていたら、試奏室が空いたようで、案内されました。ガラス張り~の丸見えな試奏室でした。ううむ、色々と敷居が高いフルートフェアだなあ(笑)。

 とにかく試奏室に、パールのプリスティーン・マエスタと一緒に入りました。ええ、吹きましたとも。思いっきり、吹きましたとも。今までの色々な思いを吹き飛ばすように(爆)。

 マエスタの音は…甘美でした。甘くて優しく溶けてしまいそうな音でした。ああ、私はアルタスに負けないくらい、パールの音も好きなことを思い出しました。さらに言うと、吹いてて、すごく楽。ラクラクと音が出ます。あのツンデレのアゲハとはまるっきり違います。音が美しいし、楽だし、楽しい…マエスタって、そんなフルート。楽しみで吹くには最高かもしれない。でも、コーチとしてはどうなんだろ? これだけ楽だと、フルート修行には向かないかもしれない(笑)。でも、音楽の勉強には最適だね。

 パールのフルートも買っちゃおうかな…。そんな気がふとしました。

 もちろん、H管のHの部分もしっかり堪能しました。春先は、季節がら、毎日「さくらさくら」を吹いていましたが、この曲は最低音がHのため、いつも1オクターブ上げて吹いてましたが、Hが出るなら、オクターブ上げずに吹けます。上げずに吹けるなら、上げないで吹いた方が、より渋く演奏ができるので、いいなあと思いました。やっぱH管、欲しいなあ。

 難しい難しいと評判のH管ですが、確かに試奏程度じゃ、その難しさはよく分かりませんでした。でも、せっかくの試奏室だし、今日の試奏は譜面持ち込み(!)だったので、たっぷり4~5曲吹きました。「G線上のアリア」「さくらさくら」「白鳥」「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「アヴェ・マリア」、やっぱ5曲だね。ガラス張りの試奏室だったし、防音もたぶん完璧ではなかったのだと思います。バンバン吹いているうちに、ガラスの向こうに人だかりができてました。お客の大半は、幼稚園から小学校低学年くらいの女の子たち。やっぱ、女子はキラキラする光り物のが好きなんだねえ…。

 試奏が終わって、店員さんと少し話をして、ヤマハを出ました。ま、それなりに楽しめたフルートフェアでした。何よりも、店員さんは親切だね。冷やかしの客なのに、丁寧な対応は好感持てます。良い感じのお店でした。

 ヤマハの前の店は、サカゼンでした。ヤマハよりも、もっと身近なお店です。なんか、サカゼンって文字を見たら、思わず頬がゆるみました。ちなみに、サカゼンって、デブさんたちご愛用の、デブ服ばっかり売っているお店です。すごいぞ。畳よりも大きなTシャツとかが売ってる店です。

 帰りに西武デパートの『大九州展』で、八重山そばを食べて帰りました。なぜに、九州なのに沖縄そば?

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2009年5月19日 (火)

アルタスフルートフェア2009春 に行ってきたよ

 ラ・フォル・ジュルネの合間を縫って、銀座山野楽器で開催されていた、アルタスフルートフェアに行ってきました。なにしろ“おのぼりさん”だから、東京に行ったら、一度に沢山の用事をこなさないといけないので、大変です(笑)。

 まずは、恒例のフルート試奏からです。今回は、バスフルート(縦型、ジュピター製)、アルトフルート、GPTの三本を吹きました。

 バスフルート。「音域的にはテノールなのに、なぜバスフルートという名称なのか」と前々から疑問に思っていた私ですが、吹いてみて納得。これはバスだよ。テノールじゃないよ。たとえ音域がテノールであっても、音色はまごうことなきバス。うん、これはバスフルートだね。響きがとっても深くて、バス~って感じでした。

 私が試奏したモデルは、たまたま縦型のバスフルートでしたが、これが本来の横笛だったら、とっても吹くのが大変だろうなあ…と思いました。だって、重たいんだもん。肩こっちゃうよね。

 バスフルート。吹いた感じは、すっごく楽。軽く息を入れただけで、ボーーーって感じでした。低音楽器って、息をたくさん使うイメージがありますが、これは逆。むしろ息は余ります。もちろん、余らせずにしっかり吹けるのが上級者なのでしょうがね。

 これも低音楽器の常で、鳴らした音は、演奏者にはあまりよく聞こえないのですが、離れて聞いていた妻があの店内で「結構大きな音が出るのね」と言ったので、かなりよく鳴っていたのだと思います。お調子にのって、ちょっと長めに吹いてました。曲なんかも吹いちゃったりして…。なんかしっくり来るなあ…バスフルート。私は、この縦型バスフルートが気に入ったかもしれない。でもお値段は60万円だって。安くはないね。

 次にアルトフルートを吹いてみました。いいね、音色がいいね。メロディーを演奏するなら、普通のフルートよりもアルトフルートの方が似合う曲って、たくさんあるだろうね。こいつはG管で移調楽器という点が個人的にはマイナスだけれど、やっぱりいい感じの楽器です。これもブハーーーンといった感じで鳴りますね。たぶん、日頃アゲハなんてツンデレな楽器を吹いているから、私は大抵の楽器を鳴らせるようになったのだと思う(笑)。なので、私が「これは簡単に鳴る」と書いてあっても、信用しない方が良いかもしれないよ(爆)。

 GPTはプラチナ&金メッキのフルートでしたが、音は(ムラマツのPTPと比べて)あっけないくらい明るかったです。なんか、私の中のプラチナメッキのイメージが、ガラガラ音をたてて崩れ落ちました。このフルート、音的には総銀フルートと大きくは変わらないと言うか、キラキラ系のプラチナ? 根明なプラチナ?って感じでした。ああ、プラチナの音が分からなくなりました(迷)。

 そんな事をつぶやいたら、アルタスの営業さんが「GPTは1307にメッキしたものですから、音は1307に似ているんですよ」だって。そうか、そりゃあ、そうだよね。納得。アゲハにプラチナメッキすれば、こうなるわけだな。

 そんな気さくな感じの営業さんを捕まえて、色々と質問してみました。そんなやりとりを、一問一答式で書いてみます。

【現在、1037のC管を使用していますが、H足部管のみの買い足しは可能か?】

 可能です。お値段は本体価格の40パーセントだと考えてほしい(1307だと25万円程度って事ね。ムラマツEXが余裕で買えるお値段です)。受注生産になるので、お店に注文を出して欲しい。注文を受けてから、約2カ月程度で完成予定。出来上がったら連絡をするので、一週間ほど本体を預けてほしい。その際に、H足部管のすり合わせをし、C足部管とH足部管の両方が使えるようにします。

【H足部管を購入したら、C足部管は不要になるのだが、下取りはしてもらえるのか?】

 それは行なっていません。

【ケースはどうなるのか?】

 C足部管とH足部管の両方が収納できるケースは特注品で5万円程度になると思います。H足部管用の本体ケースは3万円。H足部管だけ収納する、小さなケースは約1万円となります。

【1307はAg958だが、なぜリッププレートやメカはAg925なのか?】

 メーカーとしては可能ならば、すべてをAg958で作りたいのだが、Ag958という金属は、とても柔らかくてフルートとしての必要な硬度を保てないので、リッププレートとメカはAg925で作成している。メカに硬度が必要というのは分かっていただけると思うが、実はリッププレートは見かけ以上に薄い金属でできているので、Ag958で作ると簡単にたわんでしまうので、Ag925を使用している。

【Ag958では音が出しづらいので、Ag925を使用しているという事はないか?】

 音の出しやすさは、専ら歌口のカットで決まるため、材質はあまり関係していない。材質が違うと音色は変わるけれど、音の出しやすさとは関係ありません。

【アルタスフルートは歌口のカットについて明言していないけれど、何種類あるのか?】

 三種類ある。807~TSまでのモデル(スタンダード)で採用しているカットと、1207以上のモデル(ハンドメイド)で採用してるカット。この二つのカットは、基本的に同じ傾向のカットだが、使用するユーザーが違うので、ユーザー層の違いから多少カット方法を変えている。それに加え、国内向けには出荷していないが、海外ユーザー向けにZカットがある。このカットは、かなり傾向が違う。とても簡単に音が出るし、音量もある程度確保しているが、あくまでアルタスとしてお薦めするカットは、1207以上で採用しているカットである。(蛇足:海外向けには、このZカットを前面に押し出したスクールモデル[AZUMIという別ブランドだけどね。ホームページはここだよ]を用意しているアルテスでした)

【金属の硬度のため、総銀フルートのリッププレートはAg925にしているとあったが、ALモデルはAg946である。硬度的には大丈夫なのか?】

 Ag946はそれ以外の銀と、銀以外の成分が異なり、金属としての硬度を保っているので、大丈夫である。Ag997は銀の精錬方法から変えていて硬度を確保している。

【歌口のカットはパソコンか何かでガガっと削っているのか?】

 アルタスでは、すべてのフルートの歌口を、職人が手掘りで行なっている。人の手で作っているので、個体差がある事は分かってほしい。また時代ごとの流行というのも加味されているので、製造年が違うものは、多少、歌口のカットの傾向も変わっていると考えて欲しい。

【私は現在、1307を使用しているが、もしも将来、フルートを買い換えるとしたら、どのあたりのモデルがメーカー的にはお薦めか?】

 アルタスフルートは、1307 -> 1507 -> 1607 -> AL と言うラインが、メインの製品ラインであって、PSモデルやGPTモデル、GOLDモデルは、そのラインとは傾向が異なるモデルとなる。1307ユーザーなら、やはり、1507、1607、ALに買い換えてゆくのか良いと思います(道理で、ALを試奏した時に“アゲハと同じ!”と思ったのか、納得)。

【頭部管のみの購入は可能か?】

 H足部管同様、可能である。(じゃあ、アゲハにALの頭部管買い足せば、ALモドキが完成じゃん)
 
 
 と言うわけでした。他にも書いちゃいけなさそうな話や、書いちゃうとかなりウザくなる話(ピッチとかスケールとかその手の込み入った話だね)も、たくさんしました(生意気言ってごめんなさい)が、それはそれでと言う事で…。

 次にアルタスの職人さんに、アゲハの調整をしてもらいました。調整ついでに、その作業を見せてもらいました。で、見せてもらいながら、職人さんと色々な世間話をしました。

 アゲハを通して見た私の吹き癖は…あまり強い癖はないそうですが、左人指し指に力が入りやすい人らしいです。なので、その辺の対応(バナー使ってキーを熱して調整してました)をしてもらいました。それと「このフルートはすぐに調整が必要になるんです~(涙)」とこぼしたところ、ネジがゆるみやすい個体かもしれない、と言われました(現に、一カ月前に調整してもらったにも関わらず、すでにあっちこっちのネジがゆるんでいたそうです、おまけに先日しっかりはめてもらったはずの、キーパイプも外れていました)。今回はネジをしっかり締めた後、ネジのゆるみ止めの薬剤を使ってネジがゆるみづらくなるようにしてくれました。

 「時間はありますか?」と尋ねられたので「はい、大丈夫です」と答えたら、アゲハは分解されちゃいました。いやあ、フルートって、簡単にバラバラになるんですね。分解されて、パーツ一つ一つ、タンポも一枚一枚丁寧に点検、調整&洗浄してもらいました。

 タンポの調整って、薄い紙で行うんだね。それを切ったり貼ったりして調整するんだ。キーをペコペコ押すだけで、紙一枚程度の厚みの調整の必要性が分かるんだから、フルート職人さんの感覚ってすごいよね。

 フルートの洗浄は、ベンゼンとアルコールをその用途に応じて使い分けて行なうんだよ、知ってた? 何となく、薄く白くなっていたアゲハがあっと言う間にピカピカになりました。すごいね。

 とにかく、ばっちり一時間以上もかけて丁寧に調整してもらいました。いつもの調整は2~30分程度だから、今回の調整がどれだけ丁寧だったか分かるものです。

 「本来は調整が不要なのが理想だし、多くの場合は調整と言っても、ネジを締めてあげる程度の調整で十分なので、自分でネジが締められると、調整の回数もかなり減ります」と教えてもらったけれど「どこのネジをどう締めたらいいのか分からないので、そりゃあ無理です」と答えました。そしたら笑いながら「春と秋に、ここのお店で無料の調整会をしているから、それをできるだけ利用するようにしたらいいでしょう」と薦められました。そうだよね、無料でアルタスの人に調整してもらえるなら、アゲハも私も幸せというものです。無料調整期間が終わったら、なるべく無料調整会を利用するように心掛けましょう。

 後日、家に帰って、改めてアゲハを見たら、本当に新品同様になってました。吹いてみたら、始めて私のところに来た、あの頃のようなツンデレ女に戻ってました(涙)。でも、少し吹き込んでみたら、ツンは最初にちょっとだけあったけれど、すぐにデレデレしてきました。よしよし、かわいいぞ。

 丁寧に調整してもらって、本体はピカピカだし、音の切れもとても良くなったし、何よりもすべての音が気持ちよく出るようになりました。高音EやFisが嘘みたいに楽に出るようになりました。調整はいいね。きちんと丁寧に調整してもらえたので、本当に幸せな気分になりました。

 ラリホー!

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2009年4月 7日 (火)

2009年春 フルート試奏の旅 ムラマツ編

 ヤマハとアルタスの試奏を終えた私は、そのまま西新宿へ。フルート・クライスのイベントに参加しました。その感想はこちらに書きました。今日は、その記事で省略した、ムラマツフルートの吹き比べの話をします。

 今回の吹き比べは、ムラマツ・オンリーで、カタログ的にほぼすべてのモデル(プラチナ・フルートとアルト・フルートがありませんでした)が対象でした。おまけに、私も吹きましたが、プロ奏者である上坂先生も吹き比べを行い、その様子もしっかりと観察させていただきましたので、そんなこんなも合わせての感想を書きます。

 まずは当日吹き比べたムラマツフルートの紹介なんぞを…、

 EXモデル…洋銀フルート[頭部管銀・カバード式・C管]
 GXモデル…洋銀フルート[管体銀・カバード式・C管]
 DSモデル…総銀フルート[引き上げ式・リング式・Eメカ・C管]
 SRモデル…総銀フルート[ソルダード式・リング式・Eメカ・C管]
 PTPモデル…プラチナメッキフルート[DS+プラチナメッキ・リング式・Eメカ・H管]
 SR(+プラチナメッキ)モデル…プラチナメッキフルート[SR+プラチナメッキ・リング式・Eメカ・H管]
 9Kモデル…ゴールドフルート[オール9K・リング式・Eメカ・H管]
 14Kモデル…ゴールドフルート[管体14K+メカ9K・リング式・Eメカ・H管]
 18Kモデル…ゴールドフルート[管体18K+メカ9K・リング式・Eメカ・H管]
 24Kモデル…ゴールドフルート[管体24K+メカ14K・リング式・Eメカ・H管]

 これらを全部、吹いてきました。お値段的には…もう分かんない。たぶん2500万円くらいはしているはず。すげーな、すげーな。

 これらを全部吹いてみて、聞いてみての感想。まずは大雑把に言っちゃうと、音の種類はやはり4種類でした。やはり材質による音の違いは明確にあります。でも、材質は変わっても、すべてのフルートからは共通した音色、つまり“ムラマツの音”を感じました。私が吹くよりも、上坂先生が吹いた方が、それぞれのモデルの特徴がより際立って聞こえました。やはり、フルートを試奏するには、奏者自身に演奏力があった方が、モデルの違いを引き出しやすいと思いました。

 感想です。

 EXモデルとGXモデル。二つとも、いわゆる洋銀の音です。音の違いは、同じ洋銀の音でも、EXは渋めで中間色、GXはキラキラ系の水彩系というところかな? EXモデルと比べると、GXモデルの方が天井が高いような音がします。

 普通、洋銀のフルートって、ポピュラー音楽向けな響きがするものだけれど、ムラマツの二つのフルートは、ともにクラシック系の音色がします。つまり、ポピュラーにはどうよ?って感じです。そこがまあ、ムラマツらしいんだろうけれど。洋銀フルートなのに、ポピュラーには向かないなあ…って感じです。

 洋銀のフルートは比較的値段が廉価なので、安物扱いを受けるし、実際、安物フルートは洋銀製なんですが、これらのフルートを安物扱いしちゃダメだよ。これはとても良いフルートだと思います。それこそ「洋銀、なめんなよ」って感じだね。

 DSモデルは。総銀・引き上げのフルートです。洋銀フルートとは、ガラっと音が変わります。理屈で考えると、管体銀のGXモデルとは、キーの材質しか違わないのですが、このメカが曲者ですね。実はメカの素材って、とても音に関係しているみたいです。良いとか悪いとかではなく、総銀と管体銀の間には長くて深い谷があります。決して連続した地続きの平面上にはないと思います。

 ただ、実際に吹いてみると、音色が違うだけで、どちらが優れているかとかは言えないと思います。価格の面から、総銀の方が良い音だと思われている方は、考え直した方が良いでしょうね。洋銀であっても、総銀であっても、どちらも美しいし、ムラマツならどちらも造りはしっかりしてます。ですから、音色の好みで、洋銀総銀を選べばいいと思います。

 DSモデルは(ムラマツの)他の総銀モデルと比べて、音が軽くて輝いてます。私はこの辺の音が好みなんです。ムラマツなら、このフルートが一番好きです。

 SRモデルも総銀フルート。DSモデルとはトーンホールの加工方法が違うだけなのに、それなりに音が変わります。いや、音そのものはたぶん変わらないのでしょうが、音の立ち上がりのイメージが変わります。DSモデルがスーっと立ち上がるなら、SRモデルはスクッと立ち上がる感じ。お分かり? 音の歯切れがいいんです。この辺は好き嫌いの世界だろうね。

 PTPモデルを含め、プラチナをメッキすると、元々のフルートの音の立ち上がり方などはあまり関係ありませんが、フルート自体の音色が変わります。たかがメッキなのに、ガラっと音色変わります。おもしろいほど変わります。なんか、サックスぽい、喉の奥が焼けるようなイメージの音(って、どんなイメージなんだい!)がします。それでいて銀のキラキラ感も残っていて、プラチナメッキっておもしろいですね。しかし実に、プラチナの音に与える影響って、かなり強いですね。

 (メッキでなく無垢の)プラチナフルートを、いずれ吹いてみたいです。

 ゴールドフルートは、金の含有率が変わると、おもしろいように音も変わっていきます。金の含有率が増える度に、音がドンドン太めの力強い感じになります。あえて誤解を恐れずに書いちゃうと、和の感じ(尺八っぽい音色?)になります。私的には、14K~18Kあたりに一つの頂点があるような気がします。と言うか、一般的なゴールドフルートの音のイメージは14K~18Kあたりなんだろうと思います。そういう意味では、9Kは物足りなく、24Kはやりすぎって感じがします。

 ただ、純粋に楽器として見た場合、9Kはゴールドの厚みと銀の輝く音の両方を兼ね備えているので、ゴールドとしては物足りないけれど、ゴールドの音色に輝きを与えてくれるので、これはこれでおもしろいフルートだと思いました。

 同様に、24Kも純粋に楽器として見た場合、濃厚なアイスクリームのようなネットリした音色は、これはこれで、お好きな方には、たまらないだろうなあと思います。私は、18Kくらいまでのゴールドの音はちょっと苦手ですが、ゴールドもここまで来るとなかなか好きかもしれない。

 あと、こういう事を書くとアレかもしれないけれど、24Kゴールドの音って、プラチナメッキの音とどこか通じるようなところが無くない? やはりプラチナ無垢のフルートと24Kゴールドの吹き比べをしてみたいと思いました。

 さて、ゴールドフルートまで吹いてみて思ったことは、ムラマツの、フルートの音の理想って、もしかすると自社のゴールドフルートじゃないかな? それも14K~18Kありのゴールドフルート。なんかそんな気がする。と言うのも、ムラマツのシルバーのモデルも、プラチナメッキのモデルも、洋銀のモデルも、音が太めでダークでしょ。それに音量も大きい。これって、他の素材のフルートでも、ゴールドの音を模しているかもしれない。

 そして、その方向性があるから、ゴールドフルート苦手な私には、ムラマツフルートって興味をそそらないんだと思う。ああ、きっとそうなんだ。逆に言うと、ムラマツラブな人は、最終的にはゴールドフルートに辿り着くってことだね。ううん、ラインナップを見ていると納得だよ。

 フルート・クライスのイベントでは、これらのフルートの試奏のあと、挙手をして、どのフルートの音で上坂先生に曲を吹いてもらいたいかという、アンケート(?)を取りました。断トツの人気を誇ったのは、SRのプラチナメッキ・フルートでした。このフルートが選ばれた理由は、なんとなく分かります。上坂先生ご自身はゴールド・フルートがお好きなようですが、お客さん的には、総銀フルートにプラチナメッキの音の方が、先生にはお似合いだと判断したわけです。

 実際、私も総銀フルートにプラチナメッキっていいなあと思います。ベースとなる総銀フルートが自分の好みのフルートだったら、もっといい感じになるだろうなあと思いました。

 アルタスにはGPTという、1307の管体にプラチナメッキをし、メカにゴールドメッキをするというフルートがありますが、そのフルートをむやみに吹きたくなりました。

 今回の試奏のまとめ。

 ・フルートの音は、メーカーごとに方向性がだいぶ違う。
 ・フルートは、奏者の腕前と個性でだいぶ音が変わる。プロはやっぱりすごい。
 ・フルートは、素材の違いでも音が変わる。
 ・ムラマツEXとGXをなめてはいけない。価格では推し量れない良さがある。
 ・プラチナメッキをたかがメッキと軽んじてはいけない。
 ・ムラマツとアルタスのフルートには、それぞれのメーカーを貫く、一つの理想の音のイメージが感じられる。
 ・ビジューとメルヴェイユは、とても良い。
 ・24Kフルートは、地方のマンション購入価格並のお値段で買える。

 もし、この日吹いたフルートの中から、一本だけ私にくれるというなら、転売目的なら「24Kゴールドフルート」を、演奏目的なら「メルヴェイユ」を所望します。

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