ひとこと

  •  仕事が忙しすぎて、カラダがバテバテです。メトのライブビューイングで「ルサルカ」を見に行こうと思っていたのに、カラダが言うことを聞かずに、出かけられませんでした。ああ、ちょっぴり残念。今はオペラ鑑賞よりも休息を第一としましょう。
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カテゴリー「フルート購入顛末記」の記事

2008年8月にフルートを購入した時の顛末がまとまってます

2008年10月 9日 (木)

これからフルートを買おうと思っている人へのアドバイス その4

 前回の続きです。

現状優先か、それとも未来指向か

 フルートは一本買えば、しばらく使うことになります。そして、人は変わります。成長もすれば老いもします。今を優先して買うか、将来的なことを考えて買うか、それはあなた次第でしょう。

 今を優先する…今の自分にピッタリする笛を選ぶことです。フルートの経験年数もある程度になった人なら、これで良いでしょうね。

 将来的なことを考える…若者やフルート経験の浅い人は、成長分を見越して買う必要があるかもしれません。そうしないと早晩またまたフルートの買換えになってしまうかもしれません。フルートは高価な楽器ですから、そうそう何本も買い換えるわけにはいかないでしょうから、なるべく買換えの本数が少なくなるように考えて買い物をする必要があります。

 また、ある程度の年配者なら、老いの問題があります。年を取っても長くフルートを楽しむために、今よりも吹きやすい、音の出しやすいフルートに買い換えるというのもありえます。それはダウングレードではなく、人生が新しい局面に突入しただけの話です。

Eメカは必要?

 悩む人多いですよね。でも話は簡単なんですよ。「Eメカは不要」と考えていなければ、付けておけばいいのです。Eメカなんて、付いていても困るものではありませんから。むしろ将来「ああ、Eメカ付きのフルートにしておけばよかった」と後悔することの方がイヤでしょ。だから、Eメカ不要論の方以外は、Eメカをつけておきましょう。

 Eメカを付けるとフルートが重くなるとか、Eメカ付けると音の響きが変わるとか、そういう人もいますし、実際そうなのでしょうが、その件については、Eメカ付きのフルートで試奏して自分が納得できれば、クリアでしょ。フルート自体の重さとか音の響きなんて、そのフルートの個性ですって。無問題ですよ。

 あるいは逆の選択肢として、わざとEメカのないフルートを選ぶという方法もあります。と言うのも、オプションとしてのEメカって、実はそれなりのお値段がします。そこでEメカを辞めて、その分のお金で、もう少し高価なグレードの高い楽器を選ぶということができます。その辺をどう考えるかは、あなた次第です。

 ですから、Eメカ以外の各種ギミックについても同様です。「不要」と思っていないなら、お財布と相談して、可能ならば付けときましょう。それが原因で後悔する方が勿体ないです。しかし、その分の投資で楽器のグレードアップが図れるなら、そちらを考えるのも一手です。

 ちなみに、私のアゲハには一切のギミックはついてません。すっきりしたもんです。だって笛先生がEメカ不要論の先生だし、私自身、Eメカの分でグレードアップを考えた人ですから。

リング式かカバード式か

 リング式かカバード式かで悩んでいる人も、好きな方を買えば良いと思う。リング式にはリングをふさぐ部材(なんて言うの?)もあるから、当座の心配はいらない(ただし、できるだけ早めに部材を取り除く方向でがんばった方が何かと良いらしい)。インライン・オフセットの違いも同様。少しでも心魅かれる方を買っておきましょう。あとはどうにでもなると思いますよ。ただし、本当に悩んでいるなら、カバードのオフセットにしておくのが無難でしょう。だって、リング式のインラインって、やっぱり楽器としての扱いが多少難しくなると思いますよ。

ドゥローン式(引き上げ式)か、ソルダード式(ハンダ付け式)か

 同じ規格のフルートでもトゥローン式よりもソルダード式のフルートの方が高価なので、ソルダード式の方が良さそうな気がしますが、価格差は楽器としての性能差というよりも、製造工程の差から来るものです。つまり、ソルダード式の方が手間がかかるので、その手間賃の分、高価というだけの話です。ドゥローンとソルダードで違いがないわけではありませんが、それにどれだけの意味を見つけられるかという事と、価格だけの価値を見いだせる事ができるかが、問題だろうと思います。

 私は、ソルダードの方が音の立ち上がりが良い分、若干音が固めに思えました。と言え、それは比較すれば…の話で、それほど大きな違いだとは思いませんでした。あと、一般的にソルダードの方が吹き心地が重いと言いますが…私にはその差は分かりませんでした。

 現代フルートは、元々ソルダードで作られていたもので、ドゥローンは比較的新しい技術だそうです。ですので、多くのメーカーでプロ向けの高級機種になると、ドゥローン式ではなくソルダード式になります。結果、多くのプロは、ソルダード式のフルートを使っています。ただし、ムラマツフルートは、総銀の1機種を除き、プロ用も含めてドゥローン式なので、ドゥローン式がダメというわけではないと思います。

 この問題も、結局、お店に行って試奏すれば、簡単にクリアできる問題なので、悩む暇があったら、サッサと試奏をして、その違いを感じてきてください。

 試奏して、吹き比べてみて、ソルダードの方が良いと思えば、多少高価だけれどソルダードにすれば良いし、ドゥローンの方が好みだなと思えばドゥローンを買えばいい。違いを感じないとか、違いは分かるけれど気にしないとかなら、安価だし(ハンダがはがれるなどの)トラブルも無いので、ドゥローンにしておけばよい。それだけの話です。

使用目的は合奏か? 独奏か?

 この点を考えずにフルート選びをする人がいます。それはそれで良いのでしょうが、主な使用目的が決まっているなら、それにふさわしい道具を選ぶのは大切な話だと思います。それにやはり合奏と独奏では、フルートに求められるものは自ずとが違うでしょ。

 合奏で要求されることは、ピッチが正しいこと。その団体のカラーに合った音色であること(またはその団体で多く使われているメーカーのフルートであること)。大きな音が出せる楽器であること。その三点でしょう。そこを踏まえるならば、実はそれほど多くの選択肢は残されていないと思いますし、案外、高価なフルートにはならないと思います。
 いくら素晴らしいフルートであっても、その団体の中で、音が浮いてしまって、周囲の音に溶けなかったら「アンサンブルぶちこわし、お呼びじゃないよ」になりますから、注意注意。基本的には、倍音が豊かで、高音になっても柔らかな音色の笛がいいでしょうね。

 独奏で要求されることは、個性と美しさです。それを考えると何でもありなので、お財布が許す限り、わがまま贅沢にフルートを選択するとよいでしょう。彫刻などもたくさん入れてもいいかもしれませんよ。

 もっとも、アマチュアの場合は、独奏と言ってもピアノとのアンサンブルが多いと思います。ピアノは平均律ですから、平均律で設計されたフルートがアマチュアのソリストには使いやすい笛になると思います。

主に吹くのは、ポップス? クラシック?

 ポップスの世界では、フルートは小音量楽器なので、マイクの使用が前提になります。そうなると、マイクのとおりの良い音、つまり過度に大きな音がせず、倍音も少なめの細くて硬い感じの音の方が何かと便利です。

 一方クラシックでは、マイクの使用はありえませんので、大きな音量で倍音豊かな美しい音色の楽器が求められます。美しい音色…大切ですよ。いくら練習を重ねて上手になっても、その楽器が本来持っている以上の美しい音は、どんな名手にも出せませんから。

 迷ったら、クラシック向けの楽器を選択して、マイクを使用する時は奏者側の工夫(例えば口の中を狭くして、わざと笛の音を貧弱にしてマイクに乗りやすい音にするとか)で乗り切るというのも、一つの方法です。

それでは、いくらぐらいのフルートを買うべきか?

 ずばり大人は「今の自分が出せる最大の金額で、贅沢なフルート(一生モノ)をババンと買う」ことをお薦めします。贅沢なフルートを買って、贅沢な気分を満喫しましょう。所有する喜びも、また趣味の大切な楽しみです。

 大人になれば人生の有限性を感じることでしょう。こまめにフルートを買い換える楽しみもありますが、それよりも有限な時間の中で、音楽そのものを楽しむことに集中しましょうよ。

 あと、高い楽器を買うと、下手くそを楽器にせいにはできなくなります。練習に励むしかなくなるのも、大人向けと言えましょう。[大人はすぐに言い訳しますから(笑)]

 一方、子どもや若者は話が別。まず、フルートは贅沢品であることを知り、その費用を捻出するために、大人がどれだけ大変な思いをしているかを知らないといけない。その上で買い与えられた楽器なのだから、たとえそれが実用品レベルの楽器であったとしても、文句をいうどころか感謝をしないといけない。どうしても、贅沢な楽器が欲しいなら、大人になった時に、自分でお金を稼いで買いなさい、以上。

結論

 試奏をしてみて、気に入った楽器、これだと思った楽器、惚れた楽器を買いましょう。そういう楽器と出会えなかったら、今、無理して買う必要はないでしょう。またの機会にすればいいと思います。それでもどうしても、今すぐフルートが欲しければ、その売場にある一番安い国産品を買っておくのが無難です。国産品であれば、どんなに安くても十分に使えるし、音楽を奏でることができますから。そして浮いたお金でおいしいもので食べた方か幸せというものです。

 それでは、みなさんに幸せなフルートライフがありますように。

 ではでは。

2008年10月 3日 (金)

これからフルートを買おうと思っている人へのアドバイス その3

 前回の続きです。

とにかく試奏をしよう

 フルートの購入には、まず試奏ありきです。試奏無しでフルートを購入してはいけません。

 そう言うと「え、私はフルートの吹き比べをしたって、その違いが分からないよ」という人がいます。その人に聞きたいのは「あなたは今まで試奏をした事がありますか?」です。おそらくないでしょうね。その発言の源にあるのは日本人特有の謙遜って奴ですが、大金出して買い物するのですから、謙遜は家に置いてきましょう。

 私も実際に試奏をするまでは「フルートの吹き比べをしたって、その違いなんて分からないよ」と思っていました。でもね、やってみるとよく分かる。実によく分かる。フルートって、本当に違う。特に素材が違えば楽器が違うんじゃないかと言うくらい、音が変わるし、同じ素材でできていても製品が違えば顕著に音が変わります。またハンドメイド系に特に言えますが、同じ製品でも個体差があって、全く同じフルートって、この世にないって事が分かります。これは理屈ではなく、感覚で分かる問題なので、初心者でも(今使っているフルートである程度の)一定した音が出せれば分かります。だから試奏については、特に心配する必要はないよ。

 フルートって、なまじ人の声と同じ音域だからか、人間の聴覚の方も敏感に反応して、ちょっとの違いでも、すごくよく分かるんだと思います。だからこそ、試奏をして、お気に入りの一本を選んでください。

 それから、管楽器では音の違いは、楽器の違いよりも奏者の違いの方が影響が大きいそうですから、試奏なんて無意味であるとおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。つまりは「ゴールウェイが吹けば、どんなフルートであれ、ゴールウェイの音になる。だからフルートの違いなんて意味のない違いだ」とネ。でもね、それは机上の空論であって、現実は違う。

 まずは、このビデオを見てください。ゴールウェイが16本のフルートを吹いています。あなたが、このビデオを見て、これら16本のフルートの音が全部全く同じに聴こえるなら、たしかに試奏の必要はないでしょう。お店に行って、中国製の一番安いフルートを買って、余ったお金を別の用途に有意義にお使いください。その方がお金も幸せです。

 おそらく大半の人は、このビデオで、同じゴールウェイという人が吹いているにも関わらず、16本とも違う音を出していることが分かると思います。ただ、確かに16本全部が全く違う音というわけではなく、同じ傾向の音であることは否定しません。おそらく楽器が違っても同じ傾向の音になることが、ゴールウェイの、つまり奏者の個性の部分なんだと思います。そしてこの個性の部分を“ゴールウェイの音”と呼んでいるのだろうと思います。

 ですから、そういう意味で16本すべてのフルートの音は、全部“ゴールウェイの音”かもしれないけれど、その“ゴールウェイの音”であっても、楽器が違うとこれだけ音が違うわけ。いわんやまして…の世界ですよ。「考えるな、感じろ」の世界ですって。試奏は(後悔しないためにも)絶対した方がいいですって。

 それでも「私は試奏をして、なんとなく違うことは分かったけれど、どれが自分にとって良いフルートなのかは分かりません」という人はいるでしょうね。音の違いが分かれば、まずはそれで十分です。なぜなら、音の善し悪しって、理屈でなく感覚ですからね。なんとなくでも違いが分かれば、あとは好きな音の楽器を買えばいいのです。好きな音がする楽器が良い楽器なのですから。

 それでも自信を持って楽器を選べないとおっしゃる人へ。あなたが初心者ならば、先生に選んでもらってください。今のあなたにあった、無難な楽器を選んでくれると思います。まずはそこからスタートしましょう。経験者なら、今の自分の愛器を吹き続けることをお薦めします。心の底から良いと思えないものを買っても仕方ないでしょ。

 次に、試奏をするためには、まずフルートがそこそこ揃っている楽器屋に行くか、フルートフェアなどを開催しているお店を狙っていきましょう。蛇の道は蛇。先生とか先輩とか呼ばれる人は、どの店にどれくらいのフルートがあるは知っているでしょう。最初はそういう人に尋ねてもいいですね。また、それとおぼしき店を見つけたら、電話などで問い合わせをしてもいいかもしれません。店によっては試奏をするには電話予約が必要というところもあるようです。地方在住者は、この際、そのために可能ならば都会に出かける覚悟で考えましょう。

 お店に行ったら、私のように都会の空気に飲まれない(笑)で、正々堂々と店員さんに試奏を申し込みましょう。もし、いやな顔をされたら、後ろ足で砂を蹴って店から出てくればいいだけですから、大胆に参りましょう。恥ずかしかったら「試奏室はありますか?」と正直に聞いてもいいかもしれない。また、試奏の時に、こちらの注文ははっきりと伝えましょう。その際には、予算と条件を最初に言っちゃった方が良いかもしれません。

 予算を言ったら、無理やり買わされるかも…。その心配は分かりますが、フルートは高額商品です。即決で購入といかないことくらい、お店も分かっていますから、堂々と冷やかしてくればいいと思います。特に、今回ではなくても、必ず買い換えるという意志を見せれば、お店も本気を出して、アドバイスしてくれます。

 試奏室に案内されて、やがて店員さんが何本かのフルートを持ってくるでしょ。

 まず最初にすることは、低音から高音までのすべての音を半音進行で出してみましょう。この段階でうまく音が出せないようなら、ちょっとキビシイでしょうね。

 半音進行ですべての音が出せることを確認したら、次はスケールです。まずはハ長調のドレミを吹いてください。ピッチは大丈夫ですか? フルートは案外音痴な楽器です。私もそれなりの数を試奏しましたが、ピッチ的に「?」な笛が結構ありました。実際は多少音痴でも、演奏する時に微妙なピッチは修正しながら吹くので、大した問題ではないのですが、それでも修正する幅が狭いに越したことはないので、スケールで音程の確認をしてください。

 私の感じでは、ハ長調の「ミ」と「シ」があやしい笛が、たくさんありました。

 ハ長調が終わったら、別の調で再度確認するといいでしょうね。私はト長調を使いますが、ヘ長調も吹きやすいかもしれません。

 この辺までは“試奏”というよりも“検品”って感じですかね。でも、道具としてのフルートの性能を知っておくということは大切ですよ。

 次は音色の確認とキータッチの確認をかねて、何か曲を吹くとよいでしょう。それと、吹き心地もチェックです。ラクに音の出る笛もある一方、音出しに手間取る楽器もあると思います。これから長く使う楽器ですから、本当にしっくり来る笛を選ぶべきだと思います。

 吹いている音を心を落ち着けて聴いてみてください。その時に聴くのは、フルートから出ている音ではなく、壁に当たって跳ね返ってくる音です。跳ね返ってくる音が他人に聴こえる、あなたのフルートの音です。難しいですけれど、挑戦してみましょう。

 同伴者が笛吹きならば、同伴者に、そうでなれば店員さんにお願いして、吹いてもらって、それを聴くのも大切です。もちろん、彼(または彼女)はあなたではありませんから、あなたと同じ音は出せませんが、それでもその笛のおおまかな性格は分かると思います。

 試奏をお願いして「私はフルートは吹けませんから…」と店員さんが断ったなら「他に音が出せる人はいらっしゃいませんか?」と尋ねてもいいでしょうね。それでも誰にもフルートを吹いてもらえないならば、その店はフルートに関しては素人のお店と判断してもいいでしょう。将来的にもあまり役にたたないかもしれません。ま、買い物するなとまでは言いませんが、ちょっと心配になりますよね。少なくとも売場の担当者は、上手でなくとも一通りの事ができなければ…ね。プロの販売員として、どうよ。

 もし試奏をしてもピンと来る笛がなかったら…無理して今フルートを購入する必要はないと思います。また次の機会を待ちましょう。これだ!という笛で出会えたあなた、幸せ者です。さっそく『予約』を入れて、心と頭を冷静にしてから購入を検討しましょう。

 では、続きはこちらです。

2008年9月26日 (金)

これからフルートを買おうと思っている人へのアドバイス その2

 前回の続きです。

情報は集めても、情報に溺れてはいけない

 ウィンドウショッピングは楽しいものです。買い物の前にカタログを見ながらの品定めはウキウキワクワクしますね。その気持ちは大切にしてください。でも、情報だけでフルートを選んではいけません。

 確かにメーカーによる癖とか傾向はあります。それらを知っておくことは無駄ではないでしょう。私の独断と偏見と思い込みを無責任に書いてみると…

 例えば、サンキョウは……私の感じでは、普通の人がイメージするフルートの音、“小鳥の歌声”のような音のイメージのメーカーですね。さすが老舗って感じだと思います。

 ミヤザワのフルートは軽くて明るい音色のイメージを私は持っています。若いソプラノ歌手の歌声にどこか通じるようなみずみずしい印象があります。

 ヤマハは入門者向けでは敵なしのメーカーでしょう。安心安全、日本の良心って感じ? そうそう、吹奏楽のフルートってイメージも強いです。全国に販売店があるので、どの地方に住んでいても、リペアの問題が比較的簡単にクリアできるところが心強いですね。ちなみに音色は落ち着いた感じです。

 何と言っても、ムラマツはフルート界の大ブランド。プロ奏者や音大生はまずこのメーカー品でしょう。ゴールドフルートを購入するなら、真っ先に検討すべきメーカーだと思いますよ。とにかく、ここのフルートは、現代フルートの一つの基準だと思います。

 パールは実に吹きやすいし、なんと言ってもコストパフォーマンスが良い。音色もかなり優しい感じで、いかにも木管楽器って音で鳴ります。

 アルタスは、何と言ってもすとんさんのお気に入りです(笑)。

 その他工房系のメーカーは丁寧な仕事っぷりがウリです。外国製は大音量がウリだったり、繊細な音色が売りだったり、様々です。

 てなわけ(笑)ですが、その情報がどこから出ているか、知っておく必要があります。

 楽器屋さんなら、売りたいメーカーというのが必ずありますので、まずそのメーカーをプッシュしてくるでしょう(商売の常識です)。

 フルートの先生も、メーカーとか楽器販売店と、決して無縁な存在ではありません。分かった上で(言葉は悪いですが)利用するならともかく、そうでないなら、あなたの純粋無垢な気持ちが結果として裏切られることになるかもしれませんよ。

 また、趣味でフルートを吹く人に尋ねると、十中八九、自分の愛機のメーカーを薦めますよ。例えば私が「どこのフルートメーカーを買ったらいいの」と尋ねられれば、即座に「アルタスしかない!」と断言します。

 だって私は、アルタスが世界最高のフルートメーカーの一つだと信じてますもの。だいたいアルタスのフルートは、概ね音色が美しいし、造りも丁寧で、ピッチも正確。特に総銀フルートを検討しているなら、絶対にリストからハズしちゃダメだと信じてます。ここは、とりわけ総銀フルートに力を入れてますので、総銀フルートの購入を考えているなら、まずはここから検討するべきだと思ってます。だってね、何はともあれ、何しろ、私のアゲハを作ってくれたメーカー、いわば、アゲハの実家ですよ。世界一のフルートメーカーに決まっているじゃないの!

 …ま、そんなもんです。

 それとプロが使っているフルートに悪いものはありませんので、あの憧れのプロと同じ楽器をセレクトというのは、あながち間違っているわけではありません。しかし、プロの使用する楽器は、バカでかい音量のモデルだし、何より高価。それに、重いし、吹きこなすのにはパワーや肺活量が必要なものがほとんど。そこんところを検討に入れておかないと、せっかく買った高価な楽器も死蔵されるだけになってしまいます。

 そういうバイアスは排除しなければ、冷静に買い物はできません。そのためには、どうすれば良いのか? 情報は情報として頭の片隅に入れておいて、まずは実際にお店に出かけて、公平な態度と気持ちで試奏をしてみることです。情報よりも実物を優先。そして、お気に入りのフルートが見つかれば、それを買えばいいのです。簡単な話です。くれぐれもインターネット通販でフルート買っちゃダメよ。

中国製のフルートについて、どう考えるべきか

 とにかく安いですね。同じグレード(のよう)なら、国産の1/3程度の値段でしょうか? とにかく安さで目がくらみます。

 中国製ということで、イメージが悪いですが、私が思うに、市場というものは正直なものですから、楽器としての品質は値段相当だと思います。過大な期待をしないで購入するなら問題はないと思います。

 むしろ中国製の問題はどこでリペアをするかじゃないでしょうか? とにかく“売りっぱなし”が中国製の特徴だと思います。

 中国製を買うなら、まずそのお店できちんとメンテをしてもらえるかを確認しましょう。「メーカーに送ります」なんて返事が来たら(チャイナ娘がそう)、その店で買っちゃダメですよ。「ウチのリペアマンが面倒みますよ」というお店なら検討してもいいんじゃないかな? リペアの問題さえクリアできれは、案外、お買い得品も見つけられるかもしれませんよ。

 その際はリペアの費用も聞いた方がいいですね。だってリペアをするよりも新品を買った方が安いなら(まさにチャイナ娘はそう)、リペアなんかしないで、次のフルートに買い換えた方がいいからね。

 それと台湾は中国ではないよ。よく台湾と中国をゴッチャにする人がいるけれど、工業製品の品質という点では、台湾と中国では雲泥の差があるからね。だいたい、台湾製品は、中国ほど人件費も安くないので、驚くほど安くはないし、技術レベルも比べるのが失礼なほど違う(もちろん、台湾の方がきちんとしている)。

 その他の外国製のフルートも基本的には同様。リペアさえしてもらえるなら(大抵はOKのはず)、あとはあなたの好きにすればいいと思う。

 ま、とにかく、惚れたフルートが中国製で、どうしても欲しければ買えばいいし、そうでないなら、無難に国内産のフルートをお薦めします。

 続きはこちら

2008年9月23日 (火)

これからフルートを買おうと思っている人へのアドバイス その1

 アゲハを購入するにあたり、私も色々と勉強しましたし、色々と考えました。反省もしました。それらのことをまとめてみたいと思います。これからフルートを買おうと思っている人の参考になればいいと思うし、最近の私は忘れっぽいので、色々考えたことも忘れてしまいます。それじゃあ、もったいないので、フルート購入の際の注意点を、次のフルートを買う時のために、ここに書いておきま~す……なんてね、ははは。

 書き始めたら、長くなってしまったので、これは連載記事にします。全4回のつもり(うわー、長い!)で、気が向いたときにアップしますので、よろしく。

 参ります。

フルートの先生に相談してから買いましょう

 楽器の目利きもできない親や伴侶と二人だけで楽器屋に行っても、ボラれて分不相応な楽器を買わされたり、安さに目をが眩んで楽器の形をしただけのおもちゃをつかまされたりするだけです。納得して、分不相応な楽器を買ったり、楽器の形をしたおもちゃを購入するなら問題はないのですが、そのつもりはなかったのに、そんなものを手に入れてしまうと、悲劇以外のなにものでもないですからね。

 特に『最初の一本目』を買おうと思っている人は、要注意です。楽器屋に行く前に、フルートの先生に相談した方がよいですし、これから先生について習おうと考えている人は、楽器を買う前に入門しちゃった方がいいと思います。

 先生にしても相談された方が、実は有難かったりするみたいですよ。だって、初心者が何も分からずに、変なものをつかまされた日には、その面倒は先生が見ることになるんだから、最初からちゃんとしたものを買って欲しいと、先生なら誰もがそう思っているみたいです。

 また、何年かやっている人は別の心配があります。それは『努力不足を楽器のせいにしてないか?』という問題です。楽器を買い換えれば今抱えている問題のすべてが解決するような気がする…はい、その気持ち、よく分かります。

 でもね、それは本当に楽器のせいですか? 本当に楽器に不備があるなら、すぐさま買換えた方がいいに決まってます。でも、実際はどうなんですか? そこを判断するのも先生の役割です。楽器買換えに逃げてはいけません。まずは楽器の調整です。メンテをきちんとしましょう。次に現在の愛器でできるだけのことをしましょう。その先に、楽器の購入があると思います。

 もっとも、コレクター属性のある人は、そういうのとは関係なく、ドンドン笛を買っちゃいましょう。それがひいては、日本経済を、世界経済をまわすことにつながるかもしれませんから(笑)。「今の笛に飽きちゃったから買い換える」…大人ならアリだと思います(大笑)。

お店を選びましょう

 それに、フルート選びにはお店選びも大切な点です。どのお店が良いか? それもなかなか分からないものです。そんな点も含めて、フルートの先生にまずは相談です。それができない人でも、最低限、フルートを趣味にしているお友だちぐらいに相談くらいはしましょう。

 では、お店選びのポイントは…何と言っても、フルートの在庫量。お店にフルートがたくさんなければ、選べないじゃないですか。選べなければ買えないでしょ?

 え? カタログを見て、注文すればいい? フルートって、マンガを買うのとはわけが違うのよ。注文をしても、すぐにお店に品が届くとは限らない。お店に届くまで何カ月も待つなんてのはザラよ、ザラ。下手すると、一年後、二年後に品が届くことだってあるわけよ。それでも注文する? でしょ。それに注文ってことは、実際に吹かずに購入することになるわけだし、それも怖いよね。だから、まずは現物がきちんとおいてあるお店に行きましょう。

 フルートを買う時は、調整修理、つまりリペアのことも考えて買いましょう お店にリペアマンがいるといないじゃ大違いだよ。フルートは買ったら買いっぱなしというわけにはいかず、定期点検が必要な楽器だから、その辺の対応の有無も要チェックね。

 あと、当然だけれど、近くのお店がいいと思う。できれば自分の生活圏内にあるお店がベスト。ま、東京で買った私が言うのもなんだけれど、フルートを一回買ったら、その店とは当分縁が続くわけだから、フットワーク軽く通えるようなお店の方が良いと思うよ。私はアゲハのためなら、片道1時間の電車でお店に行くことを覚悟しました。でもできれば、もっと近くのお店でもよかったのにとも思いました。(でも、先生がその店に行け、っておっしゃったんだから仕方無いね)

買う時期を選べ

 フルートは高いです。だからこそ、購入時期を選びましょう。ほんの少しの割引率の違いでも、元値が高いので、結果は大きく違います。同じ予算でも、購入時期を選べばワンランク上のグレードのものも買えます。同じ金額なら、グレードの高い方の楽器が欲しいでしょ? だから、買う時期を選びましょう。

 具体的に言えば「フルートフェア」とか「管楽器フェア」などの期間中に買うといいでしょう。

 フェアをいつやるかは、お店に尋ねれば教えてくれますので、どんどん聞いちゃいましょう。一般的に春先、新学期の頃は、どこの楽器店も、ブラスバンド部の新入部員をあてこんだフェアをやるところが多いですから、気をつけてみるといいでしょうね。

高価なフルートが良いフルートとは限らない

 フルートの素材にはいくつか種類があり、その素材ごとに値段が違います。また製造方法にもいろいろな違いがあり、そこで価格差が生じます。

 だから高価なフルートが必ずしも良いフルートとは限らず、高価なフルートは高価な素材を使っていたり、手間のかかる製造方法で作られているにすぎません。高価な素材で手間隙かけたからと言って、必ず良品が生まれるわけではないことくらいは、大人の皆さんなら御承知だと思います。

 まず素材の違いに着目するなら、値段の違いよりも音色の違いに着目です。フルートは素材が変わると、まるで別の楽器のように音色が変わります。素材の違いは練習や腕前では乗り越えられません。そこのところをわきまえ、自分の好みの音色を出してくれる素材のフルートにしましょう。ただし、標準的なフルートの素材は銀ですから、ある意味、総銀のフルートが標準的な存在だとは言えます。また現在、多くのプロ奏者は金でできたフルートを多用しています。そういう点から考えるなら、金のフルートは今時の流行りだとも言えます。

 また、日本の工場の技術力をなめてはいけません。大量生産品をバカにしてはいけません。安いフルートのほとんどは大量生産品ですが、実にしっかり作られていますので、実用品レベルの話なら、何の問題もありません。ただし、楽器に実用品以上のものを求めるならば、職人技に頼るしかないでしょう。その場合は“ハンドメイド”の楽器を購入です。

 あと、音楽ジャンルによって、多少フルートの選択も変わってくるかもしれません。クラシック一辺倒なら、やはり総銀やゴールドのフルートになってしまうかもしれませんが、マイク使用前提のポピュラー系ならば、洋銀の音の方がマイクのとおりもよいので、却って良いかもしれませんよ。

 もし考慮に入れるとすると、素材によって、吹き込むのに適切な息の量とか強さとか速さのようなものがありますので、その辺を一考に入れても良いかもしれません。

 洋銀は、はっきり言っちゃえば、楽に吹けるし、楽器も軽いので、入門者や体力に自信がない人にお薦めです。その一方で、すこし強めに吹いていると、すぐに限界点に達してしまうので、息の強い人には向かないかもしれません。真鍮は軽いけれど、吹くのが楽とは言えません。おまけに、すぐに限界点に達してしまうので、この音色を好む人ならともかく、そうでなければ、かなりやっかいな素材だと思います。銀や金は吹くのが大変ですし、だいたい楽器も重くなります。そこの壁をクリアできれば、ダイナミックスの幅を広めに取れるので、クラシック系には良いかもしれません。当然、一部、銀を使った洋銀フルートは、その中間的な性格になります。

 ですか、安い楽器だからと言って卑屈になる理由はないし、高い楽器だからと言って威張るのも変な話です。用途や自分の体力によって、良いフルートは変わります。フルートなんて、ゴールドフルート以外は、遠目で見たら区別つきません。洋銀もプラチナも見た目は一緒。メーカーの違いなんて全く分かりません。そこで高いの安いと言っても、何も始まりません。要は、あなたが吹いた音がすべて。だから、自分がいい音で音楽できる楽器が良いフルートなんです。

 話が長くなってきたので、続きはこちらでお願いします。

2008年9月 4日 (木)

フルート購入に関する心境の変化について… その2

 いよいよ、話はブログにアップした部分に差しかかってきました。メーカー名も機種名も具体的に書きましたが、すべて個人の感想ですから、その辺を誤解しないようにお願いします。また、書いていない部分についての邪推はご遠慮ねがいますので、そこんとこ、よろしくネ。

 参ります。

 すっかりムラマツのEXを買うつもりになっていた私にとって、実は試奏というのに、あまり意義を感じていませんでした。「どうせ、ムラマツ買うんだし~」って感じでしょうか。問題は、どこのお店でムラマツEXを買うか。でも、地元のお店のリップ金のムラマツEXがいいなあと漠然と考えていました。だってリップ金の限定品だよ、すごいじゃん。

 ところが試奏に行って、その気持ちが変わってしまいました。

 総銀だったけれど、一通りのメーカーのフルートを吹きました。ムラマツは確かに良いフルートでした。良いフルートでしたが、試奏をしているうちに、私にとって、ムラマツのフルート以上に魅力的なフルートと出会ってしまったのです。その魅力的なフルートが「D社の総銀」と呼ばれていたフルート…つまり、のちのアゲハ、アルタスのA1307です。

 アゲハとは運命的な出会いをしていたわけです。

 でもアゲハは高価。実際、メーカー価格レベルでは(私にとっては)メチャメチャ高いんです。ムラマツEXとは比較になりません。

 具体的なお買い物となると、お財布の都合だってあるわけです。いくら魅力的な笛とは言え、買えるものと買えないものの区別くらいはつきます。だから、アゲハのことは横に置いて、現実的な買い物をしないといけないと思いました。

 その時の試奏の結果、購入第一候補は、C社の総銀フルート。パールのマエスタでした。ただし、この段階で私、マエスタとカンタービレを実は勘違いしてまして、マエスタがカンタービレの値段で買えるものと思っていました。ちなみにパールのマエスタはアゲハと同ランクのメチャメチャ高い総銀フルートです。カンタービレはワンランク下の楽器になります。(カンタービレは価格的にはマエスタの下のランクの笛ですが、持ち味がだいぶ違いますので“ランク下”と考えるより“別物”と考えた方が良いと思います。いい笛ですよ、カンタービレは)

 パールのマエスタ。実に良い音色のフルートです。私との相性は抜群。その上、お値段も(カンタービレだと勘違いしていたので)総銀にしてはリーズナブル。アゲハに魅力を感じていたものの、アゲハとカンタービレでは、お値段は全く比較になりません。カンタービレ(本当はマエスタ)の方が遥かにコストパフォーマンスが良いのです。試奏直後は、私の心はカンタービレ(本当はマエスタ)購入でほぼ決まっていました。

 でも、いくらコストパフォーマンスが良いからと言っても、やはりカンタービレ(何度も書くけど、本当はマエスタ)だって、総銀フルート。頭部管銀のフルートとは格段に値段が違います。家に帰って、ゆっくりと考えてみれば、カンタービレ(本当は…)に決める前に、もっとグレードの低い笛たちも検討しなければいけないだろうと思うようになりました。分相応の買い物をしなければ…、そう思ったのです。

 今までは、チャイナ娘の買換えフルートの候補として、ムラマツのことしか考えていなかったけれど、アゲハやカンタービレ(…)の件もあることだし、他のメーカーにだって、ムラマツEXに匹敵する、コストパフォーマンスの良い、素晴らしいフルートがあるにちがいない。手の届く範囲のフルートを一通り吹いてみて、もっともコストパフォーマンスの良いフルートを、メーカーにこだわることなく、真摯な気持ちで選んでみよう。そんな気持ちをもって臨んだのが、二度目の試奏でした。だいたい、まだこの段階では、ムラマツEXを吹いていないのです、私。

 だから、二度目の試奏では、現実的な値段のフルートを吹き比べてみたり、各社の様々なグレードのフルートを吹いてみたりしたのです。

 たくさんのフルートを吹きました。もちろんムラマツEXだって、バッチリ吹きました。
 でも分かったことは、私はどんなフルートよりもアゲハが好き。何を吹いても、どれを吹いても、アゲハと比べてしまう私がいました。二回の試奏を合わせれば2000万円に及ぶ、たくさんのフルートを吹いて比べた結果、絶対に買えないゴールドフルートや木管フルート、プロ奏者の使用が前提のとても高価な総銀のフルートを選択肢に入れても、それでもアゲハが一番好き。

 困りました。

 本当は、お財布の事を考えて、頭部管銀のフルートを買うつもりでした。ムラマツ、パール、アルタス、このあたりのメーカーの頭部管銀のフルートを買いたかったのです。どうしても総銀にこだわる事にしても、総銀にも色々とランクがあるので、コストパフォーマンス優先の、比較的低価格の総銀フルートにしようと思っていました。

 ムラマツフルートは…どのグレードのフルートも、とても良い楽器でした。多くのユーザーに愛されている理由も分かりました。当初はスクールモデルであるEXを買うつもりだったのだから、初志貫徹をしてEXを買っても良かったし、何と言ってもムラマツはブランド品ですから、持っているだけでも自慢できます(笑)。おそらくアゲハと出会わなかったら、ムラマツの中からチョイスしたかもしれません。何しろ私、見栄っ張りですから(大笑)。でも、すでにこの時、私の心はアゲハに盗まれていました。もう、ムラマツのフルートをチョイスする事はできませんでした。

 パールフルートも同様です。この会社のフルートは実に素晴らしい音色です。とてもドラムス専業の会社(イメージ古い! でも私は昔、パールのドラムスを叩いていたんですよ)の製品とは思えません。私との相性もバッチリ。どのランクのフルートであってもコストパフォーマンスの良さは特筆ものですから、理性的に考えれば、このメーカーのフルートを選択するべきだったんです。特に総銀フルートのコストパフォーマンスは格別です。現実的なチョイスとしは、この会社のフルートを買うべきだと、私の中の優等生がそう言ってますが、でも、私の心はすでにアゲハに盗まれていたので、ここからもチョイスはできませんでした。

 当初予算は、20万円前後のムラマツEXが買える程度だったはずなのに、二度の試奏を行なっているうちに、私の金銭感覚がドンドン、マヒしてゆきました。洋銀系のフルートに飽き足らず、総銀フルートが欲しくなってしまいました。いつしか予算も、総銀フルートを買えるギリギリの40万円まで跳ね上がってしまいました。当初予算の倍額ですよ、ああ、おそろしい。

 でも、その狂った金銭感覚でも、やはりアゲハは高価。

 結局、欲しくて欲しくてたまらなかったアゲハだけど、高すぎて、とても手が出ないと一度は諦めました。アルタスにはアゲハよりも安価な総銀フルートが二つありました。その中で検討した結果、アゲハの妹分の総銀フルートであるアルタスA1207Eを購入リストの一番上にして、笛先生に報告したのです。本当はお姉さんの方が欲しいけれど、お姉さんには手が届かないので、妹さんに求婚です。まるでモーツァルトみたいだな。

 でもね、このA1207Eだって、かなりの背伸びをしているんです。これでも実は予算オーバーなんです。だから、これが精一杯の贅沢。これが現実世界での限界だっ!と思ってました。

 それにA1207Eって、まんざら単なる『アゲハの身代わり』ってわけでもありません。というのも、現状を優先して考えるならば、アゲハよりもA1207Eをチョイスするべきだったのです。なにしろA1207Eの方が私との相性は良いです。店員さんにも選定プロにも強く薦められたのはA1207Eですし、私自身も音や吹き心地など、総合的に判断するなら、A1207Eが一番良いかなって思ってましたもの。

 アゲハは、音は好みだけれど、笛としては、私の手に余ると思ってました(し、実際今、手こずってます)。だからある意味、納得づくでA1207Eを購入リストの一番にしたわけです。

 なのに…笛先生の「Eメカ付は買わないでください(その分のお金を他に使ってください)」「本当に気に入ったものを買ってください」「現在、楽に吹けるものよりも、ちょっと吹くのがキビシイくらいのフルートの方が、将来的には良いと思います」の言葉で、購入フルートをA1207Eから憧れのA1307R(アゲハ)に変更。さらに良い方向に物事は進み、お店の期間限定の豪快な割引率と、メーカー情報の“9月に値上げ”といった後方支援もあり、さらに大人の最終兵器“ローン”も目一杯活用して、今、手元にアゲハがあるわけです。あら不思議。

 おそらく、フルート教室を地元の楽器店の教室にしたら、今頃はヤマハの洋銀フルートを吹いていると思います。また、試奏に行かなければ、ムラマツのリップ金のEXを買っていたと思います。試奏だって、たった一回ならば、パールの(マエスタと勘違いしてましたが、高価なマエスタは買えないし、実は好みの笛なので)カンタービレで決定です。二回の試奏を経ても、まだ予算にこだわっていた私は、先生の言葉がなければアゲハの妹分のA1207Eを購入していたでしょう。

 それなのに結局、手元にあるのは、アゲハ。アルタスA1307R。最初の試奏で私の心を盗んでいったフルートです。フルート始めて三カ月の、まるっきり趣味の中年オジンが持つには贅沢すぎるフルートです。ありえない話です。

 でも、こうして最初から物語を確認していくと、まるで最初からアゲハを買うことに決まっていたみたいな結末。こういう事もあるんですね。

 人と笛の出会いにも、縁というものがあるのだと思います。

 ま、これで、私はフルートを真剣にやることが確定してしまいました。

 アゲハが分不相応な楽器だとは、自分でよく自覚してます。始めて三カ月で“憧れの総銀”に手を出すなんて…! フルート界の掟(?)どおりなら、フル洋銀→頭部管銀→管体銀→総銀って、順序よく成り上がっていかなければならないかもしれないけれど、私はもう立派なオジサン。そんなに手順を踏んでいったら、総銀に行く前に寿命が尽きてしまいます(いや、ホント)。それに腕は未熟でも、年齢相応の持ち物ってのもあるしね…。そんなこんなで、分不相応な楽器を2番目の笛に選んでしまいました。

 しかし、こんな高価で立派な笛を買って「フルート飽きちゃった」なんて言ったら、バチ当たるよな。真剣にやらないと、アゲハと、アゲハを作ってくれた職人さんに申し訳がたたない、いやホント。

 人が楽器を育て、楽器が人を育てる。フルートと奏者の関係って、そんなものらしい。私はアゲハにふさわしい奏者になれるか…キビシイなあ。でも、頑張んないとナ。ファイト、ファイト!

2008年9月 3日 (水)

フルート購入に関する心境の変化について… その1

 アゲハ(アルタスA1307R)を購入した私ですが、購入に至るまでの、心境の変化を振り返ってみると、なかなかおもしろいかもしれないと思いましたので、これも中年の思い出として記事にしておきます。ある意味、今回の「フルート購入顛末記」のまとめ記事的なものです。

 そうそう、いつまでもメーカー名をイニシャル表記にもできませんので、今回から具体的な社名を書きますが、これはあくまで私の個人的感想であって、そのメーカーさんなり、フルートなりを、貶めたり誉め殺しにするつもりはありませんので、その辺は誤解のないようにお願いします。ま、あくまで「個人の感想」って事で留めておいて下さい。

 さて、参ります。

 最初にチャイナ娘の衝動買いをして、笛を吹き始めて、私はすぐにフルートのとりこになりました。真剣にやってみたくなりました。その思いが先生探しにつながり、その思いが「ちゃんとした普通のフルートを買いたい」という気持ちになりました。一応、チャイナ娘がおもちゃのような楽器だという自覚は、まだフルート界のことを全然知らない私でも分かっていましたから。

 その頃の「ちゃんとした普通のフルート」とはヤマハの洋銀フルート、YFL-221です。6万円の笛です。冗談抜きで、この笛って『洋銀フルート』の名品でしょ。ジャズ系やポピュラー系ではプロ奏者も結構これを使っている。それくらいの名品。私はこれが欲しかった。だって、その頃の私は、フルートを習うと言っても「ポピュラー・フルート」をやるつもりだったから。ポピュラー・フルートならYFL-221っしょ。(まさか当時はアルテをきちんとやるなんて思わなかったし…、というよりもアルテの存在知らなかったし。)やっぱりお金を出す以上、プロが使っているような良いものが欲しいものね。

 もちろん、ヤマハ以外のメーカーの存在も知っていましたし、地元の楽器屋さんに行けば20万円程度のフルートだって置いてありましたが、これらは音大受験などの本格的にクラシックのフルートをやっている人向けのもの(当時はそう思ってました。モノを知らないって恥ずかしいね)であって、自分とは無縁な楽器だと思っていましたし、それに6万円だって、十分に高価な買い物だと思ってました。

 高価な買い物なので、ちゃんとしたものを買いたい。そしてフルートを買うときには試し吹きをするはずだから、試し吹きができる程度の腕前は欲しい。それなりの腕前になれば、楽器屋にだまされて変なものを買うことはないだろうから、先生について練習に励みたい、そう思ってました。

 「楽器屋にだまされて変なもの」…これは、楽器屋の言いなりになって、実力以上の高価な楽器を、知らず知らずのうちに買わされることを指してます。オーバースペックは銭失いですからね。だから、自分にふさわしい楽器を購入したいと思っていました。で、その頃は、ヤマハの洋銀フルートこそが自分にふさわしい楽器だと信じていました。だいたいが初心者なので、その頃の私の選択は正しかったと思います。で、まずはそこから。もしも、もっともっとフルートの腕前が上達したら、次のフルートを買うかもしれないけれど、まずはそこから。そう考えていました。

 フルート買換えが前提でしたので、先生選びも、その点を少し考慮に入れました。近所の楽器店のフルート教室が色々な意味で便利でしたが、そこでお世話になってしまうと、当然次のフルートはそのお店で買わなければいけません。これは生徒としての仁義という奴です。さらにその店はヤマハの特約店ですから、ヤマハのフルートを買わなければいけない。ヤマハを買うつもりだったけれど、買い物に関して、足かせというか、束縛というか、自由に品定めをしたいと思っていた私は、変なヒモツキになることを危惧し、楽器店のお教室にはいけませんでした。で、色々と探して、現在の笛先生にお世話になることにしました。

 ちょうどその頃の話です。私のリアルな知り合いに、音大のピアノ科卒の小学校の先生がいて、その人が副科でフルートを吹いていたそうです。ある時、その人との話の中で「音大に入学して、フルートを買いましょうとなった時に、先生から『ムラマツ以外のフルートは買わないでください』と言われたから、高かったけれど、このフルートを買ったんですよ」と言って、自分のフルートを見せてくれたことがありました。それがムラマツの昔のスクールモデルでした。

 音大ではムラマツ以外のフルートは御法度なのか…。ムラマツのフルートってすごいんだなあ。一番安いのでも音大生が使うんだ。とりあえず、ヤマハのフルートを買って、上達したら、次はムラマツの一番安いフルートを買おうって思い始めました。

 いつかはムラマツのフルートを…そんな気持ちになりました。

 その頃になると、ネットでフルート系のブログを読むようになりました。使用フルートの機種を明らかにしていない人もいますが、明らかにしている人の多くは、やはりムラマツ。なんかマジメなフルーティストは全員ムラマツユーザーなんだという、勝手な思い込みが膨らんでゆきました。だんだんムラマツに対する憧れの気持ちが大きくなってゆきました。私もいつかムラマツユーザーになろうと思うようになってきました。

 でも、フルートを習い始めた頃は、笛先生には私にフルートを買い換えさせる気持ちは皆無だったみたいで「しばらくはこのフルート(チャイナ娘)で…」とおっしゃってました。その辺のことはこちらの記事に書きました。フルートを買い換えたい私は、がっかりすると同時に、フルートを買い換えるには、まだまだ腕前が不足しているのだなあ…と思ったものです。それにチャイナ娘は意外にいい笛だということも分かり、買換えは、半ば棚上げにして、チャイナ娘とトコトンつきあう気持ちになってきました。

 それが、それほど時を経たずに、笛先生からフルートの買換えを検討しましょう、という話が出てきました。その時の話はこちらです。そして、買うなら「最低でも頭部管銀で」と言われたことから、ヤマハの洋銀フルートを買おうと思っていた思惑はくずれました。そして「頭部管銀」なら、ムラマツのスクールモデルがまさに「それ」じゃない。もしかしたら、いきなりムラマツを買っちゃってもいいの? そんな気分になってきました。

 実際に値段を検討すればするほど、頭部管銀ならムラマツだって買えるんじゃないって気分になってきました。つい最近まで、6万円のヤマハの洋銀フルートを高価だと思っていた私が、23万円のフルートを「買える」って思っちゃったんですよ。ああ、今思えば、この段階から金銭感覚がマヒし始めたんだなあ…。

 買えると思うと、思いは募るもので、地元の楽器屋にムラマツのEX(頭部管銀のスクールモデル)がありました。暇さえあれば、その楽器を眺めにいきました。「先生の許可が出れば、この楽器を買おう!」そう思うようになっていました。あの頃はまさに“トランペットが欲しい黒人の少年”状態でした。程無く楽器店のフルート担当者に顔を覚えられて、いつも冷やかしばかりだったので、何となく行きづらくなってしまいました。でも本当に、あのリップ金のムラマツEXにあこがれていました。他にもフルートはあったけれど、目に入らないくらいでした。

 それからまもなくして、笛先生からスペシャル・ミッションがくだり、フルートの試奏に行きました。それらのことはすでに記事にしましたので、そちらをご覧ください(スペシャル・ミッション最初の試奏二度目の試奏)。

 続きはまた明日。

2008年8月27日 (水)

新しいフルートを買いました[または、豚に真珠]

 私はあっちこっちのフルートブログをのぞくようになった時、思ったことは「この人の使っているフルートは、どこのメーカーの何という楽器なんだろう」ってこと。しっかりプロフィールにフルートの事を記載している人もいれば、購入記を連載していた人もいるし『私のフルート』みたいなページを作っている人もいた。

 私がそういう興味を持ったのだから、きっと他の人もそういう興味を持っているに違いない! ということで…

 結局、色々ありましたが、新しいフルートを買いましたので、ご紹介かたがた、自慢(笑)とウンチクを述べたいと思います。

 えーと、まずは銘です。フルートの名前ですね。“アゲハ(揚羽)”と名付けました。以下、アゲハと呼びます。よろしく。

 さて、今まで散々「D社の総銀」とか「お姉さん」とか呼んでいたアゲハですが、実は アルタスのA1307R というフルートです。ここのメーカーの総銀フルートの中では、下から三番目のランクの笛です。皆さんが推測していたフルートだったでしょか? 当たった方、おめでとうございます。どの辺で見破りましたでしょうか? また、惜しくもハズしてしまった方は、何と間違えたのでしょうか? 当たった方もハズれた方も、もしよろしかったらコメントいただけると、みんなで楽しめると思います。

 ちなみにお値段は、やっぱり、アップライトピアノ一台分(笑)、定価ベースで53万5500円です、庶民感覚ではお高い買い物でしたが、総銀フルートとしては、普通かやや安めのフルートです。もちろん値引きしてもらって買いました。このフルートは9月に値上げしますが、一体いくらになるのでしょうね。15パーセント程度の値上げと聞いてますので、それで決まりなら新価格は約62万円。とてもじゃないですが、値上げ後の定価ベースでは手なんか出ませんよ。だってムラマツのDSとほぼ同じお値段。9月以降のお買い求めなら、2ランクほど下げないと手が出ませんな。[2008年9月2日追記 新価格は577500円でした。約7.5パーセントの値上げ? あれ、メーカーさんから直接聞いたのとだいぶ違うよ、おかしいなあ?]

 公式ホームページには情報がほとんどありませんが、一応貼っておきます。国内ではあまり商売をするつもりがないのでしょうか、このメーカー。海外向けのページはこちらですが、こっちの方が明らかに力が入ってます。英語が平気な方はそちらへどうぞ。

 メーカーのアルタスさんは、日本のメーカーさんです。比較的新しいメーカーさんのようです。メーカーの営業さんの話では、元々は海外に工場があって、某メーカーのOEMを作っていたようです(どこのOEMをやっていたのでしょうね?)が、自社ブランドを立ち上げる際に工場を日本の長野県の安曇野に移して今に至るのだそうです。店員さんは、新興のメーカーだけれど、評判がとても良いんですと言ってました。

 『総銀』…フルートのすべてのパーツを銀で作っている楽器のことです。現代フルートの標準品は総銀なんだそうです。ただ、銀と言っても、貴金属の常として、銀合金を使用します。で、その合金の銀含有率をどれだけにするか、どの金属をどれだけ混ぜて合金を作るかで、メーカーそれぞれの工夫があるみたいです。

 アゲハさんはAg958(銀含有率95.8パーセント)という、ブルタニアシルバーという銀で作られています。多くの総銀フルートはAg925(銀含有率92.5パーセント)のスターリングシルバーで作られています。ですから、通常の総銀フルートよりも銀の含有率が高いのです。数字的にはちょっとの違いですが、音色にはかなり大きく差が出てきます。

 ちなみに通常の総銀フルートで使われているスターリングシルバーは、もちろん厳密には銀合金なのですが、一般的には“純銀”と言った場合は、このスターリングシルバーのことを指すそうです。ってことは、アゲハさんは“純銀”よりも純度の高い銀でできているということになりますね。おもしろいね。

 アルタスさんは、他にもメタライズドシルバーと呼ばれるAg997(銀含有率99.7パーセント)の銀を用意していて、アゲハよりも、もっと上級機種になると、これが全面的に使われています。実はアゲハさんのキイパイプはブリタニアンシルバーではなく、メタライズドシルバーで作られています。さらにこのメーカーは、アルタスシルバーと呼ばれるAg946(銀含有率94.6パーセント)の銀も用意しているそうです。自社名をつけるだけあって、銀以外の金属の配合に特徴があるそうです。こいつは最高級品の総銀に使われています。

 ひと言で“銀”と言っても、アルタスさんはこれだけの銀を用意し、使い分けているようです。自社の総銀フルートの銀の含有率を明らかにしているフルートメーカーさんは、あまり多くありません。そういう点では、アルタスさんは銀の素材にこだわっているメーカーの一つと言えるでしょう。実際、金もプラチナのフルートも用意していますが、製品ラインナップを見ても、総銀に力を入れている、総銀にこだわりのあるメーカーさんのようです。

 しかし、冷静な頭で考えるならば、スターリングシルバーにせよ、ブルタニアシルバーにせよ、銀の含有率が違うと言っても、わずか数パーセントの誤差程度の違いしかありません。さらに言うと、息が最初に当たるリッププレートは、アゲハも通常のスターリングシルバーで作られています。この程度の違いでは、音は大きく変わらない(むしろ全く同じ)と言う人は、とても知性的な人だと思います。私も知性の部分ではそう思います。でもね、銀の含有率の違いを知らずに聞き比べた時に、その違いが瞬時に分かるほどの音色の違いはどう説明したら良いと思いますか? もっとも音色の違いは、分かる人には明らかに分かるけれど、分からない人には全く分かりません。分からない人には、おそらく、どう説明しても分からないでしょう。だから、銀の含有量にこだわる人はこだわるわけだし、そこに応えるメーカーも存在するのでしょう。

 他にアゲハの特徴と言うと『ハンドメイド』『無垢鏡面仕上げ』『ドゥローン式』があげられるでしょう。

 『ハンドメイド』… 不思議な表現ですよね。すべての楽器は人の手作業で作られているので、ある意味すべての楽器はハンドメイドなのですが、フルートの世界では世間一般とは違った意味で、この言葉が使われているようです。

 この世界では、製作工程ごとに熟練した専門の作業員を置いて分業制で作った楽器のことを「スタンダード」と呼び、一人の職人さんが製作・組立て・調整までのすべての工程を一人で請け負って完成させた楽器を「ハンドメイド」と呼んでいます。ま、安定した品質の大量生産品であるスタンダードモデルに対して、職人さんの個性が出やすい少量生産品であるハンドメイドモデルという区分ですな。

 つまりスタンダードモデルが万人向けの製品であるのに対して、ハンドメイドモデルは癖が強いので、奏者との相性が問題視されるけれど、相性がバッチリなら、すごいことになる工芸品というわけだ。もっとも相性が合わないと目も当てられなくなるという世界です。そういう点では、ハンドメイドモデルの楽器の購入には、目利きが必要になりますね。と言うか、目利きができて、お財布が許すなら、ハンドメイドモデルのフルートをぜひ買うべきなんでしょうね。

 『無垢鏡面仕上げ』… つまり楽器の表面にメッキ加工をしていませんということです。メーカーの営業さんの話だと、メッキ仕上げのフルートの場合、部品の一つ一つに磨きをかける必要がないので、磨きの分の製造工程を減らすことができ、コスト的に有利になるそうです。逆に言うと、メッキをかけなければ、一つ一つの部品を人の手で丹念に磨かなければいけないそうで、コスト的にかなり不利になるそうです。ま、これは仕上げの問題ですね。ですから、無垢の方がより丁寧に作られているとは言えると思います。

 確かに各メーカーさんのカタログを見ると、総銀の中でもメッキ品は比較的安価なランクに、無垢のものは高価なランクに位置づけられていますが、それはそういう理由。

 あと、メッキの有無はサビの問題にも直結です。メッキ加工をしてある楽器はサビづらく、長いことピカピカだし、お手入れも簡単だそうです。その点がメッキ無しの楽器の弱点になるわけですから、「メッキしてないのはサビやすくて良くないじゃん」と言ったところ、実はフルートはサビた方がよいのだとメーカーさんは言ってました。そしてサビはフルートの音色をよくする(ホント?)ので、サビを楽しめるのが無垢なんだそうです。だから、楽器がサビてきてもサビを落とさないようにしてください、だって。

 店員Bさんも「このフルートはメッキ加工をしていないので、そのうち必ずサビてきますが、サビた状態になって始めて、このフルートの本当の音が聴こえてくるようになります。きっと良い音がしますよ、楽しみですね」だってサ。サビが気になるようだった、オーバーホールの時に表面のサビだけ落として、ピカピカの状態に戻すことも可能なんだそうです。「お薦めはしませんが…」というセリフ付で教えてもらいました。

 ちなみに銀のサビには黒くなるサビと白くなるサビがあって、それは奏者の体質で変わるそうです。白くなるならいいけど、黒くなったら不潔っぽくてイヤだな。あ、サビと書いてますが、科学的には硫化銀のことです。酸化銀じゃないので、鉄がサビるのとは少しわけが違います。

 『ドゥローン式』… これはトーンホール(穴のこと)の作り方の問題で、フルートは管体に穴を開けたら、穴のフチを外側に立てるのだけど、そのフチの部分を本体を曲げてフチを作る比較的新しい作り方か、フチを別の部品で作ってハンダ付けする昔ながらの作り方かの違いがあって、本体を曲げて作る方を「ドゥローン式」、別部品をハンダ付けするのが「ソルダード式」と言うそうです。

 当然高いのはソルダード式。だって、別部品を作ってわざわざハンダ付けするわけで、製造工程が増えるでしょ。だから高級機種はほとんどがソルダード式です。

 ちなみにアゲハさんは安い方のドゥローン式ですが、一カ所だけ、Cisという一番上の穴だけがソルダード式で作られているそうです。他の穴はドゥローン式でもソルダード式でも好みの問題で片づけられるけれど、この穴だけはソルダード式で製作しないと、正確なピッチでフルートを作ることができないと、メーカーさんは言ってました。「そこにこだわっています」とも言ってました。だから、コンサート等で使用されるようなフルートは、最低、Cisだけはソルダード式でなければ困ったことになるそうなんですが…って事は、アゲハさんはコンサートで使える笛ってこと?

 あと、ドゥローン式とソルダード式の違いは、音の立ち上がりと言うか、楽器から出てくる音の初速が違うというか、そんな感じのものが若干違うかもしれない…っていう程度。「…かもしれない」程度の違いですし、比較しないと分からない程度の違いなので、気にしない人は気にしないだろうし、気にする人は大いに気にするといいと思う。

 ちなみにどう違うかというと、音の立ち上がりが、ドゥローン式だと「っにゃーーー」って感じに立ち上がるとすると、ソルダード式は「っちゃーーー」って感じかな。ま、その程度の違いに私は感じました。ちなみに、その程度の違いでお値段は20万円違います。で、私はこだわりましたよ、その違いに。こだわった結果、ドゥローン式を選択。別にお金の問題ではなく、「っちゃーーー」より「っにゃーーー」の方が好きだから。だいたい、「っちゃーーー」が好きなら、ゴールド・フルートを買うってば。

 ううむ、大半がウンチク話になってしまった。だからオジンはウザいんだよな。

 とにかく、アゲハを買いました。おそらく、もう二度とフルートを買い換えることはないでしょう。だって、次に買うときは「買い足し」だもん。そういう意味では、アゲハさんは私にとって“ゴール”なフルートです。つまり、本妻。21世紀の日本ですから、本妻は大切にしないとネ。本妻にして恋女房なんだな、アゲハは。

 もしも…もしも、1000万円持っていて、そのお金で自由に好きなフルートを一本だけ買っていいよと言われたとしても、たぶん“アゲハ”を買ったんじゃないかな? そんな気がします。もちろん、今回の試奏で、世界中のすべてのフルートを吹いたわけじゃないし、特に高価な笛や海外メーカーのフルートはほんの数本吹いただけで、ほとんどの高級フルートを知らない私ですが、それでもたぶん、高価な笛ではなく“アゲハ”を選択していたと思います。

 その一番の理由は「呼ばれたから」。今回、私はアゲハに呼ばれたのだと思ってます。私がアゲハを選んだのではなく、アゲハが私を呼んだのだと思ってます。でなければ、私の意志で、この笛を買うことはなかったと思うし…。

 さて、激安楽器のユーザーから、一転して高価な総銀フルートのユーザーになってしまった私。まだフルート始めて間もないんですよ、それなのにこんな良い楽器を所有してバチは当たらないでしょうか? オーバースペック状態ではないでしょうか? 分不相応なことになっていないでしょうか? とにかく、楽器負けしないように練習しないと。

 アゲハさんがやってきたので、これでチャイナ娘は引退です。私を笛の世界に導いてくれたのが、この笛でした。安物の楽器でしたが、私にとっては、値段以上の価値のある、まさに人生を大きく変えてくれた楽器でした。たった五カ月のお付き合いでしたが、感謝です、ありがとう。

2008年8月26日 (火)

新しいフルートを買いに行きました

 笛先生に言われ、フルートの予約を、よりグレードの高い、本当に気に入った笛(D社のお姉さんの方の笛)に変更しました。確かに先生のおっしゃるとおり、フルートなんて、そう何本も買うものではありません。一番気に入ったものを買えというアドバイスは、確かに理に適っています。

 本当は別のものが欲しかったけれど、お財布の都合でこっちにしたんだ…なんて思っていたら、本人にとっても、笛にとっても不幸な話かもしれない。でも、お財布には限界ってものがあるんだよね。

 さっそく資金繰りの相談です。何しろ予算大幅オーバーですから(涙)。相談と言っても、フルートは私の趣味ですから、基本的に私の小遣いで買います。家計からは一円も出ません。足りない分をどこから工面してこようか、色々と妻から知恵を拝借します。お店の方にもローンやら何やらの相談をして、何とか資金繰りの目処が立ちました。

 さあ、フルートを買いに行くか!

 店員Bさんに電話を入れて、お店に行きました。

 お店に行ったら…混んでました(驚)。フルート専用試奏室は使用中。カウンターのところでもたくさんフルート出して検討している親子連れがいます。それにフロアでも試奏をしている人がいました。あれ、テレビで見たことがあるような紳士でした。もしかしてプロの奏者の方?

 つまり三組のお客さんたちがフルート選定中。私たちは四組目というわけで、場所がないので、少し離れたクラリネット?用の試奏室に通されました。離れた防音の試奏室の中にまで、フロアの紳士のフルートの音がビンビンと聴こえてます。フルートって、あんなに大きな音がするんだねと妻と確認しました。ブラバンのトランペット並の音量だねえ…ま、あの人が特別なのかもしれないけれど。

 程無くして、店員BさんがD社のお姉さんフルートを二本持ってやってきました。リング式なのに穴は三つしか塞いでくれませんでした。実は事前に、こちらが初心者であることを伝え、リングの穴をきちんと塞いだもので試奏をしたいと伝えてあったのですが「穴を塞ぐとピッチが狂ってしまうので」と言って、半分だけしか塞いでくれませんでした。店員Aさん(散々お世話になった方)は黙っていてもリングの穴は全部塞いで持ってきてくれたのですが…店員さんが変わると色々と変わるみたいです。それとも、このクラスの笛を試奏するなら、リング式の穴塞げなどと甘っちょろいこと言ってるんじゃないわよって感じですか?(まさかね)

 「これだけリングを塞いでおけば、困ることはないと思います。しばらくこの二本を吹いてみて、気に入った方を選んでください」と言われたので、さっそく、またまた試奏です。

 たしかにリングの穴なんて、三つも塞げば十分みたいです。支障ありませんでした。

 まずフルートをよくよく見比べます。二つともピッカピッカです。後で聞いた話では、私が来る前に二本ともきちんと調整をして、ピカピカに笛を磨いておいてくれたのだそうです。ありがたい話です。

 胴部管の首のところに製造番号が、キイの間に製品番号が見えます。それによると、この二本の笛は同じ製品番号(当然)で製造番号が100番以上違います。100番違うと、製造期間でどれくらいの開きがあるんでしょうね? ちなみに(当たり前ですが)見た感じはそっくりでした。

 吹き比べてみました。同じ会社の同じ製品ですから、基本的に音は同じ。特に中音部分は全く同じと言ってもいいでしょう。例によって、笛に息を入れるたびに、身がよじれてしまいます。でも、ちょっと吹き続けていると、しんどい。

 さらに吹き続けていくと、低音と高音の印象が少しばかり違うに気づく。同じ製品でも、作られた時期が違うと、やっぱり違うんだ。もしかすると製作者も違うかもしれない。この当たりがハンドメイドのハンドメイドたる由縁だな。

 音の印象が違うこともさることながら、吹きごこちは、かなり違いました。息を音にする反応性や、笛が鳴り出すために必要な息の量、などは、気のせいかもしれないけれど、二本でだいぶ違った印象があります。あと、手に持った感じもどっか違います。微妙に重さも違う様な…(まさかね?)。吹きやすさというか、吹きづらさも、何か違いますね。見た目はそっくりだし、中身も基本的にはそっくりだけど、やっぱりどこか違います、この二本。

 私がどこか変えている? と思って何度も取っかえ引っかえにして吹いてみましたが、やはり違います。確実に個体差というものがありました。この個体差ってやつは、決してあなどれませんな。ハンドメイドの笛って、まさに“一品もの”って感じです。

 ちなみに管厚(?)は明らかに違いました。ちょっとしたイタヅラ心で足部管を取り替えてみたらどうなるだろうか? 頭部管を取り替えてみたらどうだろうか? とやってみたところ、片方は全くハマらず、片方はユルユルですぐに抜け落ちてしまいます。目で見た感じでも、何か笛の厚さが違うような同じような、微妙な感じでした。D社は管厚を選べない(つまり全部同じ)メーカーだったはずだけど? だとすると、同じ会社の同じ製品なのに、部品を共有化できないということになりますね…それって、工業製品にあるまじきことだね(笑)。

 30分ばかりピーヒャラピーヒャラ吹いた結果、トータルの印象で製造番号の数字が大きいに決めました。店員Bさんは「新しい方ですね」と言ってました。やっぱり新しいんだ、こっちの笛。

 さっそく購入手続きです。フルート売場のカウンターに移動です。

 この購入手続きをしている時に、使っていたフルート用の試奏室がガバっと開いて「決まりました~!」という声と一緒に、店員さんとお客さんが出てきました。どうやら、さっきから「アルルの女」が何となく聴こえていたのですが、それを吹いていたのは、そこから出てきた、息子君と年の変わらない小学生の女の子だったみたい。お母さんと若い先生を連れてのお買い物だったようです。カウンターは私が使用していたため、別の楽器売場のカウンターに移動してました。

 あの年で、もうあれだけマジメにフルートやっているんだなあ…。オジサンよりもずっとずっと上手だよ。今時の子どもってすごいなあ。プロ奏者を目指しているのかな? がんばれよ…。でも購入を決めたフルートは銀色の笛だね。オジサン、ちょっと安心したよ。小学生で金色の笛買ったら、オジサン、うらやましくて身悶えしちゃうところだからね。

 でも、あんな女の子が大人を二人も連れて、高価な楽器のお買い物だよ、我が国日本って、本当に平和で豊かな国なんだな。この時代のこの国に生まれた事に感謝だね。

 購入手続き完了後は、メンテの話や楽器のお手入れの話をしてもらいました。メンテは、予約制なので、まず予約を入れてからお店まで持って来ること。基本的に日帰りメンテになるそうです。最初の三カ月~半年でまず調整。次は一年後で、ここまで無料。そこから先は有料だけど、年一回程度のメンテが理想的。そしてだいたい4~5年でオーバーホールだって。オーバーホールの時は一カ月程度の入院になるそうです。ってことは、オーバーホールの時は手元にフルートがなくなるわけだから、そこで次の笛を買い足すことになるのかな?

 お手入れの話は、日頃疑問に思っていることも含めて、色々聞きました。私、結構、間違ったことをしていたみたい。きちんと聞いてみてよかったよ。

 お店を後にしたら、後は一目散に家に帰りました。もちろん、フルートを吹くためです。もう、一刻も早く新しいフルートを吹きたくてたまりません。さすがに電車の中で吹くわけには…いかないよね。

 家に帰って、口をすすいで、手を洗って、さっそくフルートを吹いてみました。

 腰がしびれました。な~んて良い音を出すんだ、君は! 無我夢中で音色を味わいながら、でたらめに吹き続けました。気がつけば、リングの穴を部材で塞ぐのを忘れていました。なんだ、リングの穴を塞がなくても、何の問題もなく、フルートが吹けてるじゃん。店員Bさんも「リングの穴はできるだけ塞がないでくださいね。もし塞いでも、できるだけ早く開けてくださいね」って言ってたことだし、最初から穴は塞がずに使うことにしましょう。

 それにしてもインライン式って、操作しやすいなあ…。不思議と手に馴染むよ。チャイナ娘が何となく使いづらかったのはオフセットで、指が余っていたからだったんだと気づきました。今度の笛の方が、私の手にピッタリ来る感じです。もっとも、他社のインラインリング式の笛ではてこずった私だから、偶然だけど、この笛が私の手のひらサイズの笛だったんだと思う。

 それにしても、ああ、ついにフルート買っちゃったよ。どうしよう、うれしくて仕方がない。ドキドキが止まりませんってばサ。

 記事も長くなってきたので、新しいフルートの紹介は…また明日にします。

2008年8月25日 (月)

フルートの試奏の感想を笛先生に話してみました

 意を決して、ミッションをコンプリートしてきたこと、意外にもたくさんのフルートの試奏をしたことを笛先生に話しました。「気に入ったフルートはありましたか?」とストレートに尋ねられたので、私も直球返しで「実は一本気に入ったのがありました」と言って、そのメーカーさんのカタログをおもむろに広げて「これです」と指さしました。

 先生はカタログを丹念に見た後「いくらですか?」と尋ねられました。「〇割引きで〇〇円という見積もりをもらいました」と答えて、メーカーさんに聞いた×××で▼△▼な話をしたところ、「それはすぐに買いですね、もちろん取り置きしてもらっているでしょう?」と尋ねられたので「はい、取ってもらってます」と答えました。

 気に入ったフルートがあったら、買うつもりがなくても、とりあえず「お取り置き」がこの世界の常識なんだそうです。ああ良いなあと思って、翌日お店に行ったら、もうその笛がなくなっていたなんて事は、よくあることなんだそうです。だから、気になったら、とりあえずキープなんですって。

 「気に入ったフルートが見つかって、それが安く手に入るならチャンスです。すぐに買った方がいいですよ」と言われました。

 よっしゃー! それにしても今回のお店の[大展示即売会の]割引率はかなりなものだそうです。笛先生も知り合いのお店の割引率をもっているのだそうですが、先生の割引率よりも今回の割引率の方が高いのだそうです。「フルートって、なかなか割り引いてもらえない楽器だし、良い楽器ほど値引きが少ないから、こんなチャンスは滅多にないわよ。ましてや×××で▼△▼なんでしょ。すぐに買った方がいいわ」だそうです。

 よーし、よーし、ゴーサインが出たぞ。

 さらに詳しく話をすると、先生からいくつかの注文が出てきました。

 1)Eメカ付きのフルートは買わないでください。Eが出てもFisが出せなければ同じことなので、Eメカは要りません。その分のお金は他にまわしてください。

 2)インラインのリングキイにしましょう。まだフルートを始めたばかりだし、手も大きいので、十分インラインのリングキイに対応できるはずです。

 3)H管である必要はありません。現実的な問題として、H管はまず使いません。どうしても必要になったら、その時にH管の足部管を買い足すか、H管のフルートを買い足せば済むので、今はC管のフルートを買いましょう。

 4)取り置きしてもらったフルートではなく、もう一つ上のランクのフルート(つまり銀の含有率の高い方の笛)にしましょう。現在、楽に吹けるものよりも、ちょっと吹くのがキビシイくらいのフルートの方が、将来的には良いと思います。それに、本当は上のランクのフルートの方が気に入っているなら、何としても、そっちを買うべきです。フルートって、そう何本も買い換えるものではないので、お金は何とか工面しても、本当に気に入ったものだけを買ってください。

 ラジャー。

 店員さんにせよ、選定プロにせよ、今の私の状態を見て、色々とアドバイスをくださったのだけれど、そこは先生。今の私ではなく、これから先の事までも考えてアドバイスをくださる。本当に先生って、ありがたい存在です。感謝。

 買いに行く前に、お店に電話して、現物があるかどうか、確認しておくといいですよとアドバイスをいただいたので、さっそく電話をしてみました。

 電話をしたところ、散々お世話をしてくれた店員さんは夏休みで、別の店員さん(この人を店員Bさんと呼びましょう)が対応してくれて、すぐに在庫品を確認してくれたところ、銀の含有率の高い方の笛は二本あるそうです。もちろん、予約の変更はあっさりOKで、とりあえず一本を『予約』にしてくれました。さすがは都会の楽器店。ハンドメイドのフルートもそれぞれの機種タイプごとに複数在庫があるんですね。地元の楽器店では考えられません(だいたいカタログ販売のみ)。割引率も以前のもので計算してくれました。あとは、引き取り当日、二本ある同じフルートの中から、しっくりくる方を選んで持って帰ればいいんだ。

 ああ、ついに私は、本当にフルートを、日本製のフルートを、総銀のフルートを買ってしまうんだ。なんか不思議な感じです。今年のお正月頃は、まさか夏になったら自分がフルートを買いに行くなんて、夢にも思っていなかったよ。展開が速すぎる~。ああ、不思議不思議。何かの運命を感じます。

 最後に蛇足ですが、今回のレッスンでアルテの第3課が終了しました。次回は第4課です。実は30分のレッスン時間のうち、最初の20分を笛の買換えの話をしていたので、実際のレッスンの時間は10分+α(お盆なので、他の生徒さんはお休みだったので、ちょびっと延長)でした。第3課を通しでチェックされ、3点ばかり注意を受けました。何だかんだと言いつつも、今のところアルテがサクサク進んでうれしい。当初予定では、3~5年くらいかけるつもりだったアルテ第1巻ですが、もう少し早く終わるかな?

 あ、次のレッスンの時は、新しいフルートだよ。うううう、わくわく。

2008年8月20日 (水)

フルートの試奏をしてきました その5

 前回の記事はこちらです。

 はてさて、3時間に渡り、20本のフルートを、店員さん&選定プロも巻き込んで、2本まで絞り込みました。C社の総銀とD社の総銀。残った2本は、どちらを選んでも後悔しないほど、気に入りました。メーカーが違うので、音の傾向は違うものの、どちらも私好みの深い系の音色だし、吹きやすいし、いい感じ。あえて言えば「技の1号」か「力の2号」か! …間違えました。「吹きごこちのC社」か「音色のD社か」って感じです。

 さて私が最後に選んだのは…D社のフルート。お値段はほぼアップライトピアノ1台分です。たっけえー! たかが笛が、あの大きなピアノと同じ程度の値段よ、これが高くないなら、何が高いというのよ!

 決め手は…やっぱり美しい音色。C社のフルートもきれいな音なんだけれど、D社のフルートの音の美しさときたら格別。おそらくD社のめざすフルートの音と私が美しいと感じるフルートの音のイメージがドンピシャなんだと思います。

 この笛、特に私が吹くと、本当に美しい音を出します。だって、店員さんも選定プロさんも、この笛を私が吹くと目を見合わせるもの。実に美しいんです。自分でも分かるくらい違います。よっぽど私とこの笛の組み合わせが良いのだと思います。

 ま、何に美しさを感じるかは、人それぞれの主観なので、この記事を鵜呑みにされても困りますが、でも美しいと心底思ったのですよ、私は。

 私は笛は初心者ですが、オジサンですし、クラオタ歴は長い人です。歌も歌います。どんな笛の音が美しくて、どんな笛の音が好きなのかは、分かるつもりです。だから、自分の笛のチョイスに間違いはないと確信してます。

 ちなみに選定プロさんは、D社のフルートよりもB社のフルートの方を吹いた時の方がいい音を出してました。軽やかなのに深みのある、ふわっとした音です。私はB社のフルートからは、そんなきれいな音は引き出せません。これは演奏者と笛との、ずばり、相性問題なんだそうです。相性? 非科学的だけど、世の中って、案外、そんなものかもしれない(笑)。店員さんもB社のフルートとの相性が良さそうな感じです。

 B社のフルートがきちんと吹けない私が未熟なだけだって…。ま、そうかもしれないですが…まあ、いいじゃないですか(笑)。

 ちなみにこのD社の総銀フルートは、選定プロがおっしゃるには、女性や初心者には向いていないフルートなんだそうです(理由は聞きそびれました)。それを初心者である私が吹くとよく鳴るのは、本当に「私と笛の相性が良い」としか言えないのだそうです。「このフルートなら、オーケストラでも使えますよ」とは、おそらくリップサービスでしょう。笛がオケ対応でも、私の腕がねえ…。でも、そう言ってもらえると、うれしくなりますね。

 選定プロは今回「相性」という言葉をよく使っていました。「合う」とか「合わない」とかも言ってましたね。私もブログの記事の中で多用していたと思います。

 結局「高い笛が良い笛」なのではなく、「相性が合う笛が良い笛」なんだそうです。世間的に安物と思われる笛でも相性バッチリで音色がお好みなら、その人にとってその安物が良い笛だし、プラチナフルートとしか相性が合わなかったり、プラチナフルートの音色にゾッコンなら、プラチナフルートを買うか、フルートやめるかしかないわけです。そこが笛選びのおもしろいところであり、難しいところでしょうね。

 私もゴールドの音色が好みでなくてよかったと胸をなでおろしています。ゴールドフルートの吹きごこちは最高です。でも音色は私の趣味ではありませんでした。もし、ゴールドの音色が私の趣味だったら…ゴールドフルートを買うか、フルートやめるか、だよ。マジで、そりゃ大変だよな。

 で、D社の総銀フルート。これを買ったかと尋ねられると…買ってません。でも予約しました。

 だって、笛先生が「買っちゃダメ」って言ってるからね。買っちゃダメって言われているのに、買うわけには、いかないよね。

 予約はしました。と言うのも、色々とメーカーさんや店員さんに、ブログに書けない情報も教えてもらったのですが、その中に×××で▼△▼な話があって、今のうちに予約しておかないと、お値段が◎◎万円近く違ってしまう(安いフルートが何本も買えるぞ)という情報があったので、ひとまず予約。価格据え置き&サービス品キープ&値引き率確保ってところです。

 それにしても、惚れました。D社の総銀。お財布的には、ちょーキビシイのですが、とても気に入りました。この記事を読んでいると、まるで消去法的に選んだようですが、実はそうでもなく、最初の吹き比べの時から、とても気になっていました。で、色々と条件をしぼってフルイにかけたら、ここのウチの姉妹が残り、お姉さんに気持ちは多少残るものの、現在の私との相性とお財布の都合を優先して、妹さんの方にお願いしました…という感じです。

 人と楽器の出会いも、男女の出会いと同じで、理屈じゃない部分がありますからね。

 さて、それでは、この話を笛先生にしないとね。どんな反応をするでしょうか? D社の総銀を買ってもいいですよとおっしゃってくれるでしょうか? それとも、あっと驚く展開が待っているのでしょうか? 乞う、ご期待。

 続きは来週!

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