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2019年3月11日 (月)

音程は合っているのに音痴に聞こえる歌声

 音痴という言葉があります。「音が分からない」という意味で、音楽に関わる人間としては、ほぼほぼ“チャブ台返し”に近い絶望的な感じのする言葉です。手の施しようがない感じ…と言っても過言ではないでしょう。

 一般的には音痴は音程関係に使われる言葉です。音程が不明瞭であったり、音程が間違っていたり狂っていたりすると「音痴」と言われます。

 ですから、音程が合ってさえいえば、それは音痴ではないはずですが、世の中には、音程が合っていても音痴扱いされる人がいます。

 例えば、某ジャニーズ事務所の某歌手の方は、確かに若い時の音程のハズし方は、それはそれは見事なモノでしたが、ベテランになるにつれ、音程の暴れ方はおとなしくなり、ちょっと前だとほぼほぼ音程に関しては許容範囲に収まるようになってきました(最近はアレコレあったせいでしょうか、全く歌わなくなりました…ね)。

 つまり、彼が歌う歌は、音程としてはだいたい合っているのです。でも、歌を聞けば、やっぱりハズレているように感じるし、正直、音痴な歌声にしか聞こえません。

 なぜ、個々の音程は合っているのに、歌は音痴に聞こえるのか? 彼のようなケースの場合、歌を歌声でなく、話し声で歌っているために音痴に聞こえる…と考えた時期もありますが、歌を話し声で歌う歌手は、ポピュラー系の歌手には少なからずいますが、それらの歌手の歌は、別に音痴には聞こえません。

 なぜ、彼の歌ばかりが、音程が合っているのに音痴に聞こえるのか…。

 考えました。考えた結果、一つの結論に達しました。それは、歌が音痴でなくても、声が音痴なのではないか…です。

 どういう事かと言うと、彼の声はかなりハスキーです。ハスキーなだけならば別に音痴ではありません。ただ、彼の声はハスキーはハスキーでもかなり個性のあるハスキー声で、彼独自の声のにごり方をしているのです。それは本来、ポピュラー歌手としては武器になりうるものです。でも、彼の場合は、それが運悪く、逆方向に働きかけて、結果として、何を歌っても音痴に聞こえてしまうのではないかしらというのが、現時点での私の結論です。

 人の声って、基音といくつかの倍音が同時に鳴って、複数の音程の音がからみあって、声色を作っています。きれいな声というのは、それらの倍音が美しくハモるように鳴っている声であって、ハスキーな声というのは、それらの音が不協和音の関係になり、それがノイジーに聞こえるわけなのです。つまり、ハスキーな声というのは、声の中に不協和音の響きを持っているわけです。これがいい味になって、ハスキーな声は好まれるのですが、それが行き過ぎて、不協和音だらけの声になってしまうと、聞いていて不快に感じるのです。その不快な感じを“音痴”というふうに判断されてしまう…と私は思いました。

 つまり、歌そのものは音痴でもなんでもないのだけれど、声があまりに濁り過ぎて歪み過ぎていて、それでちょっとした不快感を感じ、その不快な感じをうまく言い表せる言葉がないので、ついつい慣れ親しんだ“音痴”という言葉を使って表現してしまっているのだと…。

 だから、彼の場合、もう少し声色に気を使って、不協和音成分を減らすならば、歌は今以上に上手に聞こえるようになるんだろうと思います。

 もっとも、彼の場合、音痴はもはや持ち芸だから、なまじ歌が中途半端にうまくなるよりも、下手くそなまま突っ走ったほうがいいんだろうから、きっと音痴を治さずにいくんだろうなあ…って思いました。

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発声法のエッセイ」カテゴリの記事

コメント

ポップスはあまり積極的に聴かないのでここ数年で彼の歌を聴いた回数はおそらく片手で余る程度ですが、音痴に聴こえなかったと記憶しています。最近の曲で(最近といってももちろん解散前ですが)比較的長いフレーズをソロで歌っているのを聴いた時は、かつての音痴キャラを今後も通すのはいい意味でもう無理だろうなと思いました。
もっとも某番組終了後の彼の歌は聴いていないので、トレーニングをサボっているようであればかつてのレベルに逆戻りしている可能性はありますが。。。
余談になりますが、個人的には小室ファミリーの一部の方々の音程の方が気になる事が多いです(汗。

オデさん

 そう、ちょっと前の彼の歌は、結構いい感じになっていて、ちゃんと聞くと、とても音痴ってレベルではない事に気づきます。いい意味で残念です。

 小室ファミリーの方々は、無理な発声を強いられているというイメージがあります。歌手に合わせて曲が書かれているのではなく、与えられた曲をむりやり歌わされている…って感じがするんですよね。確かに曲そのものはキャッチーでカッコいいのですが、歌そのものは聞き苦しい感じしますが…それも含めての小室サウンドだったんだと思います。

 苦しい歌唱が、切なさを感じさせる…ってわけっすね。

 私は当時から「小室って、歌手殺しだな…」と思ってました。

私もどうして自分の歌は音痴に聞こえるのだろうと思って、チューナーで測ってみました。ところが、ズレているということはありませんでした。
発声に問題があるのかな、と思ったりもしましたが、自分の先生は「アナタは良い声なんだから自信を持ちなさい」とか言うので、解決できないな・・・と思いました。

そして、解決する方法を自分なりに考えました。それは「音痴に聞こえない選曲をすること」。
単に初心者向けの曲を選べば良いというだけではなく、誰も知らない無調・不協和音だらけの現代音楽とかやってみる。
有名な曲だったら「ハズしたな」と思われるけど、こういう曲なら誰も気づきません(笑)

ドロシーさん

>私もどうして自分の歌は音痴に聞こえるのだろうと思って、チューナーで測ってみました。

 これって、発声の問題の可能性もあるけれど、聞こえの問題もあるかもしれませんよ?

 人って、自分の声を他人が聞くようには聞けないんですよ。

 自分の声を他人が聞く場合は、その声は空気振動による声だけで聞くんです。でも、自分の声は空気振動+骨伝導の声で聞くんです。この骨伝導で聞こえる声ってのが、厄介なんですね。空気振動の声とは、音色も違えば音程も違うんです。で、この両者がミックスされた声が自分の声として認知されるのです。

 つまり、他人が聞いている私の声と、私が聞いている私の声は、全くの別物なんですね。

 ですから、実際は音痴でなくても、美しい声であっても、自分の声が音痴に聞こえたり、変な声に聞こえたりするというのは、ある意味、とても正しい認識なんです。

 逆に、自分に聞こえる声が、音程バッチリだったり、美しかったりしても、他人が聞くと、音程が甘かったり、変な響きの声だったもするわけです。

 私などは、なるべく自分の骨伝導の声を聞かないようにしています。聴覚に意図的にフィルターを掛けてしまうのですが、それができるようになってから、音程がより正しくなりました。つまり、以前は、どれだけ骨伝導の自分の声を聞いていたんだよって話なんです。お恥ずかしい。

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