お知らせ

  •  こちらのブログは2019年8月14日に終了しました。現在は引っ越しをし、こちらで活動しています。ブックマーク等の変更をお願いします。また、こちらのブログにコメントをされてもお返事しかねますので、コメントは新しい現在のブログにしていただきますように、お願いします。

« いくら高い音でも中音として歌いなさい | トップページ | ベーレンライターは一癖ある »

2018年12月13日 (木)

国内版楽譜が絶版でビックリしました

 さて声楽のレッスンの続きの続きと言うか、今やっているベッリーニの歌曲が終わったら、次に何を歌いましょうかという話です。発表会の後にY先生とテノールのA先生と私の三人で相談をして、次はドイツリート。それも大作をやっていきましょう、とまでは決まりました。では手始めに何を歌いましょうかって話になって、そこで候補に上がったのが、シューベルトの連作歌曲集「美しき水車小屋の娘」です。

 皆さん、知ってますか? 「美しき水車小屋の娘」という連作歌曲集を。

 ドイツ系のテノールさんには必須レパートリーの歌曲集で、逆に言うと、ドイツ系のテノールさん以外は、あまり歌いません。20世紀後半ならば、ドイツ系のリートは、バリトンさんの独壇場で、その頃のバリトンさんならば、この歌曲集を歌っていました(フィッシャー=ディースカウも歌ってますよ)が、最近のドイツリート界では、ドイツリートもなるべく作曲家が書いた原調で歌う風潮となり、この曲に限らず、多くのドイツリートがテノールやソプラノさんたちに歌われるようになりました。特にこの曲は、歌の主人公が若々しい青年である事もあって、まずテノールさんが独占して歌う感じなのです。

 テノールさんばかりが歌う…ってか、バリトンさんが歌わないと(たぶん)楽譜は売れません。だって、テノールさんは、そもそも数が少ない上に、あまり歌曲を歌わないのですよ。彼らは自分の高音をみせびらかせるオペラアリアをレパートリーのメインに据えがちです。ドイツリートを歌うにしても、以前ならともかく昨今は、連作歌曲集なら、シューベルトの「冬の旅」が歌われがちです。だって有名だもの。実際、プロのコンサートでも、リートのコンサートってなると、まず「冬の旅」です。ほんと「冬の旅」ばかりです。その他の歌曲集って、たまにシューマンの「詩人の恋」のコンサートがあるぐらいかな? それ以外となると“シューベルトの夕べ”とか題して、単発の有名な歌曲を並べたプログラムになりがちで、コンサートで「美しき水車小屋の娘」が歌われることって、少なくとも私は知りません。

 昔々は、テノールは「美しき水車小屋の娘」を、バリトンさんは「冬の旅」を歌うという棲み分けがあったようですが、昨今はテノールさんもガンガン「冬の旅」を歌うようになったので、その結果「美しき水車小屋の娘」は歌われなくなったのかもしれません。

 それが原因なのでしょうが、国内楽譜出版社が出していた「美しき水車小屋の娘」の楽譜が、随分前に絶版になっていました。いやあ、ビックリです。こんな有名な歌曲集なのに、国内で出版されていないなんて…!

 そう言えば、数年前に、ヘンデルの「メサイア」も国内では絶版になってしまったのですよね。あの“赤いメサイア”が入手できないなんて…当時は、本当にビックリしたんです。

 ちなみに国内の出版社からは、独唱版ではなく合唱版の「美しき水車小屋の娘」が出版されています。それも、混声版と男声版の二種類も! オリジナルの独唱版は絶版になり、合唱版が販売されている…ってのも、日本の音楽界の現実って奴が反映しているなあって思っちゃいました。日本では、なんでもかんでも合唱や吹奏楽にアレンジしちゃうんだよなあ、で、楽譜もそこそこ売れちゃう…。それが悪いとは全然思わないけれど「なんかなー」って思います。

 ちなみに合唱版の「美しき水車小屋の娘」って、こんな感じです。純粋に邦楽系合唱曲として聞いてみたなら、意外に良さげだったりします。

 さて、国内版の楽譜が無いと、どうしても輸入譜を使わざるを得ません。印刷が見づらいけれど廉価なペータースか、印刷は見やすいけれど高価なベーレンライターかという選択肢ですね。あるいは、極端に印刷が見づらいけれど無料でネットに転がっているフリースコア系の楽譜か(シューベルトの著作権は切れているので、別にフリーのものでも問題ないと言えば問題ないです)。

 でも、どちらにせよ、輸入譜となると、日本語訳がありません。ドイツリートは言葉が命だともいうし、日本語訳とか解説がないと厳しいのは本音です。まあ、訳文も語釈もネットで漁れば済むわけだけれど、なるべく手間はかけたくないのが本音だし、日本の楽譜は安くて見やすいので、輸入譜よりはなるべく日本の楽譜を入手したいのが本音です。

 で、とりあえず私的には、かつて音楽之友社から出ていた大音楽全集に頼る事にしました。困った時の大音楽全集です。この楽譜集は、比較的きれいな新古品や中古品が安価で市場に出回っているので、たまに購入しているのです。「美しき水車小屋の娘」はシューベルト歌曲集の第1巻に入っていました。「美しき水車小屋」と「冬の旅」と「白鳥の歌」が一冊にまとまっている便利な本です。ちなみに、すべて(全集ものですから当然)原調版です。シューベルトの場合、原調版=高声版なので、テノールな私には都合がいいとは言えます。

 ただ、この楽譜集、外国語の歌だと、原語詩の下にカタカナで読み方がふってあるのです。これが結構、目障りだったりします。私の場合、日本語はもちろんだけれど、英語、イタリア語、ドイツ語、ラテン語は、普通に読めますので、カタカナはむしろ邪魔なんだよね…。どうせ付けるなら、歌える日本語訳詩(松本隆訳なら最高!)を付けてくれたら、それはそれで面白いと思うんだけれどなあ…。

 で、原調の「美しき水車小屋の娘」の場合、高声用と言っても、全般的な音域はさほど高くありません。ただし、第7曲目の「苛立ち/Ungeduld」で、高いAが出る事。その他の曲でも、数回高いG♯が出てきます。歌曲を学ぶのに、これくらいの音程の音が出てくるのは、教えるY先生の目的的にはどうなんでしょうね? 曲中に高い音があると、私はその音ばかりに集中してしまって、歌として学びづらくなると思っているようです(ま、確かにそういう事はあります…)。Y先生としては、一応、中声版でも検討してくるそうなので、実際には、原調版で歌うのか、中声版で歌うのかは、まだ決定ではありません。中声版で歌うことになったら、仕方がないので、ベーレンライター版でも購入するかな。

 どちらにせよ、2019年はシューベルトの「美しき水車小屋の娘」にどっぷりハマりそうです。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村 音楽ブログ 大人の音楽活動へ
にほんブログ村

« いくら高い音でも中音として歌いなさい | トップページ | ベーレンライターは一癖ある »

コメント

「美しき水車小屋の娘」、懐かしいです。
以前テノールのイアン・ボストリッジが内田光子の伴奏で歌っていたのをYouTubeの映像でよく聴いていました。
BSで放送されたものらしく、字幕付きでとてもわかりやすかったです。

えー!「美しき水車小屋の娘」絶版なんですか。知りませんでした。
若いころフィッシャー・ディースカウのレコードが人気で、私も楽譜を買い込んで歌ったことを思い出しました。
今でもあるかな?と早速調べたら、黄色い表紙の全音出版のがありました。「水車屋の娘」と「冬の旅」それとシュ-マンの「詩人の恋」ちゃんと3冊そろってました。
うーん、「水車屋」の楽譜が国内では出版されて無いなんて、日本の文化度も低いですね。多少売れ行きが悪くても、「水車屋」のような曲は、出版する責任が楽譜の出版屋さんにはあると思いますけどね。

けい子さん

 ボストリッジと内田光子の水車小屋が動画になっているのですか? それは知らなかった…確かにYouTubeにありました…が、残念ながらDVDでは発売されていないようです。まあ、YouTubeで見ればいいという話はありますが、私は古い人間なので、そういう映像はなるべくならテレビで見たい人なのです(わがまま)。ちなみに、ボストリッジの「冬の旅」はDVDになっているので、持ってますし見ています(笑)。

 YouTubeの動画は、画質は今一つですが、確かに和訳も付いていて、とても勉強になります。折りに触れ見てみます(まとめてみるには時間がない:汗)。貴重な情報、ありがとうございました。

カントさん

 全音の水車小屋は濃い目の青色の表紙です。黄色い表紙はドイツのベーレンライターです。ちなみに、若草色の表紙はペータースね。ちなみに、全音版の水車小屋は、中古が若干流通しているようですが、新品はほぼ無いものと思われます。

 それにしても水車小屋の楽譜の国内版が無いというのは、驚きですが、それだけ出版不況なのだろうと思います。今の時代、昔と違って、輸入楽譜がごく簡単に入手可能ですし、フリーの楽譜も出回っています。ただでさえ、売れない楽譜が、輸入楽譜を買われたり、フリーの楽譜で済まされてしまったら、そりゃあ出版社的には絶版にせざるを得ないです。

 で、ますます国内楽譜出版社は、吹奏楽と合唱の楽譜に力を入れる…となります。なにしろ、この二種類の音楽には、邦人作曲家/編曲家の楽譜が好まれていますし、それらの輸入楽譜なんて、まあ無いですし、団体購入ですから、それなりに数も出ますし…ね。

私が全音の楽譜を買ったのは、もう50年も前の話です。(笑)
その頃は全音の楽譜は、皆、黄色の表紙だったんですよ。

輸入楽譜はなかなか手に入らなくて、私が歌いたいイタリアオペラのアリアやカンツオーネの楽譜は、ピースでしかなくて、大阪駅近くの笹屋書店が一番揃ってたと思います。
出張の際、新幹線に乗り換えのため途中下車し、笹屋まで走って買い求めたものです。
当時買い集めた楽譜は、私の青春の思い出であり宝物です。

カントさん

 昔の全音は黄色い表紙…納得です。

>輸入楽譜はなかなか手に入らなくて、

 たぶん、ここがポイントなんだと思います。昔は輸入の楽譜は入手困難で、だからこそ、国内版の楽譜が商売になったのだと思います。今は輸入楽譜もインターネットでラクラク入手できるし、下手すると、国内版よりも安価だったりするわけです。そうなると、楽譜で商売するのも楽じゃないです。たとえ有名な楽曲であっても、売れなきゃ、ただの在庫です、負債です。絶版にするしかないのです。

 なんか残念だけれど、それも仕方のない話なんでしょうね。

こんばんは。

> テノールという人種はプライドが高いのか?
> バカだから

こちらはフルートはたまたま幼少期に触れて当時のFM放送で刷り込まれて今に至ります。
「テノールバカみたいに吹け」という怪しい(?)レッスンもありました。
素っ裸にならないと何も表現できない楽器ではあります。

別スレですが、
> 昔々は、テノールは「美しき水車小屋の娘」

こちらはディスカウ(生で聴いたことありません)のイメージしかありません。
最近アングロサクソン系のテノールの方のリサイタルを聴いたことがありますが刷り込みがキョーレツすぎて全然違う曲に聴こえてしまいました。
刷り込みは恐ろしいです。

失礼しました。

tetsuさん

>「テノールバカみたいに吹け」という怪しい(?)レッスンもありました。

 ふふっ、“テノールバカ”という言葉、音楽基礎用語なのかしら?

 tetsuさんに限らず「ドイツ系歌曲はディスカウに限る」という、日本のクラヲタは実にたくさんいます。中にはティスカウでしか聞いたことはない…って人も大勢いると思います。でまた、ディスカウがなんでも歌っちゃうし、そのレコードもバンバン売れていたからねえ…。

 私が思うに、ディスカウの歌唱はキレイすぎるかなって思います。ツルツルで滑らかなのね。歌って、もう少し、あっちこっち引っかかってもいいかなって思ったりします。

>アングロサクソン系のテノールの方

 たぶん、ボストリッジの事を指していると思います。若い世代には、今や「歌曲を聞くならボストリッジ」と言う人もたくさんいます。昨今の人気リート歌手です。

 私が思うに、ボストリッジの歌唱は、ディスカウとは真逆で、あれこれ引っかかりすぎかなって思います。もう少し、美しさって奴を求めてバチは当たらないと思うんだよね。

> たぶん、ボストリッジ

ではなくてマーク・パドモア、ティル・フェルナーです。
でもパドモアとyoutubeで聴いたボストリッジの違いもこちらはわかりません。
テノールというとペーター・シュライアーのエヴァンゲリストあたりです。

tetsuさん

 バドモアの方でしたか。結構、マニアックな方をご存知で…。

>でもパドモアとyoutubeで聴いたボストリッジの違いもこちらはわかりません。

 発声法から声の強さ、歌の表現まで、結構違いますよ。勉強になるのはボストリッジかもしれないけれど、楽しみで聞くならバドモアかなって思います。YouTubeも良いけれど、CDを買おうかな。

>テノールというとペーター・シュライアーのエヴァンゲリストあたりです。

 私も、ドイツ系テノールと言うと、一番先に思いつくのがペーター・シュライアーです。


コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« いくら高い音でも中音として歌いなさい | トップページ | ベーレンライターは一癖ある »

フォト
無料ブログはココログ