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2016年7月23日 (土)

発表会の話 その1

 最後の音合せが、発表会の前々日にあり、その翌日、つまり発表会の前日は休息日にあてられていました。キング門下の時の私は「練習こそが本番を征する」と考え、まるで学生のように、前日でもガンガン練習していたのですが、若い時ならともかく、年を取ってしまった今では、前日にガンガン練習すると、練習疲れが取れなくて、本番で失敗してしまうという事が経験的に分かってきたので、ここ数年は、発表会前日は、カラダを休め、声を出さないようにしてきました。

 でも、前々日の音合せで、あれこれ打ち合わせを、また、あれこれと新しく習ったので、それらの確認と定着をしないといけません。そこで、ほんの軽く、ほんの少しの時間だけ、歌っておく事にしました。必要最小限の歌唱ですね。

 フェデリコを歌って、ボエームの第1幕、第4幕と、本番と同じ順番で歌ってみたのですが、最初のフェデリコを歌い終えたところで、腹筋が激しく攣りました。痛い、痛い、痛い…。案の定、痛みを抑えてボエームを歌いましたが、全然ダメじゃん。休息日のはずなのに、腹筋、傷つけてどうする(笑…って笑い事じゃないか!)

 もうその後は、おとなしくしてましたよん(涙)。

 さて、当日。朝7時過ぎに家を出ました。荷物が多いので、なるべく楽をしたいと思って、家から駅まで、ほんのわずかな距離です(バスで1区間です)が、普段は乗らないバスに乗りました。駅でもエスカレーターやらエレベーターやらを率先して使用しました。いやあ、車移動の人なら、こんな苦労はしないのでしょうが、電車移動の人だと、ちょっと荷物が増えただけで、あたふたしてしまいます。

 本番会場である関内ホールに着いたのは、ほぼ9時でした。ホールが開くと同時に中に入り、準備開始です。楽屋に入って、荷解きをして、衣装の準備をし、それから舞台に行って、バミリ(舞台に置く道具の位置を決める事、あるいはそのためにテープを床に貼る事)の手伝いをし、なんだかんだと忙しくしているうちに、10時になってしまいました。ここから、ボエームのゲネプロが開始です。ゲネプロをやりながら、位置や動きを本番の舞台に合わせて直していくわけです。また、歌いながら、会場の声の響き具合を確認して、どれくらいの声量で歌うか判断して、歌の組み立てを考えます。

 第1幕はマイクの位置を決めるぐらいで簡単なのですが、第4幕はあれこれ細々とあります。まずはミミのベットですが、最初は椅子を2つ使ってベットを作り、その横にロドルフォが座る椅子を用意する予定でした。ただ、このやり方だと、足元側の椅子の背もたれが何とも邪魔くさいのと、舞台が進行しているうちに椅子がドンドン動いてしまうので、どうしようかと悩んでいました。そこで会場入りをしてから、舞台脇にあるものをあれこれ見ているうちに、ミミのベッドを、普通の椅子とピアノ椅子(背もたれのない奴)の組み合わせにするのが良いだろうという事になりました。ピアノ椅子は重いので、演技をしている時にも安定していて、椅子が動きづらいですし、長いので、ロドルフォ用の椅子を用意せずに、同じベッドにミミとロドルフォの二人が座れるし、なにより、ピアノ椅子は家具調ですから(椅子に布を掛けてベッドに見せかけるのですが)足が見えても、その足もベッドっぽいので、これは都合が良い…という事になりました。

 後は照明のテストを繰り返しながら、舞台のどこまでなら動いても良いのか、どこに行くと顔が暗くなってしまうのかとかを確認して、それぞれの人物配置を決めました。

 ボエームのゲネプロが終わると、もうヘトヘト。なんか充実感すら感じちゃって「もう今日は、これでいいや」みたいな感じになりました。まだ、本番はもちろん、ソロ曲の合わせも残っているのにね。

 ソロ曲の合わせは…あれこれ気をつけて歌いました。出来は、過去最高! いやあ、実にバッチリでした。この合わせを録音しておけば良かった…と今更悔やんでいるくらいです。先生方からは「本気の入れすぎ。しっかり休んでください」と言われました。

 昼食は…せっかくの横浜ですから、崎陽軒の『シウマイ弁当』を食べました。“シュウマイ”じゃなぐて“シウマイ”なのが愉快ですね。

 やがて、会場が開場され(笑)、お客さんが入ってきました。だいたい100名弱の客です。会場のキャパは約250人ですから、全体の約4割の入り具合です。適度にスカスカで、いい感じです。商業公演なら肝を冷やす人数ですが、私たちは商売をしているわけではありませんし、これくらいだとお客さんもいい感じで散らばって座れますし、数字ほど寂しい感じはしません。

 お客さんの入り具合を確認し、衣装に着替え、気合を入れます。

 さあ、まもなく開演です。

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