ひとこと

  •  最近、読みたいなあと思ったビジネス書とか実用書は、たいてい紙だけでしか出版されていない(涙)。なので、買えないし、読めない。それにあれだけ読んでみたいと切望していたのに、一週間もすれば、私の興味が次に移っているので、その本の事など、どーでもいい気分になっていたりします。以前は、週末ごとに書店に行って、ごっそり本を買っていたのに、昨今はそんな感じで読みたい本が電子書籍化されていないので、読めず、買えずで、読書量が落ちている私です。紙の本を買えばいいじゃんと思われるかもしれないけれど、一度電子書籍に親しんでしまうと、もう紙の本には戻れないんだよ。紙の本を販売しちゃいけないとは言わない。ただ、電子書籍版も同時に発売してくれよ~と声を大にして言いたいだけなのです。
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2016年1月18日 (月)

劇団四季のミュージカル『コーラスライン』を見てきました

 先日、当地の市民会館で催された劇団四季によるミュージカル『コーラスライン』を見てきました。

 いやあ、ほんと、出演者の皆さん、ご苦労様でした。ほんと、大変な舞台だと思います。1幕物のミュージカルで休憩時間がないのに、出演者の皆さんたち、ほとんど舞台に出ずっぱりだし、それもただ出ているだけでなく、始終踊っているわけで、よく体力が持つなあ…と妙な点を感心してしまいました。

 ミュージカルは、よく3つの要素、演技と歌と踊りで成り立っていると言います。客の立場で言えば、芝居と音楽とダンスの3つを同時に楽しむ事のできる複合芸能なわけですが、出演者には、良い俳優であり、良い歌手であり、良い舞踏家である事が求められます。

 たいていの作品は、この3つの要素が良いバランスに保たれていますが、今回の『コーラスライン』は、そうではなく、ダンスに偏ったミュージカルでした。とにかく、最初から最後まで、ずっと踊っているってイメージの作品だし、踊っているダンサーを見て感動するタイプのミュージカルなのです。

 もちろん、芝居も歌もあるけれど、正直、芝居に関して言えば、脚本と言うか、元々の物語が、ちょっとダメかなって思いました。だって、何か事件が起きるわけでもなく、ただダンサーたちが順番に自分語りをしていくという物語なんです。で、その物語が、貧乏自慢とか、ホモ差別とか、人種差別とか、ネグレクトとか…そういう暗い話なんです。「僕達マイノリティーですけれど、頑張って生きてます!」って感じの話。なので、私、物語には、全く共感できません。

 その上、そんな恵まれない人たちが目指しているのが、夢のあるポジションではなく、舞台で踊るだけの名もないバックダンサーだったりします。私、舞台とか物語とかって、本質的に夢々しいところだと思ってます。登場人物たちが、たとえ今、恵まれた生活をしていなくても、物語の中で色々な経験をして、最後は夢にたどり着き、幸せになるってのが定番でしょ。まあ、いわゆるハッピーエンドなんだけれど、この物語は、ハッピーエンドとは言えません。夢々しいどころか、闇で真っ暗なお話なんです。真っ暗なだけで、バッドエンドでもないのです。妙に不条理で現実風な味付けがしてあって、いかにも世紀末に作られた暗い話なんです。ミュージカルを見終えた時の後味が悪いんですよ。

 歌の方も、有名な“One”以外は、あまりパッとしない音楽ばかりです。その“One”だって、特に優れたキラー・チューンってわけでもなく、あの地味な音楽の中では、割とマシって程度の歌です。音楽的にはかなり寂しいミュージカルです。なので、ソングを歌い終えると、普通は拍手するものだし、一応観客の皆さん方は拍手をしていましたが、私はなんか拍手したい気分にはなれませんでした。拍手って、マナーとか、礼儀とか、お作法でするものではないと思っているので、なんかちょっと白々しい気分になりました。でも演者の皆さんは、一生懸命歌っていたわけで、白々しい気分の責任は演者ではなく、作曲家にあるって思いました。

 でも、ダンスはなかなかおもしろいです。とにかく、出演者全員が、舞台の端から端まで使って、物語の最初から最後まで踊っている…というイメージなんです。踊りを見るには、良いミュージカルです。特に群舞が多くて面白いです。ですから、この『コーラスライン』というミュージカルは、オペラよりもバレエに近いスタイルのミュージカルだと思います。

 踊りながら語り、踊りながら演技し、踊りながら歌うシーンもたくさんあります。ダンスを楽しめる人なら、かなり楽しいミュージカルと言えるでしょう。

 私の場合は…おもしろかったですよ。でも、私はダンスを楽しめるタイプの人間ではないので、正直、次はもういいかなって思いました。

 実はこのミュージカル、私、最初は映画版で知っていたんですよ。映画版『コーラスライン』って、私にはつまらない映画だったので、今回舞台版を見るにあたって、私は全然期待していなかったのです。期待はしていなかったけれど、せっかくだから見てみるか…その程度のノリでした。

 でも、舞台は映画とは全然違いました。舞台版は楽しいですよ、エンタメです。

 例えば、舞台も映画も基本的なストーリーは同じだけれど、舞台では群像劇として描かれた物語が、、映画ではキャシーを主役として、彼女に物語の焦点が合わせられます。まずはそこで好みが分かれます。私は主役を立てた事で、物語を追いかけやすくなった代わりに、薄まってしまったと思いました。

 舞台では、目の前でリアルなダンサーの肉体が踊ります。映画では、カメラ越しです。アップのシーンもロングのシーンもあるけれど、それゆえに、少しリアルから離れてしまいます。舞台では、舞台シーンしかありません(が、劇に集中できます)。映画は他の場面もたくさんあって、画面にもバラエティーがあります(が、気が散ります)。まあ、そんな感じ。

 しかし、このミュージカル。劇団四季ならではの演目だなあって思いました。ダンス中心の群像劇…これを演じられるのが劇団四季だと思います。日本の他のミュージカルカンパニーだと色々と厳しそうです。

 ほんと、返す返すも残念なのは、音楽の弱さと物語の暗さです。まあ、物語の暗さは諦めるにしても、音楽がもっともっと魅力的であったなら、本当に素晴らしいミュージカル作品になったでしょうね。だって、こういうスタイルのミュージカルって『キャッツ』も同じでしょ? どちらもストーリーは群像劇で、ダンス中心の演目でしょ。違いは、音楽の力の差。

 とは言え『コーラスライン』には“One”があります。世の中の多くのミュージカルには、ヒット曲の一つもないミュージカルも星の数ほどある事を考えると、“One”があるにも関わらず、『コーラスライン』の音楽は弱い…などと言う私は、強欲なヲタクなのかもしれませんね。

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