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2015年10月19日 (月)

なぜキング先生の元では上達できなかったのか? あるいは、なぜ以前は撃沈ばかりしていたか? その1

 まず最初に誤解の無いように書いておきますと、キング先生の指導やキング式発声法でメキメキと上達した人はいます。ですから、キング先生の指導は有効な指導です。しかし、私は上達できなかった…それはなぜ?という話です。

 私は2007年1月から2012年6月までの、約5年半の間、キング先生に師事して声楽を学んでいました。その間、全く上達しなかったとは、さすがに言えません。少なくとも、習い始めてから最初の2年間、つまりグループレッスンで学んでいた時期は、それなりに上達していたと思いますが、キング先生の個人レッスンに移行して以降の3年半は、正直、あまり上達しなかったと思います。

 それこそ、個人レッスンに移行した直後の2009年の6月の発表会が、キング先生時代の私のピークで、それ以降は横ばいか、むしろ逆に歌が下手になっていったと思います。これは大げさな話ではなく、このブログにアップした音源を順に聞いていけば、誰でも気がつく、明確な事実です。

 グループレッスンの頃、それなりに上達していたのは、おそらく、私自身がまだ真っ白な初心者で、伸びしろがたっぷりあって、先生が誰であれ、カリキュラムがなんであれ、とにかくどんなカタチであれ、練習さえすれば上達できる初心者だったからだと思います。それに、グループレッスンって、大勢の中の一人で、はっきり言って“雑に”しか面倒は見てもらえないわけで、あまりちゃんと教えてもらえなかった事が、むしろこの頃の私には良かったのかもしれません。

 グループレッスンで2年学んだ後は、キング先生の個人レッスンに移行しました。個人レッスンは、さすがにグループレッスンとは違って、それなりに細かく指導していただけたと思ってますが、その細かな指導が、今になって思えば、私の上達を阻み、声を壊し、歌を下手にしていったのだと思います。

 実は今だから言えるのですが、私、キング先生に習っていた時から、その事については、薄々気がついていました。「どうして歌が下手になっていくのだろう?」「どうして歌うのがつらく感じるんだろう?」「どうして声を出すのが、こんなに大変なんだろう?」ってね。

 ですから、発表会の音源をアップすると、時折、読者の方から「下手になっている」というご指摘をいただきました。それを読むと「やっぱりね」と思う半分、なんかすごく悔しかったんですよ。だって、私、すごく努力していたし、真面目に学んでいたし、キング先生を信じていたからです。でもその指摘が正しい事も分かっていたので、お金をドブに捨てているようなイヤな気分になったものです。

 キング先生に個人レッスンをしていただいた3年半の間、一生懸命歌を学んでいたにも関わらず、結果的は歌が下手になり、声を壊していっただけでした。

 まあ、私はそれでも、元のノドが強かったので、大事に至らず、良かったのですが、妻などは、キング先生の個人レッスンを受けた途端にノドを壊して、声の専門医の元に治療に通わざるを得なくなりました。専門医の元で、ノドの治療を続けると同時に、正しい発声方法も学び、それ以降、全くキング先生への信頼をなくした妻は、私と一緒にキング先生の元で学びながらも、キング先生の指導には従わないというやり方をしていたくらいです。(で、当時の私は、それがちょっぴり気に入らなかったわけです)

 もっとも、キング先生の元で学び続けていく事で、妻だけでなく、私も、次第にノドを痛め、声をダメにしていきました。キング先生の元を辞める頃は、だいぶ声がダメになっていて、レッスンに行く度にノドから血の香りがしていたくらいでした。おそらく、もう少し長くキング先生の元にいたら、確実にノドを壊して、声を失っていたと思います。

 ですから、声が決定的にダメになる前に、キング先生の元から離れられたのは良かった事だと思いますし、きっとこれは音楽の神様のお恵みなんだと思ってます。

 まあ、いいや、そんなこと(笑)。

 キング先生の元で学んでいた頃は、人前で歌うチャンスと言うのは、今よりもずっと少なくて、門下の発表会だけでしか歌っていませんでした。それも半年かけて1曲を学ぶという、丁寧な指導を受けていました。

 それだけ丁寧な指導を受けていたにも関わらず、発表会と言うと、必ず歌唱を失敗していました。いわゆる“撃沈”と呼ばれる、歌の聞かせどころになると、急に声に変調をきたして、変な声を出して失敗してしまうという無様なマネを毎回していました。まるで、お約束事のように、毎回毎回、撃沈していました。

 当然、キング先生からは撃沈回避のため、あれこれアドヴァイスを受けていました。毎日鼻の中を塩水で洗えと言われれば、毎日グエーとか言いながら鼻の中を洗っていましたし、キング先生考案の体操をしろと言われれば、毎日体操をしていました。実に素直に真面目に先生の指導に従って、日々切磋琢磨をしていたわけです。でも、撃沈は改善するどころか、ますますひどくなるし、だんだん声を出すこと自体がつらくなっていきました。やがて先生は、テノールである私に「すとんさんはテノールは無理だからバリトンに転向しなさい。オペラも無理だから歌曲だけを歌いなさい」というアドヴァイスをしてきました(さすがにその命令には従わなかった私ですが、今思うと、従わなくてよかったと思ってます)。

 結局、高い声…と言っても、五線の上の方のFあたりの声…を出そうとすると、必ず不安定になり、失敗することが多くなっていきました。そんな時の自覚症状としては、声を出そうとすると、ノドにフタがかかるように感じられて、急に声が出なくなるわけで、それを何度も何度も何度も何度もキング先生には伝えましたが、その件に対する指導もアドヴァイスもなく「練習の手を抜くな。一度やってできなかったからと言って諦めるのではなく、できるようになるまでやれ。考えるな。カラダで覚えろ、何とかしろ」と言われ続けました。

 結論から言えば『無理をしてでも高音を出せ。出せなきゃバリトンだ』と言われて、バリトンではない私は、正しい高音発声の方法も教えてもらえず、ただただ必死の思いで、無理やり叫ぶように高音発声をしていたので、歌えば必ず失敗し、ノドがドンドン壊れていったわけです。

 なぜ私はキング先生の元では上達できなかったのでしょうか?

 結論から言えば、キング先生の指導が私には合わなかったからです。キング先生は私を上達させようと頑張りましたが、キング先生の指導が私に合っていなかったため、私は歌が上手くなるどころか、ノドを壊し、声がダメになり、歌が下手になっていったわけです。

 なぜそうなったのか? もちろんキング門下にいた頃は気づきませんでしたし、キング門下を離れてからも、しばらくは分かりませんでした。

 気づいたのは、割と最近の事です。

 話が長くなってきたので、続きはまた明日アップします。

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