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2015年9月 8日 (火)

メト・ライブビューイングで「エンチャンテッド・アイランド 魔法の島」を見てきました

 先日、毎年恒例、お盆以降に銀座築地の東劇で行われている、メトロポリタン歌劇場ライブビューイングのアンコール上映で「エンチャンテッド・アイランド 魔法の島」を見てきました。これは、いわゆる新作オペラで、上映当時から見に行きたかったのに仕事で行けなかった奴なんです。その年のアンコール上映も日が合わず、その後は上映されなかったので、半ばあきらめていたのです。何しろDVDは日本未発売ですから、簡単に見ることができないんです。それが、今年のアンコール上映作品の中に入っていたので、頑張って見てきました。

 2011年のシーズンの上映作品で、作曲家は誰かと言うと…ヘンデルと、ヴィヴァルディと、ラモーと、その他(笑)。つまり、バロックオペラの中から、曲を選んで、それらを組み合わせて一つの作品を作ってしまいましょうっていう手法(これをパスティーシュというそうです)で作ったオペラなんです。つまり、音楽的には「バロック名曲オペラ」って感じかな? なので、音楽的には『捨て曲無し』って事ですね。

 ちなみに「どんな曲が使われているの?」と思った方がいらっしゃいましたから、曲目リストが掲載されている、こちらのページをご覧ください。ほんと、色々な曲が使われています。

 で、ストーリーの方は、シェークスピアの『テンペスト』と『真夏の夜の夢』を足して3で割って、欠けた部分に21世紀風味のオリジナルを加えて1にしました…って感じに仕上がっています。なので、ストーリーの方も、オペラのくせして、結構面白く仕上がっていました。

 曲良し、ストーリー良しの上に、演奏者もなかなか良かったです。

 シコラクス(孤島の魔女)…ジョイス・ディドナート(メゾソプラノ)
 プロスペロー(流罪の魔法使い)…デイヴィッド・ダニエル(カウンターテナー)
 ネプチューン(海神)…プラシド・ドミンゴ(テノール)
 アリエル(妖精)…ダニエル・ドゥニース(ソプラノ)
 キャリバン(魔女の息子で怪物)…ルカ・ピザローニ(バリトン)
 ミランダ(魔法使いの娘)…リゼット・オロペーザ(ソプラノ)
 フェルディナンド(王子)…アンソニー・ロス・コンタンゾ(カウンターテナー)
 ヘレナ(漂流した恋人たちの一人)…レイラ・クレア(ソプラノ)
 ハーミア(漂流した恋人たちの一人)…エリザベス・デション(メゾソプラノ)
 ディミートリアス(漂流した恋人たちの一人)…ポール・アップルビー(テノール)
 ライサンダー(漂流した恋人たちの一人)エリオット・メイドア(バリトン)

 結構な大物とか、現在売り出し中の歌手とか、かなり揃えています。まあ、ライブビューイングで世界配信をした新作ですから、メトもかなりの力が入っているようです。

 歌唱は英語でした。とは言え、バロックのメロディに乗せてしまうので、そんなに聴きやすい英語でもなく、ミュージカルとは印象がだいぶ違います。意味的には、やはり字幕を頼りにせざるをえませんが、それでもやはり、英語歌唱なので、日本語オペラに通じる“こっ恥ずかしさ”はぬぐえません。そこが気になる人には気になるかな?

 台本作家のジェレミー・サムズが言っていたように「(ミュージカルの)マンマ・ミアの逆バージョン」というのも納得です。『マンマ・ミア』は誰もが知っているアバのヒットソングを使用して、そこに新作の物語を載せてミュージカルを作ったわけです。今回の『エンチャンテッド・アイランド 魔法の島』は、誰もが知っている『テンペスト』とか『真夏の夜の夢』を元ネタにして、余り有名ではない(けれど名)曲を並べて作ったオペラなわけです。台本・音楽ともに純粋な新作オペラよりも、コケる心配はだいぶ少ないわけです。

 後は演奏者さえ揃えば良いわけですし、今回はなかなか揃っていたと思います。

 私の感想を書くと…オペラと言えども、アメリカ人好みのハッピーエンド系の音楽劇って感じかな? ミュージカルとは全然違いますが、だからと言って“オペラ”と思わなくてもいいと思います。バロックオペラっぽいエンタメ作品です。ただし、家族向けかというと、そこはちょっと違います。元ネタの一つが「真夏の夜の夢」ですから、決して子ども向けではありませんし、2幕にあるバレエシーンも、かなり下品です。

 とにかく、ドミンゴの客受けがスゴイです。まさに神様登場って感じで、ほんと、はまり役です。ドミンゴの登場するシーンだけ、他のパートよりも室温高めですからね。特に第1幕のシーンなんて、ここだけ別のオペラみたい(笑)。

 登場する度に若返っていくディドナートなんて、最後はほぼ“美空ひばり状態”になってましたし、妖精アリエルを演じていたドゥニースは、オペラ歌手としても見事な歌唱(時折“雑”になってましたが)を聞かせてくれましたが、それよりも何よりも演技が実に見事でした。これだけ歌って演じる事のできる歌手は、なかなかいないですよぉ。

 演じると言うと、怪物キャリバンを演じたピザローニの演技がスゴかった。もちろん自分の歌もあるけれど、自分は歌わずに、黙役として、ただ演技だけをする部分もたくさんあったのだけれど、それがまた良いんです。この人も、歌って演じる事のできる歌手なんだな。

 個人的に残念なのは、プロスペローを歌ったダニエル。たぶん、バロック劇だから、主役の一人であるプロスペローをカウンターテナーのダニエルに振ったんだろうけれど、やはりこの役は、今の21世紀の観客の感覚では、カウンターテナーの役ではなく、バスの役だと思います。そういう意味では、ダニエルではミスキャスト…かな? なので、私はダニエルがクチを開いて歌う度にガッカリ致しました。オッサンの外見なのに、声はかわいい女の子なんだもの、まさにゲテモノだよね。21世紀では、かなり厳しいです。怪物役ならともかく、魔法使いとは言え、普通の人間なんだよね、プロスペローってサ。

 でも、王子様は、カウンターテナーでよかったと思います。カウンターテナーが王子様を歌うことで、王子様の気品さがうまく表現されていたと思うし、そもそも王子様って存在は非日常の存在だから、これはこれでアリです。それに、我々日本人にとっては、王子様の声が、非現実的に甲高いのも、宝塚っぽいノリにもなって、グッドでした。逆に、この役を仮にテノールが歌っていたら、なんとも生々しい感じになってしまって、ファンタジー色が薄くなっていたと思います。

 すでにこのオペラのアンコール上映での上演も終了しているので、次にこのオペラを見れるのはいつのことになるのか、私にも分かりませんが、チャンスがあって時間があるようなら、ぜひ見ると面白いと思います。

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