ひとこと

  •  お相撲さんは格闘家であり、その素手は強力な武器であるわけだから、土俵以外の場所では、たとえ素手であったとしても他人を殴ってはいけないわけだし、ましてやその手に器物を掴んで凶器を使用してしまったら、言い訳はできないし、そもそもやり過ぎだし、卑怯ですらあると、私は思う。今回の件は、日馬富士にも同情すべき点は多々あると思うし、魔が差したのかもしれないが、鉄拳制裁はアウトだと思う。武道や格闘技は、暴力とは違うわけだが、角界の範たる横綱が暴力を行使しちゃあ言い訳できないよなあ。
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2014年9月 1日 (月)

メトのライブビューイングで「ラ・ボエーム」を見てきました

 先日、野暮用で東京に出かけました。時間があったので、その空き時間をどうやって潰そうかと思って、チャチャと調べたら、ちょうど良い時間に、東劇でメトの「ラ・ボエーム」のアンコール上映をやっていたので見てきました。「ラ・ボエーム」ぐらいの有名オペラになると、わざわざ見に行くなんて事がないので、ちょうど良かったです。

 私が見たのは、今年と言うか、ついこの前までやっていた昨シーズン(2013-2014シーズン)に上演した「ラ・ボエーム」でした。

 指揮は(とりわけ有名指揮者とは言えない)ランザーニ、演出は(定番の)ゼッフィレッリ、その他の歌手たちも取り立てて有名どころはいなく、ではなぜそんな上演がライブビューイングにかけられたのかと言うと、主役テノールが、今をときめく、ヴィットーリオ・グリゴーロだったから(笑)。つまり、今回の上演の正しい楽しみ方は、テノールを満喫すること…ってわけです。

 いやあ、グリゴーロは良かったよ!

 まず、容姿が普通にカッコ良かった! いわゆる、イケメンなんだろうと思う(私自身がオッサンなので、正直よく分からないけれど:笑)。少なくとも、オペラ歌手にしちゃ珍しいほどに、目鼻立ちが整ってた。身長もそこそこ大きくし、何よりも太っていないのがいいね。容姿は大切だからサ。

 どうも「ラ・ボエーム」のテノール役(ロドルフォ)と言えば、パヴァロッティのイメージが強くてね。つまり、巨漢デブのイメージね。あるいは名前はあげないけれど、チビハゲとかが演じていたりするわけよ。そこに、やせた背の高い若々しいテノール歌手が演じるわけだから、そりゃあカッコいいってもんだね。

 あ、もちろん、歌は良かったよ。普通に良かったので、特にコメントしません。もっとも“普通に良かった”という事自体が、すごく素晴らしい事なんだけれどね。だって、ロドルフォって役は、テノールにとっては、結構な難役だからね。この役をサラっと歌えるのって、実はプロでも、すごいことなんだよね。

 今までグリゴーロは音源でしか楽しんでいなかったのだけれど、動くグリゴーロも素敵だね。これからしばらくは、彼がオペラ界の一翼を担うスターテノールになるのは、間違いないなあ。

 ただ、問題は、彼はオペラ歌手専業ではなく、ポピュラーも歌っているって事。いわゆる“二足のわらじ”なんだけれど、ポピュラーの方でドカンと当てたら、オペラなんて歌ってられないだろうからなあ…オペラファンとしては、ちょっぴり心配な歌手です。

 もう一人の主役であるミミ役は、代役さんでした。本来は、アニータ・ハーティッグというソプラノがやる予定だったけれど、当日の朝7時半に「風邪ひいて歌えません。今日の昼の部の出演はキャンセルしま~す」という電話を劇場に入れたんだって。劇場側は大慌てだよね。その日の昼の公演を朝一番でキャンセルだもの。それも、その日の公演はライブビューイングで全世界配信が決まっていたわけだし…。劇場も色々な歌手に出場を打診したんだろうけれど、最終的には、クリスティーヌ・オポライスというソプラノさんが代役をしてくれることになりました。

 彼女、実は、その前日の夜公演で「蝶々夫人」の主役を歌ったばかりだったんです。で、舞台がハネて、しばらくは興奮状態が続き、朝の5時半になって、やっと就寝したところに、7時半に劇場から電話がかかってきたそうです。つまり、2時間しか寝てないわけだ。

 普通、オペラ歌手って、1度本番をやったら、その後(人によって違うけれど)2~3日は声を休めるわけです。特に「蝶々夫人」は声の消耗の激しい役だしね。何があったのか、どういう条件だったのか、それは分からないけれど、とにかく彼女はミミ役を引き受けたわけです。

 さすがに、長い歴史を持つメトでも、2日連続して同じソプラノが主役を張る事は無かったそうで、これは史上初の快挙(?)だったそうです。

 彼女はメトではミミを歌ったことは無かったけれど、今までウィーンとか他所の劇場では歌っていたので、歌のほうは大丈夫だったろうけれど、衣装もカツラもないし、演技の打ち合わせも必要なわけで、それらの案件を午前中に片付けて、昼の部に出演したわけです。

 さすがに、異例のことなので、オペラが開幕する前に観客(と映画館の客席)に向かって、劇場支配人であるピーター・ゲルブが直々に事情を説明していました。

 結果としては、よかったですよ。特に破綻はありませんでした。それにお客さんはテノールを見に来たのであって、ソプラノを見に来たのではないから、無難にこなせれば、代役であろうがなかろうが、どうでも良かったのかもしれません。

 実は、私的には、あまりミミは印象に残っていません。むしろ、ムゼッタが良かったなあって思いました。いやあ、ムゼッタを歌ったスザンナ・フィリップスというソプラノは、良かったですよ。私好みのソプラノさんですよ。声がキレイで明るくて美人で大柄(でもデブじゃあない)。良いです、良いです。ちなみに、彼女、このシーズンのライブビューイングでは、モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」で主役のフィオルディリージを歌っているんだよね。これは、何としても見に行かないと…。

 それにしても、時代は変わったなあ…って思いました。グリゴーロは特にイケメンだけれど、彼以外の出演者たちも、割りと普通の体型だし、演技だってきちんとやってました。パヴァロッティがメトでブイブイ言わせてた頃は、出演者は男女ともにデブが当たり前だったし、芝居の方も、棒立ちの方々がたくさんいました。まあ、今でも声の威力が必要なオペラだと、メトでも棒立ちデブが主役を張っていたりしますが(笑)、「ラ・ボエーム」ほどの規模のオペラなら、普通体型できちんと演技のできる歌手を取り揃えられるんだなあって思ったわけです。

 オペラ歌手ならデブでも許される…という時代は、完全に終わったんだなあって思いました。ただ、オペラ歌手に容姿を要求される時代になると、日本人が世界で羽ばたくチャンスが無くなってしまうのが残念だなあ。だって、日本人だと、いくら歌がうまくても、外見は東洋人だし、体格的にも劣るからね。ソプラノ歌手なら、蝶々さんという役があるけれど、その他の声種の歌手は…厳しいよねえ。

 トゥーランドットのカラフって、東洋人なのかな?

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