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2014年8月25日 (月)

メトのライブビューイングで「ばらの騎士」を見てきました

 ただ今、関東地方では、築地にある東劇で、メトのライブビューイングのアンコール上映をやっています。レギュラーシーズンの時に見逃した作品を見るのに絶好のチャンスなわけで、私も毎年、この機会を利用して、いくつかの作品を見ています。

 で、先日、2009年シーズンに上演した、リヒャルト・シュトラウス作曲の「ばらの騎士」を見てきたわけです。

 元帥夫人にルネ・フレミング、オクタヴィアンにスーザン・グラハム、ゾフィーがクリスティーネ・シェーファーで、オックス男爵がクリスティン・ジグムンドソンでした。これが実に良かったんですよ。元の作品が良いのですから、歌手に実力派を揃えれば、音楽的には、そんなに不出来にならないのが、このオペラの特徴だと思います。あえて言えば、演出で出来が左右されるかもしれませんが(笑)。

 その演出が、いかにもメトっぽくて、とても親切で分かりやすい演出なんですよ。とにかく、小芝居が多い(笑)。その小芝居で、色々とストーリーを説明するわけです。我々日本人には、ヨーロッパの歌劇場の上演よりも、アメリカのメトの上演の方がしっくり来る事が多いと思います。、まあ、アメリカも日本も、オペラ鑑賞では周辺国ですからね。本場ヨーロッパ並の演出ではキツイ部分があるのも事実ですから、これはこれで良いと思います。

 (昨今のメトは、新演出と称して、ヨーロッパの歌劇場と共同プロダクションをしていますが、これではメトの良さが生かされていなくて、私はあんまり好きではありません。やっぱり、昔のメトの演出は最高だよね:笑)

 歌唱は、それぞれに素晴らしくて、文句のつけようもないので、その部分の感想はパスします(褒め殺しになるのは避けたいからね)。

 改めて驚いたのは、オクタヴィアンを歌ったグラハムの身長。幕間のインタビューを担当したのは、プラシド・ドミンゴですが、ドミンゴよりも身長が高かったんですよ。言っておきますが、テノールと言うのはチビの多い業界ですが、ドミンゴはその中では珍しく背の高いテノールとして有名なんです。なにしろ、187cmありますからね。そのドミンゴよりもグラハムの方が大きかったんですよ。一応、グラハムの身長は公称では183cmであって、ドミンゴよりも5cm低いことになってますが、むしろ5cmほど大きく見えました。(ちなみに、ドミンゴは、エリーナ・ガランチャ(メゾ)ともインタビューをしていますが、ドミンゴよりもガランチャの方が大きく見えました。

 ドミンゴはリアルに大柄なテノールなので、グラハムやガランチャが規格外に大女なんだろうとは思いますが、メゾってこれくらいの身長がないと、ズボン役をやっても説得力がないんだろうなあって思いますし、これぐらいが一流のメゾのボディサイズなら『日本女性にはソプラノしかいない』という都市伝説もまんざら嘘ではないと思います。

 それにしても、ズボン役のメゾの身長が男性並の高さだと、演技に違和感がなくていいですね。

 元帥夫人をやったフレミングの演技は、公私を分けた感じで良かったですよ。公的な時は、いかにも貴婦人らしく凛としているし、私的な時は、実にチャーミングな感じで、その演技の幅は素晴らしいと思いました。また、オックス男爵をやったジグムンドソンの演技は、分かりやすい悪役でとてもよかったです。

 そうそう、残念だったのは、ばらの騎士として登場した時のオクタヴィアンの衣装が豪華すぎた事です。なにしろ、グラハムが「人間ミラーボール」と言ってたほどにキラキラで、そのキラキラの輝きが上演を撮影していたカメラの中にまで入ってしまって、画面が時折ハレーションを起こしている事です。ライブビューイングって、世界配信したわけだから、このハレーションは、ほぼ放送事故だったでしょうね。それも1度や2度でなく、何度もハレーションを起こして、画面に青い光がビュンビュン入りましたからね。

 でも、それを補っても余るほどに、素晴らしい上演でした。まあ、絶対に商品として発売される事はないだろうけれど、放送事故さえなければ、発売されても不思議ではないほどに、素晴らしかったですよ。

 それにしても「ばらの騎士」って、実に実にドイツ・オペラでした。音楽はとても美しいのですが、どこにもカタルシスを解消させるような部分はなく、観客に色々とフラストレーションを溜め込ませたままオペラは終演しちゃいます。さすが、リヒャルト・シュトラウスのイタリア・オペラ嫌いがよく分かる作品でした。いや、テノール嫌いと言うべきかな? 考えてみれば、オクタヴィアンという役、なんでズボン役なんだろ? だって17歳の若者だよ。立派にツバメとして奥方を肉体的に満足させているわけで、とてもとても変声期が終わっていないとは思えないんだよね。この役、本来なら、テノールの役でしょ? でも、作曲家的にはオクタヴィアンはテノールではなく、メゾのズボン役でやらせたかったのでしょうね。そのために「ばらの騎士」というオペラが、少女マンガ的というか、宝塚的な雰囲気になってますが、そこが狙い目なんでしょうね。

 それにしても、テノールの雄叫びの聴こえないオペラって、なんとも静かなオペラなんですね(笑)。

 メトのライブビューイングのアンコール上映は9月半ばまでやってますので、興味関心のある方は、ぜひどうぞ。

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コメント

こんばんは。

オペラの連載はとても楽しかったです。
アリアだけしか聴いたことのない作品もありますが、全曲通して聴いてみたくなりました。

「裏切った恋人を刺し殺してしまうというパターンのオペラ」として、カルメン、オテロ、道化師があげられ、ヴェリズモ・オペラのwikiではトスカもヴェリズモの範疇(?)、とかなり強引にストーリー中心に整理してしまいました。
この整理はほとんど意味がないかもしれません。
すとんさんが選択されたオペラで「フィガロの結婚」はオペラ・ブッファですが、アルレッキーノとコロンビーヌだけでは収まりきれない配役とストーリがあって、最後は寛容で終わります。
「ばらの騎士」もフィガロの結婚の影響を引きずっていて大好きなオペラです。
映像ではザルツブルグでのカラヤン、シュワルツコップの印象が未だに強烈ですが、新しい(?)映像も見てみたいです。

tetsuさん

 ザルツブルグのカラヤン&シュワルツコップの「ばらの騎士」は、私も大好きで、よく見ます。あれは「はらの騎士」の標準となる上演だと思ってます。

 おっしゃるとおり、ヴェリズモは血生臭いですね。そういう意味では、トスカはまごうことなきヴェリズモ・オペラですよ。

>この整理はほとんど意味がないかもしれません

 かもしれませんね、少なくとも私の中では、オペラというのは、面白いオペラと面白くないオペラの2種類しかないです(笑)。面白ければ、時代も国も関係ないです。だから、平気で、オペラもオペレッタもミュージカルも並べちゃうんだと思います。

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