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2014年6月25日 (水)

マリボール国立歌劇場の「カルメン」を見てきました

 当地では、年1~2回、東欧の歌劇場の引っ越し公演が開催されます。今年は、スロヴェニアのマリボール国立歌劇場による、ビゼー作曲の「カルメン」が上演されました。

「スロヴェニア? スロヴァキアじゃないの?」…違うんですね。スロヴェニアは、以前はユーゴスラビアの構成国の一つだった国で、スロヴァキアは、チェコ・スロヴァキアの一部だった国です。名前は似てますが、全然違う国です。

 で、今回は、元ユーゴスラビアのスロヴェニアの方の、国立歌劇場が来てくれたわけです。

 今回の上演の目玉は、主役のカルメンを、オクサナ・ヴォルコヴァが歌う事でした。ヴォルコヴァは、世界中を飛び回っている、今売り出し中のオペラ歌手の一人です。先日見た、メトのライブビューイング(エフゲニー・オネーギン)にも出演していました。そういう人の生歌唱が聞けるというのは、実にありがたい事だったりします。

 で、ヴェルコヴァ以外の歌手は、東欧を中心に活躍している人たちばかりだったけれど、歌はみな、実に上手かったですね。音楽的には、ほぼ満点な上演でした。

 この上演が15500円で見れたのは嬉しい事です。だって、同じモノが東京だと23000円なんだよ。上演場所がちょっとひなびただけで、チケット代が2/3にディスカウントされるんだから、良いよね。おまけに、私的には我が家から徒歩10分の会場だから、交通費もかからなければ、時間もかからないわけで、ますます良いわけです(笑)。

 音楽的には実に満足のいく上演でした。演出の方は…最近の上演だなって思いました。原作の雰囲気を壊さないように配慮されていましたが、やはり時代設定は、かなりこっち側になってました。ま、おかげさまで、なじみやすいと言えば、なじみやすくなっているので、それに関しては良しとしましょう。

 意見が分かれるとすると、エスカミーリョの扱いかな?

 たまたまかもしれないし、意図的かもしれないけれど、エスカミーリョがそんなに格好良くなかったんですよ。歌っていたヨジェ・ヴィディツは、チビデブなバリトンさんでした。バリトンはチビデブでも役があるので、それはそれで良いのですが、普通エスカミーリョを歌うバリトンは、大柄でイケメンなバリトンが歌う役で、そんな大柄でイケメンなバリトンは、この世に掃いて捨てるほどいるのに、そういうバリトンさんではなく、彼にオファーが行ったのは、なぜなんでしょうか? なんで彼がエスカミーリョを歌ったのかと言えば…やっぱり、演劇効果を狙ってキャスティングされたんだろうなあって思います。オペラのラストで、カルメンがホセに刺されて死んでしまうのですが、今回の演出では、同時にエスカミーリョが闘牛に刺されて死んでしまうのです。ホセはカルメンを殺しながら、カルメンを殺す事で同時に、エスカミーリョへの復讐を遂げたという演出なんですが、この辺の演出とキャスティングに関係があるのかもしれません(断言はできないんですが…)。

 断言できないと言えば、ホセ役のヤベ・トメ・フェルナンデスの衣装というか小道具というか、はっきり言っちゃえば、彼の頭髪の扱いに「???」です。

 フェルナンデスは細身で長身のテノールなんですが、アタマがハゲているんですよ。それもデコチンハゲとカッパハゲのWハゲなんです。彼は細身だし、長身だし、顔の造作だって悪くないのですから、カツラさえ被れば、十分、若者に見えるし、カルメンに振り回される田舎の純朴な青年役にふさわしい外見になるのですが、アタマがハゲてちゃ、オッサンにしか見えません。エスカミーリョ共々、分別のあるオッサン二人が、小娘でしかないカルメン(ヴォルコヴァのカルメンは、とても若い娘に見えます)に入れあげちゃうようにしか見えません…が、これも演出として狙ったんだろうなあって思います。だって、オペラって、普通、カツラかぶるもの。オペラに限らず、演劇って、役作りのために俳優にカツラをかぶせるものでしょ? それをわざわざかぶせなかったと言うのは、意図的に演出の必要上、カツラをかぶせなかったと考えるべきでしょ?

 なので、第三幕のホセとエスカミーリョの一騎討ちのシーンは、若い娘を取り合うオッサン同士の対決で滑稽だったし、それを止めに入るカルメンも「もう~、オジサンたち、いいかげんにしてよ~」的な感じで、なんか客あしらいに慣れたキャバクラのお姉ちゃんみたいなノリになってました。で、このシーンが伏線となって、ラストのカルメン&エスカミーリョ同時刺殺という演出になるんだろうなあって思います。

 ま、それはそれで、アリだけどね。

 私が個人的に“素晴らしい”と思ったのは、フラスキータを歌ったソプラノのヴァレンティナ・チュデンです。彼女いいですよ。歌も演技も良いけれど、何よりも存在感があっていいです。主役二人が舞台の中央で二重唱を歌っている時に、舞台の後ろの方で何やら小芝居をしていると、私の視線は主役ではなく、そっちの小芝居の方に釘付けになってしまいました。なんか、彼女の演技から目が離せませんでした。

 チュデンは、2004年に学校を卒業して、そのままマリボールでコーラスガールになって、2009年にソロデビューしたそうです。…苦労してます。年はおそらくアラサーでしょう。クラシックだけでは芽が出ないとあきらめているのかもしれませんが、この人、お国では、ポピュラー歌手としても活躍しているみたいですね。まあ、ソプラノは競争が激しいですからね。それでも、チャンスさえつかめば、すぐにでも世界デビュー出来そうな感じの歌手さんです。でもね、そのチャンスをつかむのが難しい世界なんだけれどね…。

 で、主役を歌っていたヴォルコヴァは、そんなチャンスをつかんで世界デビューできた幸福な歌手なんだよね。要するに、歌手として成功するためには、才能以外に、歌唱技術とか演技力とか美貌とかも必要だけれど、一番必要なのは音楽の神様にどれだけ愛されているかだったりしてね。

 そんなわけで、主役の一人であるミカエラを歌っていたアンドレヤ・ゴサンシェク・クルトについては、あまり記憶がありません(ごめんね)。悪くなかんたんですが、個性が弱くって…。

 さて、当地での次のオペラ公演は、いつになるんだろ? 以前は年2回ずつやってくれてたんだけれど、最近はめっきり回数が減ってしまって…。原因は、リーマン・ショックでしょうか、それともフクシマかな? どちらにせよ、貴重な外国の歌劇場の引っ越し公演なので、開催されれば、私は見に行くし、会場だって確実にほぼ満席になるんだから、もっと頻繁に行って欲しいなあって思いました。

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コメント

> 当地では、年1~2回、東欧の歌劇場の引っ越し公演が開催されます。

うらやましいですうーー。
渋谷Bunkamuraで東欧の歌劇場の公演を何回か聴いたことがありますが、最近は日程があわないとかいろいろで行けませんでした。
生オケの音も軽く飛んでいて、大好きでした。

また機会があれば渋谷あたりまでは行ってみたいです。

tetsuさん

 いいでしょ? 私も、この点においては恵まれているなあって思います。まあ、東京とか大阪とは比べ物にはなりませんが、それでも生の海外オペラを気軽に楽しめる環境は、得難いモノだと思ってます。

>生オケの音も軽く飛んでいて、大好きでした。

 そうそう、海外歌劇場の引っ越し公演って、歌手も素晴らしいけれど、オケがすごいんですよ。日本のシンフォニーをメインに演奏してるオケとは違って、この人たちは毎日毎日オペラばっかり演奏しているオケですからね。その熟練度が全然違います。

 なにしろ、本当の本当に、CDと同じサウンドで生演奏しちゃうんですから、始めて聞いたときは、もうビックリしました。

スロヴェニア!京都にスロヴェニア出身のシェフがされてるお店がありまして、
そこのお料理とワインがおいしく、時々おじゃましてます。
見た目が美しい!とかではなく素朴で、お母ちゃん、もしくはおばあちゃんの味って感じで、まったく飽きません♪ちなみにシェフは男性です(笑)
いや、オペラとは関係ないんですが(;´▽`A``

いがぐりさん

 まあ、たいていシェフは男性ですがね(笑)。

 スロヴェニアのシェフが作る料理って…当然、スロヴェニア料理、あるいはスロヴェニア風味の料理でしょうが…一体、どんな料理なんだろ? 想像つきません。でも、きっと美味しいのだろうなあ。

 ほんと、東欧の料理って、全然想像つかないのですよ。

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