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2014年5月15日 (木)

パリ・オペラ座のライブ・ビューイングで「清教徒」を見てきました

 今年始めての、パリ・オペラ座のライブ・ビューイングを見てきました。もっとも『今年始めて』と言っても、上映が始めてではなく、私が見に行ったのが始めてという意味ね。お間違いのないように…。

 さて、昨年まで、パリ・オペラ座の東京でのライブ・ビューイングは、日比谷でやってましたが、今年からは室町でやる事になりました。室町…と言っても、足利氏が幕府を開いていた室町ではなく(それは京都の室町)、東京の室町。いわゆる日本橋の一部地域となります。三越の日本橋本店がある所…と言うと、分かる人は分かると思います。そこに、コレド室町というビルができて、その中に、TOHOシネマズ日本橋という新しい映画館ができて、そこをメイン劇場として、今年のパリ・オペラ座のライブ・ビューイングを行う事になったのです。

 まあ、今度の劇場は、新日本橋駅に直結しているようだし、地下鉄三越前のすぐそばだし、私的には東京駅からすぐそばで行きやすいので、うれしいです。アクセスがいいってのは、良いことだしね。

 で、肝心のオペラの方だけれど、これがまた実に良かったです。

 まず「清教徒」というオペラ、実にマイナーなオペラで、オペラ好きな人でもなかなか鑑賞のチャンスがないオペラですが、このオペラを知らないままでは、実にモッタイナイと思います。これ、実に良いオペラだと思います。

 とにかく、捨て曲がほとんどありません。オペラ中で歌われる曲のほぼすべてが美しいんです。おまけに、アリアがほとんど無い(笑)ので、ストーリーがサクサク進みます。アリアって、オペラの聞かせ所なんだけれど、アリアを歌っている時って、劇中の時間が停まっているので、アリアが多いオペラは、どうしてもストーリーの進行がモタモタしがちですが、このオペラはアリアがほぼ無いので、実にストーリーがサクサク進行します。

 「アリアがほとんど無いって、それじゃあつまらないじゃん」って思うかもしれませんが、そんな事はありません。実は、レチタティーヴォもほとんどありません。

 「え? なに? それ?」 はい、驚きですよね。そうなんです、このオペラ、アリアもレチタティーヴォもほとんど無いんです。大半のオペラが、アリアとレチタティーヴォで出来ているのに、その二つが実に少ないんですよ。

 「じゃあ、このオペラはどうなっているの?」 はい、このオペラのほとんどは重唱でできています。重唱というのは、会話に音楽を付けたもだから、重唱を歌っている間は、劇が進行しているわけです。で、この重唱が、どれもこれも、アリア並に美しいんですよ。それも超絶的に美しいんです。さすがは、天才、ベッリーニ作曲のオペラです。

 具体例を上げましょう。例えば、このオペラのキラーチューンと言えば「a te o cara/いとしい乙女よ、あなたに愛を」という、四重唱+合唱の曲です。パリ・オペラ座の画像ではありませんが、聞いてみてください。

 これ、普通のオペラなら、テノールのアリアにしちゃうくらいのメロディを使ってますが、でもそうでなくて、あくまでも四重唱なんです。それもバックに合唱まで使ってます。アリア並の美しいメロディを惜しげもなく重唱で使って、ストーリーがサクサク進んじゃうんですよ、すごいでしょ。このオペラ、全編、こんな感じなんです。

 「そんなにすごいオペラなら、もっと有名になってもいいのに、こんなにマイナーなのは、なぜ?」 それは、このオペラが半端なく難しくて、なかなか上演するチャンスに恵まれないからです。

 例えば、テノールの場合について話をすると…普通のテノールのアリアですら、高音はA~Bまでで、まれにHi-Cと言う音が慣習的に使われます。Hi-Cはかなりの高音ですし、楽譜に書いてあるわけでないので、大抵のテノールは、Hi-Cではなく記譜された音で歌います。そこを慣習に則ってHi-Cで歌えるテノールは、素晴らしいテノールとして崇められるわけです。それくらい、Hi-Cという音は、テノールにとって高音なんです。だいたい、男声の高音限界は普通はAとされていて、ミュージカルなどでは、そのAですから滅多に使いませんから、オペラ歌手のテノールが、どれくらい人間の限界を越えた発声をしているか、察してください。

 それなのに、この「清教徒」というオペラでは、そのHi-Cよりも高い音がメロディの中に普通に使われているんです。例えば、先程聞いた「いとしい乙女よ、あなたに愛」では、普通にHi-Cisが使われています。ですから「清教徒」を歌うテノールは、Hi-Cisを楽々と出せる力量が無いといけないのです。いやいや、正直に申し上げると、Hi-Cisどころか、他の重唱のテノールパートには、Hi-Dですら、普通にメロディの中に書かれているんです。これがどれだけ、大変な事か…。さらに、記譜された音としては、Hi-D止まりですが、このオペラ、慣習的には、テノールはTop-Fと呼ばれる、Hi-CやHi-Dよりも、うんとうんと高い音も歌わないといけないんです。もちろんファルセットじゃなくて、実声で歌うんですね…もっとも、普通のテノールじゃあ、ファルセットであっても出せないくらいの高さなんだけれどもサ。

 と言うわけで、そんなテノール、世界中を探したって、そうそういるわけじゃないです。だって、この曲を歌うためには、テノールの声でアルトの音域まで歌えないとダメなんだから。そんな人、滅多にいません。これがこのオペラの上演を難しくしている、一つの要因です。

 さらに言えば、ソプラノには、いわゆる“狂乱の場”と呼ばれる、超難関な曲が待っております。これも歌えるソプラノは、そんなにいません。バリトンやバスも超難関な曲が待っております。これらも歌える歌手は、そんなにいません。

 そんなにいないレベルの歌手を4人も揃えないと上演できないオペラなので、どんなに曲が素晴らしくても、マイナーにならざるを得ないわけなんですね。どんだけ、ぜいたくな作りのオペラなんや!

 と言うわけで、そんな“お宝的”なオペラがライブビューイングで見れるんですよ。これはぜひ見に行かないといけませんわな。でしょ?

 で、実際に、このオペラを見終えた私の感想は…「なんか、声のサーカスを見てきたような気分」でございます。それくらい、なんとも、素晴らしくて、すさまじいオペラなんです。

 さらに言うと、今回のパリ・オペラ座の上演の演出は、なかなか良いです。この「清教徒」というオペラ、音楽は素晴らしいのですが、お芝居の方が分かりづらいのが欠点なんですが、今回の演出だと、これが実にすっきりと整理されていて、分かりやすいんですよ。さらに、歌っている歌手も、みな、すごくて素晴らしい。音楽が良くて、演出が良くて、出演者が良いのです。ね、すごいでしょ?

 でも、一つだけ残念な点があります。それは、これが上映された、TOHOシネマズ日本橋という映画館が、ちょっぴり残念な事です。

 実は「清教徒」を見ている時に、隣のスクリーンで上映されていた「スパイダーマン」の音が聞こえちゃうんです。たぶん映画館の壁が薄いんでしょうね。隣のスクリーンの爆発音やら、それに伴う振動が、結構聞こえるし感じるんですよ。別にこれは私だけに聞こえたわけではなく、他の人にもよく聞こえたらしくて、皆さん、結構文句言ってましたね。「だから、ハリウッド式のシネコンはダメなんだ」と大きな声で怒っていた白髪の方がいらっしゃいましたね。まあ、私なんかよりも、ずっと聴力が老化しているであろう方が怒っちゃうくらいですから、結構聞こえるんですよ。そこが残念な点でした。

 もっとも、妻は、爆発音の類、全然気にならなかったそうですから、気にならない人には全然気にならないのかもしれません。私は…聞こえたけれど、怒っても仕方ないので、無視をする事にしてました。

 なので、TOHOシネマズ日本橋以外の映画館で「清教徒」を見る分には、とても良いと思いますよ。TOHOシネマズ日本橋でなければ見られない人は…あきらめましょう。壁が薄いのはどうにもならないし、隣の映画の音が聞こえるのもやむを得ないです。そういう意味では、オペラ映画を見るには、ちょっとスペック不足な映画館なのかもしれません。

 なにはともあれ、清教徒、お薦めです。

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コメント

こんばんは。
ひとことを読んでびっくり。大丈夫でしたか。苦しかったでしょう・・。お察しします。

歳とともに、のどのところにある、気管支行きの空気と、食道行きの食べ物の交差点で交通整理している喉頭蓋という筋肉の動きが鈍くなるんだそうですよ。

なので、食べ物もですが、お薬とか錠剤をお水で飲み込むときも、うっかりすると食道へ行かずに、気管支へはいっていってしまうんだそうです。私は、サプリとかビタミン剤とか飲むときに錠剤と水を口に入れてから、意識的に飲み込むまでにすこし時間をとって、キチンと食道のほうへ行くように、と喉頭蓋の筋肉に指令を出してから水を飲みこみます。
どうも最近はキチンとそういうことをしないと、喉頭蓋の反応が鈍って危ないような気がしてるので・・・。

だりあさん

 今回はかなり苦しかったです。今までも、唾液がちょっと入り込んでしまう…程度ならありましたが、今回は食物でしたから、ほんと大変でした。

>キチンと食道のほうへ行くように、と喉頭蓋の筋肉に指令を出してから水を飲みこみます。

 確かに無頓着に飲み食いできる年ではなくなったのかもしれません。私も今日から、少しずつ、喉頭蓋に指令を出してから飲み込むように気をつけます。

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