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2012年7月 2日 (月)

ガロワのリサイタルに行ったよ

 実はこの話は、ガラコンサートの前日の話なんですが、色々と記事にしないといけない事が続き(笑)、今頃、バトリック・ガロワのフルートリサイタルに行った話をアップします。私は“コンサート・ゴーアー”な面があって、結構色々なコンサートに出かけているのですが、そのすべてをブログに書いているわけではないので、ガロワのコンサートも書かずに済ませてしまおうかと思ったのですが、あんまり感動したコンサートだったので、書かずにはいられなくてねえ…。なので、時期外れなアップで申し訳ないですが…申し訳ない。

 ってなわけで、パトリック・ガロワのフルートリサイタルに行ってきました。

 セットリストは以下の通りです。

 モーツァルト作曲:ヴァイオリンソナタ第34番
 ドヴォルザーク作曲:ソナチネ
 ドップラー作曲:ハンガリー田園幻想曲
   [ここで20分の休憩]
 プロコフィエフ作曲:フルートソナタ
 ドビュッシー作曲:牧神の午後への前奏曲
 プーランク作曲:フルートソナタ
   [ここで終演。以下はアンコール]
 マスネ作曲:タイスの瞑想曲

 ね、すごいセットリストでしょ。フルート好きには結構たまらない本格的なセットリストでしょ。それでは一曲ずつ感想を書いていきます。
 
 
モーツァルト作曲:ヴァイオリンソナタ第34番

 まず、ガロワ、カッコいいー。私は彼の現物(笑)を見るのは初めてなんですが、写真よりも、ずっとずっとカッコいいんですよ。イケメンが良い感じで年齢を重ねて、ダンディなオトコになったって事です。甘さと渋さの両立で、私もこんなオジサンになりたかったなあ…。

 ガロワのフルートは、ひと言で言うと“優しいフルート”です。演奏も迫力でグイグイ迫ってくる感じではなく、自然と“そこにいる”タイプの演奏なんです。上品な演奏なんですよ。飾り気もケレン味もないけれど、聞いていると心に沁みてくるタイプの演奏でした。モーツァルトの音楽なんだけれど、なんか不思議と穏やかなモーツァルトでした。
 
 
ドヴォルザーク作曲:ソナチネ

 モーツァルトとは、明らかに音色を変えて演奏してます。モーツァルトの時は、甘い音色でしたが、今度はシブい音色でした。特に低い音の音色がとても良い感じでしたし、曲の後半では、かなり音量を上げて来ました…が、それでもグイグイと来る感じはしないのが、不思議でした。
 
 
ドップラー作曲:ハンガリー田園幻想曲

 この曲の音色は、モロ、尺八でした。この曲を演奏し始めた途端「え? え? そんな音色でいいの?」って思いました。実際、目をつぶって聞いていると、フルートとは思えない音色でした。音量的には、かなり出してましたし、かなりラフに吹き飛ばしていました。あれ、絶対に、尺八を意識していると…思うよ。なんか、いわゆる“東洋的な音色”って奴なんだろうと思う。これって、フランス人から見ると、ハンガリーってのは、東洋なのか? って思わせるような演奏でした。
 
 
プロコフィエフ作曲:フルートソナタ

 この曲は、ごく最近、工藤重典氏の演奏でも聞いたのですが、同じ曲でも、演奏者が違うと、こうも曲の印象が違うものかと思いました。工藤氏の演奏は、実にパワフルだったし、技巧的だったし、常に演奏に圧倒され、ただただあっけにとられ、片時も工藤氏から目をそらせない演奏でした。強い力で抱きしめられているような感じがする演奏でした。

 一方、ガロワの演奏は、全然違いました。やっている事は工藤氏と全く同じはずなのに、ガロワの演奏では、全く超絶技巧を駆使しているという印象はなく「これもただのフルート曲ですよ」とサラっと言いたげな、全く自然体で、少しの押し付け感もなく、それでいて、切々と演奏していました。そう“迫力満点”ではなく“切々と心に語りかけてくる”演奏なんですよ。

 この違いは、ガロワと工藤氏という奏者の違いもあるだろうけれど、二人が手にしているフルートという道具の違いもあるかもしれないなあって思いました。工藤氏はゴールドフルート、ガロワは木管フルートだもの。楽器の個性も音楽に反映しているんだろうなあって思いました。

 それにしても、ガロワってお茶目な人だなあって思いました。曲の間…と言っても、楽章と楽章の間なんだけれど、突然「ステージの上って、暑くてねえ…」と言いだして、曲の演奏中にも関わらず、おもむろにフルートの頭部管を抜いて、ポケットからスワブ(クラリネットなどで使っている、あのスワブ)を取り出して、フルートの中の水分を丁寧に拭き始めました。クリーニングロッド無しで布だけを丸めて頭部管の中もキレイに拭いていました。曲の途中で、しかも客前で、こんな事を堂々とするフルーティストさんって、初めて見ました。ううむ、ガロワって、自由人なんだなあ…。
 
 
ドビュッシー作曲:牧神の午後への前奏曲

 またまた音色を変えてきました。今度は黒人女性のような、なめらかなビロード・ヴォイスでした。この人のフルートは、迫力で迫ってくるものではなく、多彩な音色で人々を魅了するタイプのフルートなんでしょうね。使用していたフルートは、木管金メカのフルート(いわゆるC管)でしたが、よくポートレート写真に一緒に写っている、あの変な形のメカが乗っかったフルートではありませんでした。私はあの変な形をしたフルートを直に見たかったので、残念な気がしましたが、当日のパンフレットを読むと、ガロワの自宅が昨年火事になってしまい、トレードマークだった、あのフルートも、自宅と一緒に燃えてしまったのだそうです。ですから、今回のフルートは、ここ最近、新しくパートナーにしたフルートって事ですが、一体、どこのメーカーのなんて言うモデルのフルートなんでしょうか? それにしても、よく鳴るフルートです。
 
 
プーランク作曲:フルートソナタ

 まるで小鳥の鳴き声を思わせるような華やかな音色でした。最後の最後は、この音色で来たか~! って感じです。ううむ、やられた~~。しかし、私、この音色、大好きだな。
 
 
マスネ作曲:タイスの瞑想曲

 アンコール曲の紹介は、ガロワ自身が日本語で行いました。その日本語は、丸暗記したものを理解もせずにしゃべっているって感じではなく、自分の言葉として話していました。彼、もしかしたら、多少は日本語が話せる人なのかもしれません。

 演奏は…まるで夢の中で演奏しているかのような、とても美しい、耽美な演奏でした。ただただ美しい演奏で、妻も「こういう動きの少ない曲を、あれだけ見事に演奏できるって、本当にすごい人だね」って言ってたくらい、すごい演奏でした。ああ、ほんと、見事な演奏でした。
 
 
 やっぱり、私はガロワが好きです。フルートを始めたばかりの頃、ガロワのCDを聞いて心を奪われた私だけれど、こうして生のステージを見て、改めてこの人の演奏に心を奪われました。こういう自然体で、ただただ美しい音楽を提供しつづける、このスタイルが、私は大好きです。

 ああ、木管フルートが欲しくなりました。フルートを木管に変えたら、ガロワにちょっとでも近づけるかな…。ああ、結局は、物欲まみれな私です(爆)。

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コメント

ガロワ、いいですね。
大昔は、金髪イメメン貴公子ビジュアル系、みたいな売り方、
というか、売られ方、だったかと記憶していますが、
いえいえ、実力も素晴らしい。
彼が金色、じゃなくて、木管のフルートを吹いているのも、
コントラストが素晴らしい。
で、2~3年前、彼の4枚組CDを銀座山野楽器で見かけて、
いやあ、4枚もあると、聞きで、聞きがいがあって、
すっごく楽しめました。
ヽ( ̄▽ ̄)ノ

operazanokaijinnokaijinさん

 ガロワ、いいですよ。

 確かにガロワは大昔『金髪イケメン貴公子ビジュアル系』で売られていたと思います。マーケティング的にはあれで成功したわけだけど、本人の気持ち的にはどうだったんでしょうね? ああいう売られ方をされると、周囲のオトコ達のやっかみも半端なかったろうし…。

 ただ、現在の彼の容貌は、あの頃とはだいぶかけ離れてしまいました。今売られている、彼の4枚組CD(私も持っています)のジャケット写真は、彼がまだ若くて『金髪イケメン貴公子ビジュアル系』で売っていた頃の写真を使ってます。あのジャケット写真を想像してリサイタルに行くと、あまりの変貌ぶりにガッカリしちゃうでしょうね(笑)。

ガロワさん、好きですっ。
いいなあ、コンサートを聞きに行かれたんですね。
ユーチューブで、若いころの金髪イケメン貴公子ビジュアル系!ころのガロワさんの演奏されるハンガリー田園幻想曲をきいて、ため息をついたことがあります。

これからのコンサートの日程はどうなっているのでしょうか。もしわかったら教えてくださいませ。というか、もうすでに帰国されてしまったのでしょうか。

だりあさん

 ちょっくらググってみましたが、6月中はともかく、7月のコンサートはヒットしませんでした。帰っちゃったのかな? ただ彼が言ってましたが、日本には毎年来ているそうですので、まだ来年とか再来年とかにチャンスがあると思いますよ。

>若いころの金髪イケメン貴公子ビジュアル系!ころのガロワさん

 今は、あの頃とは全然違う容貌になってますよん(笑)。

若い頃のCDは5-6枚あったと思いますが全部持っています。
彼は難曲をさらっとこともなげに演奏するんですよね。
木製フルートに変えてからのCDはまだ聴いたことがないなあ。
聞き比べてみたいです。

河童さん

>彼は難曲をさらっとこともなげに演奏するんですよね

 ですね~、そこが彼の魅力の一つかもしれません。

>木製フルートに変えてからのCDはまだ聴いたことがないなあ。

 あ、私もそうかも。ガロワが木管に持ち替えたのは1993年だそうです。だから、それ以降の録音でないと、木管フルートのはずないですね。それまではバリバリのゴールド派ですから。私の持っているものは全部ゴールドだよ。

 ナクソスから出ている奴なら、録音時期的にも木管だろうから、そっちのディスクを買ってみるかな?

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