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2008年3月26日 (水)

グレン・グールドと私 その2

 では、昨日の話の続きです。

 割と最近の話です。職場の同僚で音楽ファンの人たちがいて、その人たちがグールドの話で盛り上がっていました。私はグールドを評価していなかったので、冷やかな気持ちでその話を聞くともなく聞いていました。

 あるピアノ弾きの人が「私はグールドのような演奏はしたくないけれど、でも彼の演奏は好き」と言いました。『演奏はしたくないけれど好き?…ありえないでしょ、普通。アーチストのことが好きなら、その人のように演奏したくなるものじゃない? 演奏したくないなんて、それは嫌いという意味じゃないの?』 なんか心にひっかかりました。

 そこで家に帰ってから、昔買ったゴールトベルグを取り出して聞いてみました。本当に久しぶりでした。やっぱり…嫌いでした。相変わらず、変な音色だし、鼻唄歌ってるし、音楽はブツブツしてて流れてないし…。

 でも、私も昔と違い、オジサンになりました。オジサンは若者と違って、簡単に結論を出さない。そこでゴールトベルグのグールドは嫌いだけれど、他の曲なら評価が変わるかもしれないと思いました。

 さっそく図書館に行ってグールドのCDを借りてきました。お金を出して失敗したら嫌なので、まずは保険代わりに図書館のCDでリスニングです。

 さあ、借りてきたぞ! さあ、聴くぞ! 気合を入れて、しっかり聴きました。しっかり聴けば聴くほど、嫌になってきました。ああ、もっと美しくピアノを鳴らして欲しい。もっとロマンチックにフレーズを奏でて欲しい。鼻唄、ウザい! なんか聴けば聴くほど、気持ちが萎えてしまいます。

 ある日、グールドの演奏するベートーヴェンの「エロイカ変奏曲」を風呂場で(笑)、リラックスした気分で聞いていました。その時、ふと「いい演奏だなあ…」と思いました。「なんかジャズを聞いているみたいだなあ…」とも思いました。ベートーヴェンが…とか、クラシック音楽が…とか、グレン・グールドが…とか、そういう雑念を忘れて、単なる音楽として聞いた時、なんか上質なジャズピアノを聞いているような気分になり、いい曲だなあ…と心の底から思いました。

 その時私は、クラシック(つまり古典)音楽として聴くと、グールドの演奏は嫌いだけれど、クラシックを素材とした現代のサロン曲として聴くなら、グールドの演奏もありかもしれないと思いました。

 ダメを出したゴールトベルグをクラシック音楽という枠を外して聞いてみました。脱力系のジャズピアノ曲として聴くと、これ、案外おもしろい。他の曲も聞きました。彼の演奏スタイルが持つヘナヘナ感が、なんか癒し系音楽のように感じられました。

 ファンとか信者の方には怒られるだろうと承知の上で書きます。

 私はグレン・グールドに「癒し系ジャズピアニスト」というラベルを貼ることにしました。もちろん検索タグは「ヘナヘナ」と「乾いた閉塞感」です。用途は「疲れ切っていて元気な曲を聴きたくない時に聴く」「おへそが曲がってしまって、自分ではどうにもこうにもならない時に聴く」。用量用法は「リラックスした環境及び気分で、小一時間程度」です。

 これでやっと、私の心の中の音楽室のレコード棚に「グレン・グールド」という箱が入りました。

 と言うわけで、ただ今、グレン・グールド、再評価中であります。ほんとのホント、心が弱っている時に聴くグールドのバッハは、やんわりと心に沁みます。ベートーヴェンやバッハのみならず、モーツァルトにしても、数々の現代曲にしても、ヘナヘナ系のジャズ音楽、またはオシャレなBGMとしてなら、お薦めでっせ。

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コメント

>脱力系のジャズピアノ曲

すとんさんならではの記事でとても楽しかったです。
何も知らなかった頃はグールドが”正統派”だと思い込んでいたところがあったのですが、はじめからそう思ったのが間違いだったのだな~と思ってしまいました。


>Ceciliaさん

 今回の記事は多くの人を敵にまわすかもしれないと心配しながらも、ブログなのだから正直に行こうという思いで書きました。別にグールドというピアニストに対する悪意は全くありません。ただ、好き嫌いでいうと、クラシックの演奏家としては嫌いだけれど、広い意味での音楽家としては、案外好きと言った感じ。

 実は最近、毎日のようにグールドを聞いているんですよ。

 おそらくグールドは、クラシック音楽を、現代の生きた音楽として再生しようとしていたのではないかと、ここ数日、そんな思いがしています。

>すとんさん
『ああ、もっと美しくピアノを鳴らして欲しい。もっとロマンチックにフレーズを奏でて欲しい。』

これがもっともグールドの嫌がっていたことです。

>ticoさん

>これがもっともグールドの嫌がっていたことです。
 な~るほど、グールドのその考えた、共感はしませんが分かるような気がします。

 私は音楽に美を求めますが、グールドは美の向こう側にある何か(私にはよく分かりませんが)を求めていたために、あえて一般的な意味での美を避けていたのかもしれませんね。

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